日記

夏休みも1週間が過ぎた。買い物ぐらいでしか家を出ることはなく、楓と夏休み遊ぶことをほとんど忘れかけ、エアコンの下で宿題を黙々とやっていると着信音が鳴り響いた。誰からかなーと思いながら携帯を見ると、(よろしく)の後全く会話がなかった楓からラインが来ていた。


(暇人さん。今週の水曜日遊びませんか?)

(楓さん。大変お待ちしておりましたよ。喜んでそのお誘い受けさせて頂きます)

(9時に学校前集合でよろしいですか?)

(分かりました。よろしくお願いします)


何故か敬語できたライン。とりあえず僕も敬語で返す。僕は時々敬語で会話をしたくなる時があるけど、楓もそう思う時があるのだろうか。それともただ面白そうだから敬語を使っているのだろうか。楓の性格から考えると後者だと思う。別に敬語でもため口でもどちらでもいいのだが。

今日は月曜日だから、水曜日は明後日だ。明後日の9時に忘れないようカレンダーにメモをしておく。

再び着信音が鳴り響いた。


(そういえば小説の方はどうなってるの?)

(先に宿題を終わらせるから、もう少し待って)

(宿題しながらでも書く!書くのやめてたらペンが固まっちゃうよ)

(確かに一理ある。勉強しながら並行して進めていくからちょっと待って)

(りょーかい。)


敬語じゃなくなったな。宿題に10割割り振っていた時間を小説にも配分しないといけない。めんどくさいけど、やってやれないことはないだろう。時間はあるんだ。最高の一作を作ってやろうと心に誓う。




火曜日、出来る限り宿題を進める。遊ぶ前に宿題を減らしておかないと楽しめないタイプの僕は、いつもより気合を入れて宿題をした。

2時間くらいやり、休憩をする時にそろそろ「神楽小枝」の作品が更新されてないからチェックした。

するとちょうど今日の0時に更新されていたようで、最新話が公開されていた。





夏休みに入って、気になっている男子を遊びに誘うことができた。私の最後の夏。後悔はしたくない。

彼から告白させることがベストだけど、そんな高望みはしていない。だけど最後の思い出作りには協力してもらおう。私の我儘に付き合わせるのは悪いと思う。けど、短い期間の中での我儘くらい、付き合ってくれてもいいんじゃないかな。




どんどん「神楽小枝」の作品が小説ではなく、日記のようになっていっているように感じる。それでも、何故かわからないが惹かれてしまう。僕はもっと先を読みたいと思うが、更新されるのはまだ先の話だろう。僕は意識を切り替え、明日のために宿題を再開した。

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