けものの怪盗

第9話 しばらくのオフ

『昨日、覚醒剤を所持していたと事実が発覚。大江戸政義氏が昨日、逮捕されました』

「あっ、昨日僕が警察に教えたやつだ」

「「「「「「…！？」」」」」」」ｶﾞﾀｶﾞﾀ…

全員ガタガタしてた。

…

学校…

「怪盗団。どうしたんだ？宝を盗んでないって」

「え？盗みましたよ？」

「ニュースでは盗んでないって…」

「あぁ、そのことなら、贋作にすり替えたんですよ」

「贋作？どうして」

「たまにあるんですよ。取る前は何もないのに手に取った瞬間警報がなるシステムが。なのでその対策として贋作を」

「あ、なるほど…」

…

休み時間

「なあオレンジ」

「ん？」

半次郎が話しかけてくる。

「お前らって…恋人なんだろ？」

「うん。恋人同士！だよねー！」

「もちろんさ！」

「もし警察に捕まったらどうするんだ？」

「そりゃあ…助けるに決まってるさ…」

「そうか…そうだ。お前ら2人って…フレンズだから…交尾っていうのか？…してるのか？」

「ふふふ…どう思う？」

「こんなにラブラブなんだからしてるんじゃないか？」

「…まあしてるね」

「マジか！？」

「うん。私たちが愛し合ってるだけなのに…『盛んだったな！』とか言われるし『うるさかったね』って苦情が来る時もあるし…全く、みんなもやってるじゃないか…」

「お前ら以外もやってるのか！？」

「そりゃあね…アレでも一応恋人同士だし」

「それもそうか…ありがとなー！」

「…なにが聞きたかったんだろうね？」

「ほんとだね…広まったらぶっ飛ばす」

「怖いねぇ…」

…

学校が終わってからの下校時

「…なにこれ」

後ろから数人、女子がついてくる。

「なにがしたいの？」

「怪盗団って珍し」

「外でその名前を言うな」

「あ、ごめんなさい…」

「あと…あまりついてきてほしくないな…？」

「え？」

「バレるとヤダだからさ…そもそもこの集団で歩いていること自体やばいんだから…」

「そうなんですか…では！」

あれからみんなからの立場がものすごく変わったから、過ごしやすくなった。

「ふぅ、家の場所、知られるわけにもいかないしね？」

「そうだな。もしあいつらが警察に通報したらやばいことになる」

「まあ…最近は獲物も無いしな！協力者も含めてみんなで集まってパーティーでもしないか？」

「最近パーティーのしすぎじゃない？まあ楽しいし、お金もたくさんあるし…やろっか！」

「やたー！じゃあ私は早速みんなに連絡とってみるねー！」

「あ、やるんだったら休みの日にしてね？」

…

「オレンジー！」

「ん？どうしたの？ライオン」

「みんなに連絡とってみたけど、四神のみんなが知り合いを連れて行きたいって言ってるけど、どうかな？」

「あ、いいよ？」

「わかった！あと、フェニックスとオイナリサマがやってるあのカフェを使っていいってよ！」

「おっ！じゃあそうさせてもらおうかな？」

「じゃあそう言っておくね！」

「…オレンジ？」

「んー？」

「どこか、体が痛む場所はあるかい？帰ってから揉んであげるよ？」

タイリクオオカミがこんなことを言うなんて、実際珍しい。

「…じゃあ、帰ってから肩を揉んでもらおうかな？」

「お願いねー！」

「決まったよー！来週の土曜日、午後5時でどう？」

「いいんじゃないかな？みんなは？」

「俺は…空いてるぞー」

「僕は空いてるよ！暇だし？」

「よし！じゃあ連絡しといて！」

…

家…

「よし！じゃあここからはしばらくオフ！みんな各自、好きなように過ごそうか！」

「よっしゃ、ライオン！着替えて出かけるぞ！」

「わかったよー！」

「コノハちゃん！久しぶりに羽広げない？もちろん外でね！」

「おっ！楽しみなのです！」

「…フェネック。お前にも…いい情報が入った。ついてきてくれないか？」

「わかったよー？でもいい情報ってなんなの？」

「…そうだ！ミミちゃん！前に例の店でいい服を見つけたから買いに行くぞー！」

「早く行きましょう我慢できません」

みんながいなくなる。取り残されたのは…

「…僕たちも出かける？」

「そうだね？オリーブも…ついてくるかい？」

「もちろんです！でもどこに行くんですか…？」

「…僕ね、行きたい場所があるんだよね？」

「それは？」

「…知ってる？僕がずっとお金を貯めてたこと」

「貯めてたんですか！？」

「そ！…あるものを買うためにね…！」

オレンジたちも出かける。

…

とある包丁屋…

「え？なんで包丁屋なんかに…とっくに包丁の用は済んでるよ？」

「僕が料理好きなのは知ってるよね？」

「あぁ！そういえばオレンジさんって家庭科の成績最高でしたもんね！」

「うん。でなんだけどね？お金さえくれれば特注の包丁を作ってあげるっていとこが言ってたもんで…」

実はこの包丁屋、いとこがやっている店で、昔から包丁作りの伝統を家で継がれていたらしい。

「なるほどね？」

「さて、カイトー！」

「…お！オレンジ！久しぶりじゃないかー！」

オレンジのいとこ、カイトはヘラジカのフレンズである。当然、オスでもある。

「さて、今日の用件はなんだ？」

「お金持ってきたからさ、特注のやつお願い！」

「ついにオレンジに特注の包丁を作るときが来たか…！さて、何包丁がいい！」

「普通の包丁で構わない！あー…じゃあさ、特注のやつは普通ので、そして…パン切り包丁もお願いしていいかな？」

「わかった！すぐに作るから待ってろー？だがな…何年ぶりだ？5年ぶりってところか？」

「そうだね！」

「そして…後ろのフレンズは誰だ？お前と一緒だが…」

「あ、私はタイリクオオカミ。オレンジの恋人さ」

「私はイタリアオオカミです！オレンジお兄様とタイリクオオカミお姉様の補佐をしてますー！」

「ちょっ…！？恋人！？」

「うん。恋人」

「…お前…彼女ができたんだな！」

「うん！幸せだよ！」

「…はっ！俺の手に気がつかないか？」

「手？」

「ほら、これだよ！」

カイトの左手の薬指に指輪がはめられていた。

「…は！？まさかの！？」

「そうだ！結婚した！」

「うわー！？おめでとー！ていうか結婚したなら言ってよ！」

「悪かったな！」

「ちなみに誰と？」

「すぐそこにいるぞ？」

奥にいたのはカイトと同じ、大きなツノを持ち、黒い服を着たフレンズ…

「おーい！ヘラジカ！」

「どうしたー？」

「ちょっと来てもらってもいいかー？」

「いいぞー」

「…このフレンズはヘラジカ。俺の恋人だ！」

「私はヘラジカだ！カイトと運命的な出会いをし、今ではカイトの恋人だ！カイトから聞いたが、怪盗団らしいな！」

「はい！」

「私も怪盗団だよ？同じ恋人がいるメスのフレンズ、そして、怪盗団の協力者としてよろしくね？」

「よろしくな！そして…そっちは？」

「私はオレンジお兄様とタイリクオオカミお姉様のお手伝い役、そして潜入担当のイタリアオオカミです！」

「お前も怪盗団か！よろしくな！」

「よろしくお願いします！」

「…さて、遅れた本題だが、よく切れる包丁とパン切り包丁が欲しいんだな？」

「そ！」

「あいわかった！ヘラジカ！手伝ってくれ！」

「もちろんだ！」

…オレンジの出かけた用件。それは日々の生活をより便利にするためである。

…

「完成だ！自慢のネタで高速で完成させた！切れ味は…家で確認してくれ」

「おっけ！」

「そしてこれが…パン切り包丁だ！」

「私がカイトから受け、作り出した自慢の包丁だ！」

「…お代は、半額でいいからな？」

「え？」

「だって、お前と俺の仲だろ？」

「え、いいんだ…じゃあここに置いてくね？」

「ありがとなー！また利用してくれ！」

…

次はタイリクオオカミが行きたかった場所。

