第50話 秘宝と水竜王の守り人たち


 扉が開いたので中へ入るとそこにはとても遺跡の中とは思えない風景があった。いくつかの畑、水路があって水車がクルクル回り、数軒の家が立ち並ぶ小さな集落が存在していた。


「ここは一体?」


「ふむ、なかなかきれいな所じゃないか」


 キョロキョロと周りを見回しているオレ達の前に

 背中に羽が生えた老人が杖をつきながら近づいてきた。


「よくぞここまで来た。秘宝に導かれし者達よ」


「何やアンタがさっきの声の主か?」


「私はこの地を治める水竜王様とともに秘宝を守って来た村の者です」


(さあ、ノイエガよ、その客人達をこちらへと連れてくるが良い)



「ハハッかしこまりました」



「待て! ノイエガよ、此奴らが水竜王様に合わせるにふさわしいかこのワタシが見定めようぞ」



 オレ達とノイエガの前に水色の長い髪、そして青いのローブを纏った男があらわれた。外見は、女性に間違う奴だって居そうな程、顔の作りが良い。

 体格は小柄で165cmくらいだろうか。

 そして切れ長の瞳と白い肌、なんていうかいかにもクールという印象を受ける細身の騎士という感じだ。




「何やあの生っ白いオカマみたいな兄ちゃんは? バリカンであの長い髪を刈って男らしく角刈りにしたろか」



(水竜王の騎士オルタよ、彼らは外の守り人(先住民族)達に認められて、無事ここまでたどり着けた者達なのだぞ)



「ですからこのオルタが彼らの力を見定めるといっているのですよ」



 オルタはオレ達の方へ向き直り、凄まじい闘気を放ちながらゆっくりと近づいて来た。

 うわぁ、なんかちょっとヤバくねえかコイツ?



「どうやら話し合う気は無いみたいだね」



「よっしゃほんならワイがガーって行ってあのモヤシみたいな兄ちゃんどつき回して来たるわ!」



「イヤ、ヨッシーは防御役タンクだよね?」


「うむ、ではココは私に任せてくれ」


「さあ、ゆくぞ。貴様らがあの秘宝を受け取るにふさわしいのか見極めてくれようぞ! 水の精霊ウンディーネ召喚!」


 オルタはいきなり水の精霊を召喚してオレ達に襲いかかって来た。



「ヨッシー盾たのむ」


「よっしゃいくで!」



 ヨッシーは盾を構え、勢いよく飛びかかって来たオルタの拳を受けるとヨッシーの盾が粉々に砕かれてしまった。



「ウソや、盾が……」



 ヨッシーはそのままオルタの蹴りを腹にくらって池に飛ばされた。



「ヨッシー!」


「人の事を心配している場合か?」


 オルタはそのままクルッと体を回転させて間合いを詰めるとともにオレの腹を殴り、オレはその衝撃に耐えきれずそのまま前のめりに倒れた。



「うがぁああああああ」


「キューイ」



 腹の痛みで悶え苦しんでいるオレの目の前でリンクが倒されていた。



「皆下がるニャ!炎鉄槌魔法ディヴォルゲィド


「ファイアショット!」


 ニーヤの最強の魔法攻撃そしてクリフさんの魔法弓、これならどうだ?



 ドバシャ!



 オルタは巨大な水の玉を作り出しニーヤとクリフさんが放った2つの炎をまとめて相殺した。



大津波魔法タイダルウェイブ



 突如、オルタを中心に水が周りに出現した。まるで巨大水槽だ。


 みんなガボガボと苦しそうに水槽から逃げようとしている



浮遊魔法レビテーション



 ニーヤだけは魔法を使い空中浮遊で水槽から逃げて助かっていた。浮遊魔法か! マジかよいいなオレもソレやりたいんだけど!



「みんな、今助けたるで!」



 ヨッシーが虚空庫アイテムボックスからゴムボートとロープを出した。オレ達は泳いでロープを掴み、なんとかゴムボートへと乗り込んだ。



「ふぁ、助かったよ」


「なんやあの兄ちゃんはワイらの事、洗濯物やとでも思っとんのとちゃうか?」


「うむ、それにしてもこの魔法、持続時間が長過ぎやしないか?」


「我が主人あるじよ、この魔法はどうやら後ろの精霊の力でこの渦を維持しているようですニャ」


 うーん、どうしようか? マジで困ったよ。 何か良い作戦はねえのかなあ……

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