第8話 まさかの混浴銭湯
※注意! 少しHな表現があります。 苦手な方はどうぞスキップしてください。
———————————————————————
正午過ぎ
ちょっとはやいが先に一っ風呂浴びる事にした。
ここの風呂屋は日本の銭湯に比べたらうらぶれた感じだが、まあそれも趣があっていいだろう。
「人がいない、オレだけ?」
いいね、まるで貸切みたいだ。休日、鬼のように混みまくるスーパー銭湯とえらい違いだな。
木の御風呂か? コレなら外に出ればいくらでも手に入る。檜みたいないい木材じゃなくて、本当にそのへんの粗悪な材木で出来てるけどコレで十分だ。
「なんだいアンタ見かけない顔だね。どこから来たんだい」
びっくりした。誰もいないと思っていたら角の方におじさんがいた。オレは真ん中の頭頂部ハゲで側面が黒髪と白髪が混じった頭を見てついニヤリと笑みを溢してしまった。
「この街から西の街道を馬車で2時間ほどの場所にあるヨルム村からだよ」
「ほうかー、オイラはここから南東の山脈を越えた所にある聖教国ってとこから来たんだよ」
「そうなんですね」
アレ、気のせいか脱衣所から女性の声が聞こえて来た?オイどういう事だこれは?
そういえば風呂はここだけだったっけ?
マジかココ混浴なのか?
「おうおう、今日はヤっさんが1番風呂かい」
ウサギ耳の女の人が入って来たー
デカいな身長180センチ以上あるだろ?
彼女は大きな形の良い胸とツルッツルの股間を隠すことなく堂々と尻尾を振りながらコチラへと歩いて来る。手に持っている桶の中には瓶が入っている。
アレは何だろう?
「よう、ケシャ姉さんじゃねえか!今回の討伐は
どうだったんだいいい獲物は狩れたのかい」
「おうよ、ダンジョンの下層に潜ってケレーンって羊の化け物、紫色の巨鳥トロネス、あとマンティコアって化け物をぶっ倒して来てやったぜ」
「流石Aランク冒険者、ほかの連中とは違うねえ
ところで今日の一杯は何なんだ?」
Aランク冒険者だって?
確かによくみるとこの人全身生傷だらけだ。
「おう、聞いて驚きやがれコイツが火酒とかいうヤツさ、旅の商人を魔物から助けたらお礼ってことで貰ったんだぜ。へへっヤッさんも一杯飲んでみるかい」
「おう注いでくれ!」
オイオイ何だよコイツら風呂に入って酒盛りを始めやがったぞ。
「ほう、コレはイケるねえ」
「だろ! かーうめぇえぇっ! オイ、そこの坊主も一杯飲んでみるか?へへっ」
ケシャと呼ばれたウサギ耳の姉さんはオレにも迫って来て手に持っている酒を勧めてきた。間近で彼女をみるとあちこちキズだらけで歴戦の猛者だとわかるがそれよりもオレの目の前にオッパイが……何だコレAVかよ!
それにオレの下半身が大変な事になっているし
「いえ風呂に入っているので遠慮します」
「ケッ、何だよ坊主は母ちゃんのオッパイでも吸ってな!」
いや、母ちゃんのよりもあなたのその形のいいオッパイにしゃぶりつきたいです!
ここは裸の付き合いだしウサギ耳の姉さんの機嫌が損ねるのもなんか心が痛むので一杯だけ頂こうか
「あ、やっぱり頂きます」
注いで貰った火酒をチビチビ飲んでみる……
おっコレは確かにうまいウイスキーだな!
「アンタも飲むのかいコイツはなかなかイケるよ
ケシャ、もう一杯おくれよ」
ケシャさんに火酒のおかわりを催促するヤッさん
ちょっと顔が赤くなってんな…
「ヤッさんはコレで最後な」
ガチャ
今度は年配のどこか品のある中年太り夫婦が入って来た。あと猫耳の子供が数人……
「ほほう、ケシャさん美味しそうな酒を持っているじゃないか? ワタシたち夫婦もまぜておくれよ」
夫婦がジーッとオレをみる
「昨日この街に来たマサキといいます」
「ワタシはパトリス、それと妻のオーサです。
どうぞよろしく」
パトリスさんはオレを見てニコリと微笑む。
そういえば裸同士でも平然としている。パトリスさんの股間を見てみるが正常だ。
これが自然体なのか? むしろ物心ついた頃からメディアとか社会の影響で異性の裸とかを特別視するよう植え付けられてるオレの方が……
「マサキ君、こうやって老若男女が平等に風呂での会話を楽しんだり、酒を交わしたりしてコミュニケーションを取れるここはワタシの憩いの場所でしてね」
浴槽から出て体を洗っている猫耳の子供達を優しい目で見つめるオーサさん……
パトリスさんによるとこの混浴銭湯を作ったのはこの街の領主様らしい。種族や身分などを忘れて老若男女が互いに打ち解けられたらという思いで始められたとか?
エロ目的じゃなかったのか(笑)
つーか言われてみればパトリスさん雰囲気がめっちゃ貴族っぽいんだけどやっぱそうなのかな?
「なるほど、確かに裸同士だと対等な気分になるかも」
パトリスさんの話を聞いているとヤッさんとケシャさんが少しずつオレの側に来る。
「そうだ!いいか坊主、コレが裸の付き合いだ
人間も亜人もみんなが打ち解けられる場だ」
ヤッさんがいた聖教国という国は絶対人間至上主義の宗教国らしく、亜人を奴隷として虐げ、抵抗するようなら虐殺する事も認められているらしい
ヤッさん自身も幼い頃からそういった価値観を教え込まれて育ったらしい。
「オイラも最初はこの街に来た時は戸惑ったよ。でも少しずつオイラ自身の中の固定観念がなくなり、次第に打ち解けられて来てな、今ではすっかり風呂仲間さ♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます