感化
楓と遊んだ翌日。いつも通り宿題をやっていると、ほとんど終わらせることができた。
所々わからないところ以外は終わった状況で、遂に小説の執筆にかかる。が、その前に「神楽小枝」の小説をチェックする。
作品が更新されていたが、近況を先に見ると、半年後に終わらせる予定だったが、予定が変わりあと2ヶ月以内に終わらせるようだ。
好きな作品があと半年で終わるというだけでもショックだったのに、2ヶ月にまで縮まるともう言葉では表せないほどのショックを受けた。
それでも2ヶ月は作品が続く。その2ヶ月は読み続けようと決め、作品を読み始める。
半年だった余命。いや、だったという表現は適切じゃない。まだ半年生きられる可能性はある。それには安静が絶対条件だ。しかし私は安静にしているつもりはない。安静にしていないと余命があと2ヶ月になるらしい。いや、もっと短くなる可能性もある。それでも私は後悔したくない。初めて好きになった男の子。彼の記憶に残れるように、精一杯生きたいと思う。死ぬのは怖い。でも、後悔をする方がもっと怖い。誰かが言った。「人は2度死ぬ。1度目は自分の命が失われるとき、2度目は人に忘れ去られたとき」と。なら私が死ぬのは2ヶ月後だけど、2ヶ月後じゃない。彼が死ぬときが、私の死ぬときになれるよう頑張ろうと心に誓う。
読んでみて、自分が同様のケースになった場合について考える。僕は後悔のしない生き方と、長く生きること、どちらを選ぶだろうか。
いくら考えても結論が出ることはなかった。小説を書こうと思っていたことを思い出し、考えることを辞めた。
そして執筆を始める。書きながらも、さっきの選択肢が頭の中に残っている。
それでも、その選択肢を頭の中から追い出すように熱心に書き進めた。
8割方書き終えた所で今書いた作品を読み返す。さっきの選択肢に引かれたことが隠せていないことがわかる。やけに重い選択肢がたくさん出てきていた。
これは没だと思う。話の内容のほとんどに選択肢が書かれて、人によっては選択に納得がいかないだろう。でもむしろ、これはこれでありではないかとも思ってきた。きっとこう考えてしまうのも、「神楽小枝」に引っ張られてしまっているからだろう。
この作品を読んだ楓の感想が聞きたくなった。「神楽小枝」の作品の少女の選択を読んでない楓は、僕の作品をどう思うのか。それが気になって、ラインで僕の作品を楓に送った。
しかし、1週間楓から返信は来なかった。
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