第8話 秘密

翌日…


大江戸政義宅についた怪盗団。


「さてと…準備はいい?」


「もちろん…」


全員でグラップラーを二丁持ち、脱出用と潜入用として使うことになった。


「よし!じゃあ定置に着いて、各自潜入開始ね!」


「おっと。気を付けろ。ドローンで偵察してたが、狙撃兵が1人いる。窓には近づかない方がいい」


「おっけ!じゃあ…僕たちは早速潜入させてもらおうかな?定置着いてるし!」


「そうですね!」

「そうだね?」


「アレは持ったな?」


「もちろん!」


一応贋作も作って持ってきてある。


「…じゃあ!僕たち3人はさっそくいくか!」


「はい!」


「そうだね?」


「ふふっ…IT,S SHOWTIME!」


グラップラーを放ち、窓から潜入する。



「よっと…!あぶねー…」


警備員が通り過ぎたばかりの廊下に足を踏み込んだ。


「さて、じゃあ正面の部屋から探索しましょうか…」


「私たちはオレンジについてくからね?」


「お願いしますねー…!」


「よし…じゃあ、探索開始!」


「おっと、粘土銃をあげるよ?」


「ありがとね!」


粘土銃。カカオが開発した銃であって、人に発射するのは大変だが、物や地面に撃つと広がって敵の足止めをしたりすることができる。…が、今回はその用途としてはあまり使わない。防犯カメラに撃ち、警備を薄くする。


「おっと…あそこにあるね?」パシュ


「なぜわかるんですか…?私はすぐにはわからなかったですよ?」


「基本!いつでも周りを見ておかないと!」


「そう思えばそうですね…!」


「さ、行こうか…!」



プラム、ライオン班…


「着いたねー!」


「ここは…展示室といったところか?絵画とか宝石がすごい並べられてる」


「取っちゃうー?」


「いや、ここで警報が鳴ると面倒なことになるから…逃げる時だ!」


「オッケー!でも本当に綺麗だよね…」


「それだな…」



アップル、ワシミミズク班…


「さて、俺たちは…」


「まずは探索なのです」


「だよな…!危ないよ…警察が来る!」


「飛ぶのです!」


「…ん?誰かいたような…」


「…ふぅ、間一髪だな!」



コスモス、フェネック班…


「俺たちは探索なんてしない…」


「ブレーカーを落として警報を鳴らさせない、だよねー?」


「そうだ。だが電子ロックだな…」


「コスモスならハッキングでなんとかできるよねー?」


「もちろんだ。すぐになんとかしよう。そして…この電子ロック、内側からもパスワードを入力しないと出れないみたいだな…いいことを思いついた」



カカオ、アフリカオオコノハズク班…


「金庫発見…!」


「開けるですか?」


「うん!…隠れながら開けるからさ、見張ってて?」


「わかったのです…!」


「来たらこのボタンを押して?」


「理解したのですよ…!」



怪盗団は各自、別々の行動をしている。その中…


「やっばい…!」


「エントランスが…」


そう、エントランスが警察の簡易基地的な場所になっていた。どうしてもカップラーメンの匂いが食欲を誘ってしまうが、今は我慢しなければ。帰ったらおいしいご飯が待ってるぞ。


「大江戸さん、警備はどんな感じなんですか?」


「真紅の眼がある金庫部屋はそこに入るまでが普通では苦難の道となる。見えないレーザーセンサーに加えて踏み込んだ場所に強力な電気が走るようになっている。さらにもし乗り越えられたとしてもとられたら警報が鳴るシステムになっている。だから取られる可能性なんて0に近い!ハッハッハ!」


