第14話 奮闘する冒険者たち
「さて、突入だ。みんな覚悟はいいな?」
騎士団とケシャのパーティ、さらにその後方にいるセルジュ達は覚悟を決めて入り口へと突入しようとしたがその時、アジトの奥の方から首領のダキリス達が必死の形相でコチラへと走って来た。
「ケシャの姉さん、アイツまさか——」
「ああそうだ。ヤツが野盗どもの首領ダキリスだよ。まさか本人からノコノコと出て来るとはな!」
「だが妙だな。ようすがおかしいぞ、何故か後ろをチラチラと見ているようなんだが?」
「奥に何かあるのか?」
「何はともあれチャンスだ。ダキリス覚悟!」
騎士団長のルーソとその部下達がダキリス達に向かって斬りかかるがアッサリかわされ、野盗たちは必死になってそのまま走り去っていく——
「どけ! オレの邪魔すんじゃねええええ」
さらに後方にいた冒険者たちが野盗どもに近づいてそれぞれ武器を構えると先頭を走っているダキリスは足を止める事なく左手にはめている指輪から青くまばゆい光を放った。
「光を見るな、目を閉じろ!」
冒険者の1人が叫んだがダキリスの近くにいた者達は光をまともに浴びてそのまま麻痺状態になり動けなくなってしまった。
「コレは何かの魔法具か?」
「イカン、治癒魔法が使える者を集めるのだ!」
騎士団長のルーソが声を上げると部下の騎士たちはすぐに数人の僧侶や魔法士を連れて来た。
「
治療魔法が使える冒険者たちはそれぞれ麻痺状態になった者たちを回復させていた。
「「グゥルァアアアアア!!」」
冒険者の1人が後方からドタバタと大きな足音を立てて迫り来るそれを指差す。
「ち……地竜だぁあああああああ!」
ケシャと2人の仲間はその叫び声に反応するかのように双頭の地竜を取り囲み、耳長族の青年シルフェは少し後退すると詠唱を始めた。
「シルフェの詠唱が終わるまでアタシとオルバでなんとか食い止めるぞ」
「了解だ———」
双頭の地竜は大きく息を吸うと2つの口から炎を吐き出した。
「ケシャ、ボクの後ろへ下がれ——」
オルバの
「そうはさせん!」
ケシャは地を這うように低い姿勢で走り出し、地竜の頭上へと高く飛んだ。
「くらえ
そのまま垂直に落ちる勢いで地竜を頭から足下までまっすぐに切り裂いた。
「ケシャ離れろ!」
「おまたせ、
ケシャとオルバは素早く退避し、シルフェが地竜に向けて魔力砲を放つと地竜はその威力に耐えきれず跡形もなく消し飛んでいった。
「やったなケシャ」
「よし、これより我らは反撃に転じるぞ。
まずは騎士団と戦っている防御型の地竜からだ」
■
セルジュとそのパーティと他の冒険者たちは
トカゲの様な姿をした緑色の地龍と戦っていた。
「くらえ、
セルジュはまるで竜巻のように大剣を振り回し地竜の足をはね飛ばした。
「今だ。いけっ!」
「「
数人の冒険者が一斉に炎の矢を地竜にむけて放つが地竜は口から出す緑色の粘液によって消されてしまった。
「気持ち悪いんだよおおおおお!」
セルジュは粘液をまともに浴びながらも地竜の舌を大剣で切り裂いた。
「コイツはオマケだ」
さらにセルジュは地竜の口の中に手を突っ込んで
魔法を放った。
「
地竜は体の内側からメラメラと燃え始めた。
「へっどうだいやっぱオレ様って……」
「セルジュさん最強ッス」
「セルジュさんバンザイ」
セルジュたちがホッと一息ついているところから
少し離れた場所では騎士団が首の長い地竜の広範囲ブレスに苦戦していた。
騎士団の後列が剣を構え、前列が盾で地竜のブレスを受け止めている。
「そんな戦い方じゃ根負けしちまうよ」
突然現れたケシャは騎士団の盾を蹴って飛び上がり空中で一回転すると軌道を変えてそのまま急降下して地竜の後頭部に剣を突き刺した。
「スゴイ一撃で……」
「オイ見たか今の、空中で跳ねたぞ?」
「コレがAランク冒険者か」
ケシャの戦いを見て尊敬の眼差しで彼女を見つめる騎士団員たち……
「ルーソ団長、コレでようやく片付きましたね」
「いや、まだだ、ダキルスたち野盗がまだその辺にいる筈なので捕まえるぞ」
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