第7-12話 三日の休暇

2035/09/10 20:35 検非違使けびいし神戸分署仮八課棟内第七班班室


━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


「さすがに仮の仮副長は用意できんな」と加藤かとう副課長が班室に入ってきていきなりおっしゃったのでした。


「今回は大捕物だったという事もあるし、カレンダー通り休暇を三日ほどだそうではないか」と、こう来たわけでした。



「異議なし!」と風祭かざまつり仮班長がおっしゃいました。


「わらわも意義はないのじゃ」と周防すおうさんがいいました。


「俺にも意義はねえ」とラウさんもおっしゃいました。


「私も特に何もありません」と私も答えました。


「あたしはありがたく頂戴ちょうだいするぜ」と高木たかぎさんはおっしゃいました。


「私も特にといってありませんね」と温羅うらさんもおっしゃいました。




「三日といえば、斯波しば班長が復活する日ではありませんか?」と私が口添くちぞえしました。


「そうだ、斯波が帰ってくる日でもある」と副課長はおっしゃいます。


「風祭係長には仮副長の位置に入ってもらって、折神おりがみは隊員として復帰することになる訳だが、折神には今回の件で分かったことの特別講義を一日受けてもらってだな。みんなの休暇と折り合いをつけるわけだ。それでいいかな風祭仮副長」と副課長がおっしゃいました。


