第37話 サジとカエナ


 冒険者ギルドに行くと受付の黒髪で褐色の元気そうな女性が迎えてくれた。チラッと名札を見るとイネラ・サンチョスという名前だそうだ。


「やあいらっしゃい! 今日はどんな用件なんだい」

「もしかしてあなた達がウワサの奇妙な馬車に乗って来た人達かしら?」


「おう、何やもうワイの事カッコええってウワサしとるおねーちゃんがおるんかい?」


 何言ってんの?


「そんな事よりもここから南西にあるジャングルの奥地に失われた秘宝が眠る遺跡について詳しく聞きたいんだけど」



「何、アンタ達もしかしてあそこのジャングルを攻略しようと思ってるのかい?」


 彼女の問いにオレ達は無言で頷くと彼女は大笑いしだした。


「ちょっと待ってよ。アンタらって最近登録したばかりのEクラスやFクラスの冒険者だよね?

 いいかい、このあいだも腕に自信があるBランク冒険者たちが挑戦したんだけど結局、遺跡にたどり着く事すら出来なかったんだ!」



「なあ、だったらまずはこの依頼を攻略したら

 どうなんだよ」


 さっきまでカウンター席でデーツパイを食べていたガキンチョの2人組がオレ達に近づいてくる。


 そうオレはこの2人を知っている。

 ルーフェン村の子供、真ん中の歯がない少女カエナと坊主頭のサジはオレ達について行きたくてずっとここで待っていたのだそう


「そうなんか、ワイらを追ってここまで

 来るなんてなかなか行動力あるやんけ!」


「あっ! そういえばサジ例の———」


「お館さまから預かっている物があるんだ」


 サジは魔法袋マジックバッグから武器や道具をだした。



———————————————————————


 小太刀×3本、忍装束×3着

 鎖帷子×4着、煙玉×7個


 魔導師のローブ、魔導師の帽子、

 魔導師の靴、魔導師の杖


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 おおっ、刀がある。コレこそ中学生時代は剣道部だったオレ向きじゃねーか!


「むむ、コレは今我々が装備している物よりも格段に良い物じゃないか?」


「す……すごいニャこの杖なら魔力が格段に上がりますニャ」


 ニーヤの魔法の威力が上がるって……

 そいつは頼もしいね!




「実はウチらお館さまからの頼みで攻略を狙ってるクエストがあるんだけどアンタらにもちょいと手伝って欲しいんだよねー」


 コレってジギーさんから遠回しにオレ達に頼み事って事じゃねーか!


「うむ、どのような依頼クエストだ?」


「この近くにあるサンロードの塔を一緒に攻略して欲しいんだよ報酬額が500ペアらしい」



 そこへ受付のイネラが手を挙げた。


「ちょいと待ちなよ!

 アンタらでサンロードの塔の攻略に行くのか?

 このあいだもCランクとDランクの2組の冒険者達クランを立ち上げて挑戦したんだけど結局、5階層までしか到達出来なかったんだよ!」


「クランって何や?」


「ふむ、ちょっと失礼!」


 クリフが俺達2人を奥に引きずり

 サジとカエナから少し距離を取り3人で相談する事にした。


「正直あいつらが今さっき言うとったクランっちゅうのがようわからんのやけど」


 クリフが俺達の肩を叩いた。


「うむ、複数の冒険者パーティが何か目的があって組んだチームの事だ。この場合は塔の攻略のためって事だな」


 カウンターで少し腹がたるんだ冒険者の姉さんが赤いエール片手にフラフラと近づいて来た。

 つーか昼間になに酒飲んでんだよ!

 しかも赤いの唐辛子入りか?


「なんだい。アンタらもあの塔にあるなにかを狙っているのかい?」


「何やそれ、どう言う意味やねん」


「あそこの最上階には何かとんでもない物があるって昔から言われているんだよ」


 都市伝説的なモノか?

 なんだろう微妙に気になるかも……


「いいよ、みんなでクランを結成してそのサンロードの塔を攻略しようか」


 結果、サンロードの塔の攻略を受理してもらい

 オレ達みんなでクランを結成する事にした。

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