「油断してはいけませんよ…」


「…いいことを聞いた!」


『…皆、聞こえるか』


「ん?」


『今、ブレーカーを落とした。中は…混乱してるか?』


「いや、元々中の電気が消えてるから混乱はしてない」


『そうか。とりあえず、俺はブレーカー室に引きこもってるから脱出する時は言ってくれ』


「おっけ…!」


ちなみになぜ、真っ暗なのに普通に進めるかというと、フレンズだからである。


「さて…早くここを離れるよ!」


「わかったよ…?」


『オレンジ!聞こえる?』


「ん、どうしたの?」


『金庫を開けられた!数十万入ってた!』


「…申し訳ないけど頂戴して行こう!」


『わかった!』


『オレンジ!』


「また…どうしたの?」


『展示室にかなりの宝石を見つけた!俺の見る限り、純度は高いぞ?』


「ありがたく頂戴しよう!…財政難だからもらうしかない…」


『よっしゃ!任せておけ!』


『オレンジー、聞こえるかー?』


「もう!何?」


『かなり厳重な警備システムがある場所についた!コスモスにオレンジのスマホに座標を送ってもらうからそれを頼りに来て欲しい!』


「おけ!」


オレンジのスマホに座標が送られた。


「…よし!みんな、着いてきて!」


「わかった…!」



「オレンジ!」


「アップル!ありがとね!」


「ここなのです」


そこは長い一本道が続く真っ白の部屋。床は少し灰色でもある。


「あー…オリーブ、お願いできる?」


「任されましたよー!」


オリーブがメガネをかけて確認する。


「…元々はここにレーザーセンサーと床に触れると高電圧が体に流れるようになっているシステムがありましたが…コスモスさんのおかげで無力化してますね!」


「わかった!すぐに行こう!」


怪盗団は堂々と進む。当然、警備は働かない。


「ドア…開けるよ?」


「うん…!」


ドアを開けると、正面に真紅の眼、周りに大量の金庫がある。


「うわぁ…!」


「すごい…これが例の…」


「待つのです。奥の張り紙が気になるのです」


「え?」


ワシミミズクに言われるまで気づかなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

覚醒剤の使用法

タバコのように吸う。それだけだが、吸うのはこの部屋だけにするように。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「は…!?」


「覚醒剤…大江戸は違法薬物を…」


「と、ともかく…みんな、早く盗って逃げるのですよ!」


「…みんな、先に逃げてて」


「え?」


「僕は…みんなを連れて逃げる」


「…わかったよ?」


「先に逃げてますね!」


オレンジ以外の全員が逃げる。


「…ふぅ、プラム、カカオ、コスモス、聞こえる?」


『どうした?』

『何ー?』

『何か用か?』


「真紅の眼を盗ったからさ、みんな逃げて?僕は…遅れるかも」


『…わかった!どんな事情があるかわからないけど…僕たちはオレンジを信じてるからね!』


『絶対に逃げてこいよ?そしてパーティーをやるぞ!』


『俺たちの努力、無駄にするなよ?』


「…うん!わかった!」


オレンジの正義の心に…火がついた。



エントランス


「…どうだ?」


「全く反応はありません」


「そうか…」


「怪盗団は私の警備システムに怖気付い」


そんなところに、彼は現れる。


「警察の皆さん!そして…大江戸政義さん!」


「!?」


「僕の姿が見えるでしょうか?」


「…いたぞ!あそこだ!」


「僕はリバースワールド怪盗団の一員です!今後とも、お見知り置きを…」


「どうした。怪盗団は隠れるんじゃないのか」


「まだ、僕たちは真紅の眼は盗んでいません!ですが…警察の皆さんに一度、見てもらいたいものがあります」


「見てもらいたいもの?」


「そうです!その位置を書いたカードを渡しておきますね!…では、僕はこれにて撤退します!警察の皆さん!GOOD BY!そして…大江戸政義さん…GOOD NIGHT…」


オレンジは逃げる。


「このカードは?」


「…とりあえず行く価値はありそうだな」


警察は渡されたカードに記された場所へと向かう。そこは…



「…!本当に取られてない…」


例の一本道の先にある、真紅の眼と覚醒剤がある部屋。


「…コンさん、これは…」


「覚醒剤の使用法…大江戸さん、これは?」


「…嘘だ!これは怪盗団が残した偽りの情報だ!」


「金庫が空いてます!…中には葉が…」


「…これは覚醒剤の葉だな。…大江戸さん」


「…違う!」


「大江戸 正義さん。あなたを、逮捕します」


「そんな…怪盗団に捕まるなんて…!」


「…怪盗団…」



「ただいま!」


「おかえりー!」

「おかえりなさい!」

「帰ってきたのですー!」

「やっと帰ってきた!」


「どう?収穫は」


「まあ、当然真紅の眼はある」


「俺は…!見ろ!たっくさんあるぞ!」


「おぉ…!家に飾れる…よね?」


「その時は四神のみんなにお願いして広げてもらうしかないな!」


「そうだね!えっと…カカオの成果は?」


「お前はやりすぎなんだよなぁ…」


「ごめんなさいッ!」


「えっと…どれくらい?」


「あの金庫ごと持ってきちゃったもんで…500万」


「え、今なんて?」


「だから…500万」


「な、なるほど…?」


「これでお金にはしばらく困らないな!」


「そうだね…?」


カカオ、やばい。


「まあ…さっさと逃げるぞ!コスモス!運転を頼むぞー!」


「任せろ」


オレンジがやったことを知ったのは翌日の朝だった…

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