「私は構いませんが、後でしこりは残りませんか? 負けん気が強いですからな折神は」と風祭現在班長がおっしゃいました。


「それくらいは乗り越えてもらわないとな」と副課長はおっしゃいました。


「織り込み済みってわけですかい」とラウ隊員が副課長におっしゃいました。


「チームの結束が高まるのは良いことじゃないかな」とも副課長は追加でおっしゃいました。


 そのあと業務終了の流れとなり、報告書を提出して更衣室へ向かいました。



2035/09/10 21:00 |検非違使神戸分署仮八課棟内階段


 一末の不安は残りましたが、斯波班長が帰ってくるなら大人しくはなると思いますし問題はないのではないのかな? と思って更衣室に行く途中考えていると。




2035/09/10 21:00 |検非違使神戸分署仮八課棟内更衣室前


「お休みどうします? どこか旅行にでも出かけますか?」と温羅さんからいい提案がありました。


「みんなにも聞いてみましょうか? 高木さんももちろん行きますよね、ちょうど休みの日ですし」と追い打ちを打って逃げ道を速攻ふさぎました。


「あたしは……何にもねえからいいぜ」と相槌が帰ってきました。


「火水木と休みだしな。二泊三日でどこか行くか、海とかでもいいんだろう?」という答えが返ってきました。


「美味しいものがあれば私は特に制限は致しませんが?」と答えておきました。


「九月の海ねぇ、クラゲに刺されるわよ?」と温羅さんから突っ込まれた高木さんでした。



2035/09/10 21:15 |検非違使神戸分署仮八課棟内更衣室内


「そうと決まれば計画は早いうちの方がいいに決まっています」とスマホを出すと、みんなで通話ボタンを押しグループ通話を開始しました。


 まだ二十一時少し過ぎですから、みんな起きている時間です。


 みんなとはここにいる、高木さん、温羅さん、私、牧村まきむらさん、新山あらやまさん、春川はるかわさん、綾那あやなさんの七人です。


 もともとそういう設定で組んであるので、グループ通話であることがわかるのでした。


 既に着替えていた私が最初になったので、誰が参加していて誰が参加できてないかがわかります。


 オンになっていなくとも通話の記録は残るので後からでも聞けるということで、結構使用されていると聞きます。


「どうしたのですか? こんな時間に?」とおっしゃったのは牧村さんです。


 それに答える形で返事をします「明日からの三日間どこかへ旅行に行きませんか? 急ですが用事がなければ」と一気につまんでいってしまいます。


「旅行ですかいいですねー、どこか候補はあるんですか?」とおっしゃったのは綾那さんです。


「海辺か海の見える場所でゆっくり温泉でも、どうかなと思っていますが場所はまだ決定していません」と私が答えます。


「場所が決まっていないなら淡路島などはいかがでしょうか? ウチの実家が温泉旅館なので自由は効くと思います」と春川さんがおっしゃいました。


「いいですね、春川さんの実家にお邪魔してみましょう」とおっしゃったのは新山さんでした。


「後はどなたが来るんですか?」とスマホを見たようでした。スマホにはだれが通話に参加しているかが記録されているのです。


「送迎バスを出してもらえるか聞いてみましょう、垂水あたりからなら出してもらえるかもしれませんし、もちろん自車で行けるようにも手配はしましょうか」と、こちらの二人を気遣きづかっていって下さったみたいでした。


「あたしは、久しぶりに送迎バスを使うのもいいのかもなと思ってるぜ」と高木さんはおっしゃいました。


「それなら私も送迎バスで行こうかしら、たまには羽を伸ばしておくのもいいわよね」と温羅さんがおっしゃいます。


「ではみんな送迎バスで、荷物に水着は一応入れておくこと、近くにダイビングスポットもあるみたいだから」とタブレットで地図を早速検索しながら私がいいました。


 そして送迎の話が決まったところで、「七人の予約を大きな部屋で取れるか聞いてみる、コースは海鮮のコースでいいのよね? シャロウダイビングもするならコースに入れるけれどいいよね?」と春川さんがおっしゃいました。


 そしてそのまま、春川さんは実家に繋いだのです。


(二チャンネル化、三局化は当たり前になってきているので、できるのです。要するに会話を一局と継続けいぞくしながら、別の局を使い話す方式で最大百二十八局まで拡張可能な技術となっています。因みに会話はスピーカーが拾うので別の局との会話も拾えるのです。一般的には最大三十二グループと同時通話が可能とされます)


「明日、明後日、明々後日で急遽七人で予約を海鮮の一番いいコースを松の間で取れるかしら?」と春川さんがおっしゃいます。


「お嬢様ですか、お嬢様のお友達ですか? それならば松の間が空いておりますので大きい部屋ですが七名様で取らせて頂きます」と即話が通ったのでした。


「シャロウダイビングのコースも予約をしておきたいのだけれども」と春川さんが続けておっしゃいました。


「わかりましたこの仙蔵せんぞうが、お取り置きしておきましょう」ともおっしゃられ、即シャロウダイビングの方も何とか予約っぽいものが通ったのでした。



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※この作品はフィクションです実在の人物や団体、

 ブランドなどとは関係ありません。


シャロウダイビング:いわゆる普通のスキューバダイビングのことではありません。


 シャロウの冠が示すように浅い潜水ができるように装備を多くして簡易外殻スーツを着込んで水圧に耐えられるようにして潜る、いわゆる電子的機械的サポートのある、浅深度せんしんど潜水の事ですが水深三十メートルまで潜ることができます。


 最大深度は五十メートルといわれていますが安全上の制約せいやくで三十メートルまでしか潜ることはできません。


 ライセンスがスキューバダイビングに比べ簡単に取れることから、二〇二五年代から流行りだしたものです。


 ライセンスは講習最短一日数時間で取れるのです、しかもアマチュア・ライセンスだと三時間くらいらしいのです。


 テクニカル・ライセンス、プロ・ライセンス、セミプロ・ライセンス、アマチュア・ライセンスとあり、一番アマチュア・ライセンスが多いといわれています。


 この時点ではだれがライセンスを持っているとかいう話にならなかったので、そのまま話が通ってしまうわけです。



 ちなみにシャロウの反対に、ディープダイビングというものも存在します。


 それはライセンスの難易度がかなり上がりますが、深深度しんしんど潜水(水深二百メートル)が可能なシャロウダイビングといえます。


 機材は大型になりかなり違いますが、操作系はほぼ同じものです。


 シャロウ・ライセンスの・ライセンス以上でディープダイビングに挑むことができます。


 つまりプロ・ライセンス以上と専用機材を使う事により水深二百メートルまで潜ることができるのです。


 基本的に商業ライセンスだといってもおかしくはありません。


 二〇三五年では海洋開発にもかなり力が入っているのです。

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