第十話 オタクはイケメンに勉強会に誘われる
7月半ば、学校では期末テスト一週間前となり、クラス内ではテストに関する話が増えてきた今日この頃。だけれども、昼休みは相も変わらず二人で空き教室で喋る、そんな日常を送っている。
最近変わったことと言えば、呼び方が変わったりした。僕は柊さんをアリスさんと有栖さんは僕を拓斗くんと呼ぶようになった。友達だから呼び方を変えようという話になった結果、お互いに名前で呼ぶようになったのだ。あと、会話内容は前は、ゲーセンや授業内容やそういった内容が多かったのだが、最近はアニメや漫画やラノベの話題で盛り上がることが多くなった。
だけれど、変わったのは昼休みだけで、教室内では相変わらずボッチを貫いてる。
時刻は午後三時半、六限が終わるチャイムが学校に鳴り響き一日の授業の終わりを告げた。
机の中から、教科書を取り出しかばんにしまって、帰宅の準備を進めていると珍しく僕に声がかかった。
「やあ、西宮さん。今度クラスのみんなで勉強会するんだけど参加してくれないかな?」
「は?」
声をかけてきたのは、クラスのイケメン委員長の隈原大樹だ。
高身長でイケメンでサッカーが得意とかいうなんかどっかのラノベの主人公なスペックをしているイケメンだ。
こちらは、同様に無駄にスペックが高いこのクラスの美少女と違って既にリア充で、その為、告白されることは少ないやつだ。すでに誰かと付き合ってるのに告白されるってやば過ぎだろとは思うが、まぁ、このスペックなら仕方ないと思っている。
さて、そんなクラスのイケメンが、なぜかボッチの僕に勉強会に参加してくれと声をかけてきた。意味が分からん。なぜ僕誘ったと疑問の目を向けると、何か察したのか苦笑いをしながら答えてくれた。
「いや、昼休みにいつも、柊さんと勉強してるでしょ?あの主席と勉強できるなら知識も豊富でいいかなって。あと、柊さんが君が参加しないと参加しないって言ったから誘ってるって感じかな?」
「は、はぁ」
そういえば、そんな感じの理由で昼休み飯食ってたな。完全に忘れてた。
というか、アリスさん、なんで僕が参加しないとだめって言ったんですか。
チラッと後ろに視線を送ると、何を思ったのかは知らないけれど、視線が合いニコッと笑った。多分、参加しろって意味だろうなと思い、思いっきりため息を吐く。
「いいよ、わかった、参加する。日程はいつ?」
「お、参加してくれるのかい?」
「あぁ、その方が良さそうだし参加するよ」
「ありがたい!それで、日程だね、明後日の放課後なんだけど大丈夫かい?」
「大丈夫だよ」
そういうと、ニコニコした顔になって「それじゃ、楽しみにしてるよ」そういって、いつも喋っているグループに混ざっていった。
僕は、面倒なことになったともう一度ため息を漏らした。
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