「…さて、私が来たかったのは、ここだよ？」

「文房具屋…」

「漫画を描くための紙とペンを買いたくてね…」

「あぁ、なるほど？…ギロギロ、面白いよなぁ…」

学校の中でも大人気である漫画を描くためのものを買いに来た。

…

「あったあった、これこれ」

手に取ったのは万年筆の変えインクと漫画用紙、そして色鉛筆。

「じゃあ、買ってくるね？」

「うん！入り口で待ってるね？」

「…オレンジお兄様…？」

「ん？どったの？」

「その…わがままなお願い、聞いてもらってもいいですか？」

「わがままなお願い？」

「はい…家具、揃えても…」

「家具？買うために出かけたんだから！この買い物はみんなついで！」

「そうだったんですか！？」

「そうだよー！まあ、まだ寄りたい場所もあるけど家具買ってからにしようか！」

「はい！」

…

次に寄ったのはやはり…家具がいろいろ売っている店。

「さ、まずはベッドだね…」

「車で来てるから組み立て様式のやつもある程度なら積み込めるよ？」

作戦をするときの車できてるから、中がかなり大きい。

「これでいいですよ！」

「あ、いいの？これで」

「はい！無理に高いの選んで迷惑かけるにも行かないので…」

「…よし！じゃあ次は…棚だね！」

「棚…は割と大きめの方がいいですね！」

「おっけ！これなんてどうかな？大きさ的に」

「そこに学校の物…あれがここに入って…充分です！」

「よし！次は絨毯だね！」

「絨毯は…前に来たときに欲しいなって思ってたのがあるんですけど…」

「え？どれ？」

…

「これです！」

イタリアオオカミが指したのはなんとも可愛らしい絨毯。

「…これがいい？」

「はい！」

「安いからお金が浮くね！さて、机は…欲しい？みんなは勉強をいつもどおりリビングで集まって教え合いながらやってるけど…」

「じゃあいりませんね！」

「よし！」

…

「こんなもんかな…？」

まとめて買うため、やはり値段は高くなる。

「すみません…私のためだけに…」

「いいのいいの！もう同じ家に住む仲間なんだからさ！しかも、これだけ買ってもお金は全然余るし！」

実際のところ、かなーりあまる。

「そうなんですか！？」

「そうだよ！？」

…買い物を終わらせて来たのは…

「やっほー」

「む、どうしたんじゃ？」

四神宅。

「今度やるパーティーの件なんだけどさ」

「うむ」

「もう1人来るって誰？」

「あぁ…それはビャッコに聞くのが一番じゃな。ビャッコー」

「どうしたー？」

「お主がもう1人呼んだ者を誰か、そしてどういう関係かを伝えておいてやれ」

「あぁ！もう1人なんだが…名前はカエデという名前で…」

(注。異世界フレンズ生活のカエデとけものの怪盗のカエデは同一人物ですが設定が違います)

「私とはその…恋人同士なんだ///」

「え！？何？普通のヒト？」

「いや、主らと同じ、タイリクオオカミじゃ。それに、オスのな」

「そりゃわかってる！え！？もうつがいになった？」

「いや、まだ付き合ってるだけの段階だ」

「いやー、すごいねぇ…四神がつがいになれる段階に来たなんて…ていうかどうやって出会ったの？」

「私の仕事、知ってるか？」

「いや？」

「まあ神社で働いてるんだが…そこの参拝客として、来たんだ。その時に「綺麗ですね！」って言われてからは頻繁に来てくれて、どうしてかって言ったら「あなたのことが好きですから！」って言ってくれた時からはもう…な？全く、恥ずかしい話だ…///」

「面白いストーリーじゃん！」

「そこからは日々のようにここに来てくれたり、カエデの家に行ったり、デートしたりでな…気づけばカエデも私が四神ってわかっているのに愛そうと頑張ってくれているカエデのことが私の方からも、好きになっていた…と言えばいいか？」

「な、なるほど？」

ﾋﾟﾝﾎﾟ-ﾝ

チャイムが鳴る。そこにいたのは…