第3-03話 上のフロアへ、貝の妖魔

━━━━━《美空みそら視点》━━━━━


 因みに、左側に居たやつも完全拘束して転がされました。


 そして、必要な武器を剥ぎます。


 後背を突かれても、危険だからでした。



 エレベーターがありましたが、敢えて使わず階段で行くことになりました。


 エレベーターだと閉じ込められたり、落下させられる危険があるからでした。


 ここの階層を聞こうにもすでに、先程何階に居るのかわからないという返答を得たばかりでした。


 よって、階段で行くことにしたのです。しかし目標は分かっています三フロア上にいるとのことでしたから。


 すると折神おりがみさんが言われたのでした。


「すまん今日は銀弾では無いんだ、戦力になれない」とおっしゃるのです。


 すると温羅うらさんが「私のでよろしければ、お貸ししましょういつもより、若干威力は落ちるかもしれません。四十五口径でよろしければ」とおしゃってベレッタ8045クーガーカスタムを太ももタイッシュホルスターから外すと、予備弾倉三つと共に渡されたのでした。


「すまん、この恩はいずれ」と折神さんがおしゃったのでした。


「そういえば高木たかぎさん、いつもの三節棍がありませんが大丈夫ですか?」と私が聞くことにしました。


 すると高木さんが「マンティコアに噛みつかれて何度か死ぬ思いをして以降、何だか不思議な技が、使えるようになったんだが、それで行くか」とおっしゃったのでした。


周防すおうさんは大丈夫ですか?」とも聞きました。


「ワラワは大丈夫じゃ」とおっしゃるので、気にしないことにしました。


「行きましょう、加奈子かなこちゃんが待っているはずです」と私が先頭で階段を登り始めました。順は周防さんを挟んで前が私と高木さん、後ろが温羅さんと折神さんの隊列でした。


 階段を上がっていて気付いたのです。


「この階段一フロアしか登れないわ、上への階段が潰されている。どこかに予備の階段があるはず」と探し始めました。

 偶々階段のすそに、この階層のMAPがありました。


 階層名もついています。


 地下三階フロアとありました。


 つまり下層建築で地下のビル構造だった訳です。


 他の階段で、×印が付けられていないのは、対角線上の階段だけでした。


「少し遠目ね」と温羅さんがおっしゃいました。


 その時、何かを感じたのでした。


 何かの気配を……「幽鬼!!」と私が叫びました。


 みんなが一斉に振り向いたときにはすでに遅く、幽鬼の群れに囲まれていました。


「流石にこの数では、銃の弾が勿体もったいないわね」と言うなり御神刀を抜きながら。“怒雷”と、術を唱えます。その直後半径二十メートル以内に存在してた幽鬼が弾けました。


「今のうちに移動を!」と私が率先して移動を開始しました。


 移動して、また通せんぼされるたびに怒雷の術で瞬間的に幽鬼の群れを弾けさせていきました。


 上り階段までは一気に、駆け付けられました。


 妙なことが起こりました、幽鬼の群れが上り階段に近づかないのです。


 不思議な感覚がしましたが。


 今はマゴマゴしている時間はありません。


 一刻も早く、加奈子ちゃんを救いに行かなければいけないのです。


 そのままの勢いで階段を駆け上がることにしました。



 するとそこには、大量の下級と思われる妖魔あやかしとストーンスタチューに囲まれた真ん中に何か白く大きいモノが居るのです。しかしパッと見たところ加奈子ちゃんの姿がありません。


 とりあえず妖魔を何とかして、真ん中の白いのを知らべるしかありませんでした。


 とりあえず、御神刀を持った私が単独で突っ込んで行きます。


 高木さんにはワンテンポ遅れて入ってくるようにお願いしています。


 でなければ術に巻き込んでしまう恐れがあるからです。


 火急的すみやかに移動し、妖魔の群れの中心付近に行かなければいけません。

 ようや辿たどり着きました。


 そこで“神鳴”と術を唱えます正真正銘しょうしんしょうめいの術の範囲と威力を拡大したバージョンです。


 半径四十メートルは巻き込めました。


 威力もほぼ倍です。盛大な規模の神鳴が、炸裂しました。


 周囲に居た妖魔は消し飛びストーンスタチューにおいては、ほぼ半壊しています。しかし私も度重なる術の使い過ぎで精神力をそれなりに消耗していました。


 少々疲れが出ていました。


 白いものは大きな二枚貝の形をしたものにフィンを着けたような形状のものでした大きな鞭も二振り持ち合わせていました。


 高木さんが突っ込んできて、先頭を交代していただけました。


 私に近づく残りの妖魔を素手のパンチにオーラをのせた拳で一匹一殺の形で凪払っていきます。


 もう一度、味方を対象から外して術を放つ必要があると思われました。


 危険な賭けでしたが、もう一走りして白い貝の前まで行きました。


 そこでもう一撃先のものに味方外しを追加した術を範囲拡大三倍威力も三倍で掛けました。


 六十メートルの広範囲に術が炸裂しました。


 今度は空雷の様な音が鳴り響きました。


 ストーンスタチューは、もはや機能していません粉々になって倒れています。

 妖魔であると思われる貝もフィンが半分ほど倒れていました。


 ですが私はもう残りの精神力はほとんど残っておらずフラフラの状態ではありました。


 大きな鞭の様な触手が私目掛けて打ち下ろされるその時、私の前に高木さんが立ちはだかってくださったのでした。


 その鞭を受け止め逆に捕まえると。


「今だっ!!」と号令をかけたられたのでした。


 その瞬間、周防さんから“火炎”が飛び、温羅さんと折神さんは根っこと思われる部位に銀弾を叩きこんだのでした。


 流石の中級クラスに該当する妖魔もそれだけ集中されるとたまったモノでは無いらしくフィンが、さらに減じました。


 どうやらフィンの数が、その妖魔の力を指しているようでした。


 そして加奈子ちゃんは、多分貝の中に居ると思われたのでした。


 それを高木さんに告げると、私のほうでも銃を引っこ抜いて、根っこと思しき場所に狙いを定めます。



「今から貝を向き身にしてやるぜ!!」と高木さんがおっしゃいました。


 そして、貝に向かって真正面から突っ込むと貝の閉じた隙間に指を無理矢理ねじ込むと取っ掛かりを作り、一気に引き剥がしに行ったのでした。


 貝のほうも堪ったモノではありません、鞭を振り下ろすべく振り上げた直後でした。“火炎”が二対象、鞭二つに向かって威力拡大で飛んだようでした。


 火炎を浴びた鞭がぐずぐずになりました。


 残るフィンはすでに一本だけでした。



 私はフラフラではあるので伏せ撃ちプローンの態勢で他の温羅さんと折神さんはそれぞれ左右に展開して。


 高木さんを対象に取らない様に根っこにバシバシと銀弾を浴びせて行きます。


 私も同様に根っこに銀弾を浴びせます。


 丁度私が一弾倉ワンマグ撃ち切ったあたりでした。


 最後の貝のフィンが後ろへ倒れて行き。


 貝が力なくぐったりと前に傾いて行ってそのままになったのでした。



第3-04話へ

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