第7話 宿の予約と冒険者登録

 


「マサキ殿まずはどちらへ向かわれるのですか」


「ギルド登録の前に宿ですね。今のうちに今晩の宿の予約をしておこうかと思います」


「なるほど、でしたら私もこの街の領主様の所へ御挨拶に伺って参ろうかと思います」




 マルグリットさんはメインストリートに宿屋っぽい建物がいくつかある場所をチラリと確認するとすぐに馬にまたがって走り去っていった。



さて、これからどう動こうか。

んーまずは宿の予約だな




よし、そうと決まればこの先に宿屋らしき建物が何軒か見えているのでそこにへ行ってみて宿泊できるかを聞いてみるかな。とりあえずは様々なお店が立ち並ぶメインストリートへ行くと明らかに宿屋ではないお店が気になってついつい目がいってしまうがとりあえずの目的は宿泊だ。




 このケルトブルクの町は治安が良さそうだし、最悪宿が見つからなかったとしても、なんとかなりそうな感じもするのだが…………でも野宿は避けたいし!

宿を見つけるに越したことはないからな。


 そんなことを考えながら宿屋へと辿り着いた。

 このお店は入口にわかりやすい看板が置いてあったため、遠目から見た時に宿屋だろうと思っていたのだが……良かった。

 看板にもしっかりと、宿屋【犬猫亭】と書かれている。


 そこらにある宿屋っぽい建物の中で一番庶民的な雰囲気があったため、最初にこのお店にやってきたのだが、外装からしてかなり良さそうだし当たりだったかもしれない。

 あとは部屋が空いているかどうかなんだが……


 自分の中でそう結論付けてさっそく宿屋の中へと入ると宿屋の中は木材を活かした暖かみのある作りとなっており、俺は一目見て気に入った。



入ってすぐのところに受付があり手前に呼び鈴が置いてあったので鳴らしてみると奥からドタバタと足音が聞こえて来た。


「おう、いらっしゃい!お客さんはお泊まり?

それともお食事っスかね?」


「お食事?」


「宿泊のほうで。食事だけもできるんですね?」


「ええ、そうっスよ。こんな小さな店だから手広くやっているっス。レストランってほどじゃなくて、ほとんど小さな飲み屋みたいなノリっスけど、ご飯は美味しいって評判っスよ」



 店内を見渡すと、一階は受付と厨房があり、残りはテーブルと椅子がならべられていた。

 すでにお客が集まっていて食事をするもの、お酒を飲むものとわかれている。

 共通しているのは、みんな笑顔で楽しそうだった。


まだ15歳ほどの少女だが活発そうで愛嬌のある笑顔で

出迎えてくれた。胸元に付けてある名札をチラリと見る。ネルというのが彼女の名前みたいだ。



「では宿泊で、今晩1名で予約をお願いします」


「かしこまりましたっス。ではそちらにある宿帳にお名前を書いていただきたいっス!」


 彼女の口調、語尾が少し気になるところだがとりあえず宿帳に名前を書いた。

 よし、コレで宿の予約が済んだので次は冒険者ギルドの登録だな


宿屋から歩いてすぐの場所にある冒険者ギルドは、レンガ造りの立派な建物だった。

ネルから聞いた話ではこの町では迷子の捜索や家の力仕事の手伝いなど利用頻度が結構高いらしい。


 


 冒険者ギルドに行くと当然だがまるでゲームの世界から飛び出して来たような剣や杖を持った冒険者が数人いた。サッサと済ませたいので比較的空いてる窓口に並んで待つ事にする。途中、ガッチリした体つきをしているチンピラみたいなヤツらが何故かすれ違う度に睨みつけてきたがスルー

 


 隣の列で順番をめぐって喧嘩してる奴がいる。

 ハア、馬鹿じゃねぇか何しにここに来てんのコイツら?


 20分後にやっと自分の番が来たんで、男性のギルド職員と思われる窓口の人に話を聞いてみる。


「冒険者ギルドへようこそ!今日はどのようなご用件でしょうか?」


「ギルドへの登録をお願いします」


「承知いたしました。登録料は銀貨50枚になります。それとこの紙にご記入下さい」


 差し出されたのは手書きの羊皮紙の書類だが、まだ印刷技術が無いのだろう。項目は、氏名や年齢その他

 ……めんどくせぇな!

 とりあえずササッと書いて登録料と一緒に職員に渡す。


「ではさっそく説明させて頂きます。新規登録された冒険者はGランクとして登録されます。実績を積めばすぐにFランク→Eランク→Dランクへとドンドン昇格します。そして最上位ランクはAとなっております」


「ランクによって受けられる仕事が変わるのか?」 


「ええ、最初は薬草採取などから始められる方がよろしいかと思います」


「実はすでに討伐した狼が三匹、素材ってことで買い取ってもらえると助かるんですが?」


「えっウルフですか? ではコチラへ」


 奥にある倉庫へと案内され、オレは魔法袋マジックバッグから魔物を引っ張り出した。


「コレはウルフではなくバーゲストじゃないですか? まさかナガタさん1人で倒されたのですか?」


「ハイ、特になにも問題なく」


「わ、分かりました。今鑑定をいたしますので、少々お待ちください」


 職員は素材の鑑定係の人を数人呼んで素材の確認を始めた。鑑定は15分ほどで終了した。


「お待たせいたしました。素材の代金が全て合わせて、金貨16枚での買取となります。いかがですか?」


「お願いします」


 やったー臨時収入ゲットだぜ!


「あとバーゲスト三匹討伐という事でナガタさんのランクをG→Fにランクアップさせて頂きます」


「いいんですか?」


「特例ということでギルマスからも許可を得てます。そもそもGランクでもバーゲストの単騎討伐は不可能ですから」


 マジかよ!アレってそんなに強い魔物だったのかよ?


「それにしても朝から結構人が多いな」


「いつもの事ですよ。ランクが低い冒険者は仕事の取り合いになりますから。みんな、良い仕事を取るために早めに来るんです」


 ふーんなるほど!

 まるで椅子取りゲームみたいじゃねえか


 まだ時間もあるしそのへんの酒場にでも行くかー


 ギルドの隣にある酒場に行くと話の好きそうな爺さん2人組に声をかけられて仲良くなってしまった。なんだろう?この街の人達ってラテン気質というか気軽に声をかけてくるよね。

 酒を奢りつつ、色々と尋ねてみるともう色んな事を聞きもしないのに捲くし立ててくれた。

 サンキューじっちゃんズ!

 この街の領主の事や教会の事、行方不明者の話などあれこれ、その中でオレが気になったのが今日の夜、花火祭りがあるらしい。その花火祭りで毎年たくさんのカップルが生まれるんだって……


 教会にある塔も今晩は銀貨50枚で登れるらしいので一応マルグリットさん誘ってみようかな










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