第35話 SUVで砂漠を駆け抜けろ
緑に囲まれた山を越えてしばらく進むと今度は湖も草木も無く辺り一面渓谷や砂漠しかない場所についた。太陽の日差しが強く焼けるように、溶けるように暑い———
「死ニャ〜っ!」
「うむ、太陽が眩しいぞ」
「ヨッシー、水くれ〜もうダメだ」
「ほい水な、とりあえずそのへん座って休もうや」
ちょうどいい日陰があったので休憩する事にした。ヨッシーは
嗚呼あぁぁぁっ水〜っ!
マジ生き返る!ヨッシーがいなかったらオレ達とっくに干からびているよ。
「なあ、みんな暑さがそないにキツくて我慢できひんのやったらクルマ出したるで」
ん? 今なんて言った? クルマって聞こえた気がするんだけど? それともまさかの暑さボケ?
「クルマとはなんだ?」
あぁっ良かった聞き間違いじゃなかったよ。
「いいね。はやく出してよ」
ヨッシーは
「どないやコレがワイのSUVやがな」
「マジかよ異世界で車ってスゲーじゃん!」
「何だこの鉄の塊は?」
クリフもニーヤも信じられないと言いたげな顔で自動車をマジマジとみている。形や色に興味深々みたい。
「コレはな、ガソリンで動く馬のいらん馬車やねん
さっ、乗った!乗った!」
リモコンキーのボタンを押しロックを解錠してドアを開けヨッシーは運転席へと乗り込んだ。
「よし、ニーヤ達はオレと後ろの席に座ろうか」
オレはニーヤたちを後ろの席に乗せると、助手席のドアを開けてクリフさんが乗り込むのを手伝ってから後ろの席に乗った。みんなが乗った事を確認するとヨッシーはエンジンをかけてクルマを走らせ始めた。
「な…何なんだコレは一体なにがどうなっているんだ?」
「どこからか音が聞こえるニャ、それに涼しい風が何処からか入って来てるニャ?」
「それにヨッシーの目に着けているのは何だ?」
「ああ、サングラスや、日差し強いからな」
「ふむ、それにこのクルマというモノ、おそらくは馬車よりも速いのではないだろうか?」
「ああ、馬車よりも圧倒的に速えんだよクルマは」
「よっしゃ〜っ!ほんならこっからサンマリノまで
ボリューム上げてノリノリでいくで〜っ♪」
「イエーイ!」
アレ……
返事がオレだけだとなんか寂しいね
「キューイ」
「ど……どうしたニャ?」
何だ?リンクが突然騒ぎ出した。
チラッとサイドミラーを横目で見ると50メートルほど後方に巨大な何かが1匹土に潜っている状態で追いかけてきているのが見えた。
「むっ、アレはサンドワームではないか」
「アッシが魔法でやっつけてやるニャ」
「マサ坊、リモコンや」
オレはヨッシーから渡されたリモコンで自動車の屋根を開くとニーヤはクリフに肩車してもらいクルマの上部から身を乗り出すことが出来た。
「
ニーヤの放った氷の槍がサンドワームの額に突き刺さりサンドワームの動きがピタリと止まった事を
サイドミラーで確認した。
「うむ、やったな」
「購入時に嫁はんと揉めたけどやっぱりサンルーフにして正解やったな」
その後30分程、太陽がギラギラ照り続ける砂漠地域を走り、何かに気付いたのかクリフは突然立ち上がりってヨッシーの肩を叩きながら正面を指差し、そのすぐ後ろの席にいたニーヤもつられて彼と同じ方向を見た。
「おおっみんな見ろようやく砂漠地帯を抜けて町がかすかに見えて来たぞ」
「イエーイ!」
オレがニーヤと互いの手のひらを顔や頭の高さで合わせ叩きあうハイタッチをするとニーヤはほかのみんなともハイタッチし出した。
「さっきのサンドワームにニーヤが魔法ぶちかます動画送ったらウチの嫁から返って来たメッセージなんやけど【異世界で旅なんて中々体験出来る事やないから大変な事も楽しい事も全力で頑張りや! 日本から応援してるで】やって」
アレ、急に涙が出てきた。ヤバイ止まんねえし
車内はしばらくのあいだシーンと静まりかえった。これはどうやらみんなの心に響いたみたいだね。
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