第三十三話 オタクと人形ちゃんはデパートに行く

「…こんなのどう?」

「これは?」


「こんな感じ?」


と、次々に僕に感想を聞いてくる友人。

現在僕たちはデパートの衣服が売っているコーナー来ていた。

僕はファッションセンスなんてものは皆無な為、今日のタイミングで服を選んでもらおうかと思っていたのだが、それは、目の前でファッションショーを繰り広げる友人も同じだったらしく、こうして、お互いの服を選びあっていた。

というか、自分で服を選んで買ったことがないらしく、現在試着六着目だったりする。多いわ。


「これ…どう…?」


「あ、あぁ、凄く似合ってるよ」


そう言って、出てきたアリスさんはTシャツの上に一枚緑色の薄いジャケットをはおって、ズボンはベージュ色のぶかぶかの物を穿いていた。俗にいうボーイッシュな感じのファッションで、先程までは女の子らしい、ワンピースや黒を基準とした感じの可愛らしいファッションだった為、思わずあっけにとられてしまった。


その反応に満足したのか、嬉しそうに笑ってカーテンを閉めた。そして、次の服に着替えてカーテンを開けた時、先程の服は購入する服のカゴの中入っていたのだった。


こうして、僕の反応を見て、反応が良かったものを各種七点ほど、全部でニ十点の商品をホクホクした顔でアリスさんは購入した。合計金額は聞かないようにした。だって、絶対高い服が何着も紛れているのは予想が付いたためである。

というか、僕の反応がいい服でいいのか。僕ファッションセンスないぞ。

そんなことを思ったりしたが、彼女が嬉しそうなのでいっかと、考えることをあきらめる僕であった。


「さて、次は拓斗くんの服だね…私が選んでもいい…?」


「それは、願ったりかなったりなんですが…え?いいの…?」


さっき、ファッションセンス凄かったから、お願いできるのならお願いしたいとは思ってたんだが、まさか、アリスさんの方から来てくれるとは思ってなかった。


「うん、ファッションセンスはあんまりないけど…選んでみたい…!」


「いやいや、さっきの服選びでセンスあるのは分かったからね?」


どんな服着ても似合うというのもあるんだが、それ以上に毎回毎回違う魅力を引き出して、僕をドキドキさせたセンスはやばかった。


そんな感じで男性物の衣服コーナーに移動する。

更衣室前で待っててと言われたので、僕は更衣室前のいベンチに座り、アリスさんを待つ。

ニ十分後、かごの中に大量の衣服を入れたアリスさんがヒョコっと現れた。


「ごめん、少し時間かかった」


「いや、大丈夫だよ」


そんなに服選んでたら時間かかるなと苦笑いをする。


「上から順番にしてあるから、その順に着てくれる…?」


「了解した」


わざわざ順番も整えてくれたらしく、僕は了承して、更衣室の中に入る。

とりあえず、指示通りに、衣服を着ていく。


最初の組み合わせは、Tシャツにジーパンといった感じの、僕がいつもしている感じの服装だったが、Tシャツは白で真ん中に英語の文字が書かれている少しおしゃれなものだった。真っ黒Tシャツ愛用者としては、これだけでもセンスを感じてしまう。


とりあえず、着替えて、更衣室のカーテンを開けてみると、「おぉ…!」という声が上がった。


「どう?」


「なんか、いい感じ…!いつも黒い服を着てたから白服でも似合うのにって思ってたんだよね…かなり似合っていい感じだと思う…!」


若干興奮して早口になりながら、自分の思いを告げるアリスさん。その光景に少し驚いていると、自分の行動を思い出したのか、下を向いて耳まで真っ赤に染めた。


「あの、選んだ私が言うのはなんだけど、似合ってる…」


「そ、そっか…じゃあ、次の着てくるね」


照れながら言われ、僕も少し照れてしまい、僕は更衣室の中に逃げ込んだ。

こうして、アリスさんの選んでくれた服の中で値段がそこそこで、アリスさんの反応が良かった服を買った。

購入した服を見て思ったんだが、アリスさんの購入した服とお揃いになるのが数点あり、それが好きなのか、それとも、お揃いを狙ったのかとくだらないことを考えたりしたが、アリスさんならどちらでもいいか。となり、僕らはデパートの中を散策していった。


その次来た場所は、本屋さんだった。

お互い紙媒体が好きなので、前を通りかかったときに少し寄ろうかとなって、僕らは本屋の中に入っていった。


「へぇ、これ、新刊出てたんだ…」


「あ、これ、完結らしいよ…?」


ラノベコーナーに僕らは真っ先に向かった。というか、お互いの趣味がかぶりそうなところがここだった為、お互い思ってることは一緒なのか、他の箇所には見向きもせず、そこに向かっていった。


お互い好きなラノベを手に取って、どんどん話を膨らませていく。

こういうことをしてると分かるのだが、僕とアリスさんは似た者同士らしい。好きなジャンルや好きなキャラ、嫌いなキャラが同じことが多かったので、これまでも、似てるとこちょくちょくあったなと、思い出し少し笑みを浮かべる。


アリスさんは僕の表情を見て、少し驚いたような顔をして、同じく少し笑みを浮かべた。

あとは、喫茶店に行き、購入した本を二人で読んだりした。その後、アリスさんがPCゲームをしてみたいと言ったので、電気コーナーに行きお揃いのゲーム用のヘッドホンを買ったりして僕たちはショッピングを楽しんだ。

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