第二十八話 オタクと人形ちゃんは音ゲーで遊ぶ
「これ、そういえば名前はよく聞くけど、やったことない…」
そう言って、アリスさんが指さしたのは太鼓〇達人。
そう言えば、この前来た時やってなかったなと思い出す。
「じゃあ、これやるか」
「うん」
太鼓の間に荷物を置き、硬貨を入れて、プレイし始める。
「何の曲やる?」
「んー…あ、この曲のアニメこの前見たからこれがいいかも?」
「了解」
そうして、最初に選ばれたのは、某ロボットアニメ(内容政治が多い)のオープニングだった。
とりあえず、アリスさんはリズム感と運動神経が常人離れしているのは知っているので、難易度はふつうから始める。
僕らは太鼓をリズムよく叩いていき、一曲目はフルコンをお互い出した。
連打の差でギリギリ勝つことができたがお互い全良ってやばくないかと若干、冷や汗をする。
初見フルコン全良はやばいって。
そんなことを思いつつ、次の曲を選択する。
ちなみに、ギリギリで負けたアリスさんは物凄く悔しそうな顔をして、次は勝つ…!と言って、意気込んでいた。
さて、次に選ばれたのは天体〇測という、もう十年以上前の曲になる超有名曲だった。お互いに知ってる曲の方がいいだろうとなり、適当に探してたらこれが見つかった為この曲になった。
さて、難易度を鬼にして─と思ったとき、横から疑問の声がかかった。
「これ、鬼…?っていうのはどうやって出すの?」
「あぁ、右側の縁を連打すれば出てくるよ」
「ほう…」
そう言って、ガタガタガタガタとかなりの力で連打するアリスさん。そんなに力入れなくていいのにと、苦笑いをしていると、難易度の鬼がでて、すごくうれしそうな顔をした。具体的には隠し宝箱を見つけた小学生みたいな反応。
その反応に癒されていたら、アリスさんに早く早くと催促されたため、僕も鬼を選択して曲をスタートする。
アリスさんは僕の横で、ほんとにこのゲーム初めてだよね?といった感じのプレイヤースキルを見せていく。というか、ほぼ全部良でつなげていた。
これはまずいと思い、僕は画面に集中する。
そして─
勝ったのは僕だった。
激闘の末、最後の発狂譜面でアリスさんがミスってくれたことにより、何とか勝利を収めることができた。
「ゲームでは…勝てない気がする…」
「いや…初心者でそのスコアなら僕は少し練習したら負けるようになるって」
「そんなことはないと思う…」
と、落ち込むアリスさん。
なんやかんやで、マ〇カーでよそ見して一回負けただけで、それ以外ゲームでは全勝してるんだよな、と今までの結果を思い出す。
そんなことをしていると、少しずつ後ろがつっかえてきたので、落ち込んでいるアリスさんの肩を軽く叩く。
「ほれ、次のゲームいくぞ、後ろもつっかえてるし」
そういうと、そのっと立ち上がって「次は勝つ…!」そう言って、ダンスのゲームのところに歩いて行った。荷物を置いて。
僕はそんな姿を見て、苦笑いしつつアリスさんの荷物を持って、彼女を追いかけて行った。
その後の音ゲーの結果は、意地でなんとか全勝することができたと記載しておこう。
というか、マジでソフラン低速地帯をノーミスで抜けてくるあたりマジで人間やめてるんじゃないかなって思う。
さて、音ゲーで三時間ほど遊び、次にやってきたのはメダルゲームのコーナー。
とりあえず、千円分のメダルを購入た僕らは、恐竜が中央でくるくる回っている台に来た。
僕はここまで運動したのは久しぶりで、息も絶え絶えになっていたので、長く座っていることのできるこの台を選択した。
ちなみに、アリスさんはまだまだ運動できるらしい。マジかよ。
「これって、どうやって遊ぶの…?」
と、メダルを持って首をかしげるアリスさん。
前回は音ゲーとUFOキャッチャーしかしなかったから、ここに来るのは初めてなのかと、理解する。
「この左右のレバーっぽいところにメダル投入口があるでしょ?そこにメダルを入れるんだよ。出たり入ったりしてるところのメダルをうまいことそのメダルで押し出していって、前に出っ張ってるメダルを下に落とす。すると、下の子の穴からコインが出てくる、そうやって、コインを増やしていく遊びだよ」
「ほうほう…沢山集めたら何かあるの…?」
「たくさん遊べる」
「え?それだけ…?」
「うん」
そう返事をすると、彼女は面白いものを見るようにコインをまじまじと見つめた。
「ねぇ、入れてみてもいい…?」
「い、いいよ」
好奇心旺盛なキラキラした目で聞かれたので、つい気圧され回答に詰まってしまう。
彼女はそんなことは気にも留めず、コインを一つ一つ丁寧に前に出るタイミングで奥に落ちるように考えながら、コインを入れていく。
そんな彼女を眺めて少し経った頃、コイン排出口から大量のコインが出てきた。ざっと最初購入した量の三倍くらい。
アリスさんはコインが増えた…!と言って、楽しそうにまたコインを投入し始めた。一回落ちてきたら、もうあとは連続してバンバンコインが落ちてきて、コイン排出口の受け皿を大量のコインが埋めていった。
僕はその光景を頬を引きつらせながら見ていた。
「アリスさん、楽しい…?」
「うん、最初は量が増えるだけだし楽しくなさそうと少し思ってた…でも、やってみるとすごく…楽しい…!」
と、アリスさんは上機嫌に答えた。
見ているだけで遊ばないの?と言われたので、僕も、もう片方のレバーからコインを入れ始めた。
その後、すぐにこのスペースのコインは取りつくしたため、僕たちは他のスペースに移動して、コインが尽きるまで遊ぶのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます