第6話 当日

夜11時…


「さぁ…準備はいいな?」


「もちろんさ!」


「あぁ。ハッキングなら任せろ」


「救助なら任せろ!」


「僕もね!」


「初めてなのに早くも潜入ですか…緊張します…!」


今回は全力で守るとして、イタリアオオカミも連れて行く。


「頑張ってきてね?」


「美味しいご飯を作って待ってるのです!」


「夕ご飯食べてあるからおつまみ程度にね?」


「お酒も買っとく?」


怪盗団は大学四年生、成人しているため、お酒が飲める。

学校ではもちろん禁止だが、こっそり家では飲んでる。


「あー、頼む!」


「ひとつだけだからねー?」


「明日学校だからなー!」


「酔うのはダメ、だよー?」


「…怪盗団だから許されたりしないかな…?」


「一応大学生でもあるんだからね?」


「そうだね?」


「さ?そろそろ…行きますか!」


「うん!」


「頑張ってくるのですよ!」


「うまく…できますかね…?」


「ほら!もう怪盗団の仲間なんだろ!自信持て!」


「そうだよ!あんなに訓練もバッチリできてたんだし!」


「光学メガネだって、できたからね!」


「みんな…ありがとう…!」


「さ、行こう!予告状は出した!ここからは僕たちの仕事だ…!」


怪盗団、出撃。



展覧会会場の建物の屋上…


「…すごい静かだな…警官はいるが」


「ふっ、こっからは…俺たちの出番だな!」


「頼むぞ?」


「さ…オリーブ!初仕事だ!」


「はい!」


「さて…IT,S SHOWTIME…!」



通気口内…


『いいか?そこを左に進め』


「はーい…!っていうかなんでもう光学メガネつけてるの?」


「ワクワクして仕方がないんですよ…!」


「あぁ、その気持ち、わかるぞ?俺たちも最初の頃はワクワクして仕方なかったからな!」


「そうだねぇ…あ、リバースワールド怪盗団のコンセプトを伝えておくと行きは鮮やかに、帰りは派手に、だよ?」


「え?なんで派手になんですか?」


「ほら、大体宝を取るとサイレンなっちゃうからさ?どうせなら演出に凝ろうってなってさ!」


「なるほど!ありがとうございます!」


「礼なんかいらないからね?もう同じ仲間なんだから!」


『話はそこで終わりにしろ。目的地だ。…下に見えるな?』


「…うん。バッチリ見える」


『そこから下りるのが最短ルートだ』


「…ダメだ。溶接されてて外せない」


「…おい、どうするんだ…!」


『…アップル、ナイスだ』


『へ?』


『アップルがトイレの通気口へ行くためのルートを模索した。少々危険だが…多分ここが無理なら危険になるが確実に行けるルートをカカオに説明させる。その間、俺は通気口を出た後のルートをなんとか探そう』


「おっけ…!」


『…はーい!準備はいいかなー?そのまま後ろに下がることはできるかな?』


「…オリーブ、後ろだ…下がれ!」


「わかりました…!」


『…!待て!』


「え?」


『オリーブ。オレンジに光学メガネを貸してやってくれ』


「はい?」


『オレンジ。その光学メガネでセンサーを発見するんだ。おそらく厳重な警戒がされているはずだ』


「なるほど…あっ、やっぱあるよ」


『アップル、確か黄竜の周りはガラス張り…だよな?』


『そうだな!確かに強化ガラスらしいもので囲まれててそこに少しの隙間が…あっ、まさか!?』


『…よく気付いたな。センサーに当たれば必ず良くないことが起きる。まずは盗らせないようにバリアを貼ると同時に警報もなる。そこでゲームオーバーだ』


「…なるほど…!」


「じゃあどうやって盗るんだ?」


『俺がなんとか頑張ろう。合図を出す時に盗ってくれれば構わない』


「わかりました…!」


「オリーブー?はい、ありがとね!」


「はーい!じゃあバックしますよ…?」



『その様子だとバックできたね?じゃあそのままその道を今度は右に進んで?そして突き当たりを左に進めばそこがトイレの真上になるよ!』


「…待ってください。それって獲物がある部屋の隣じゃないですか?」


『さすがは成績が上位のオリーブ!大正解!』


「おお!すごいな!」


「えへへ…ありがとうございます…」


『さ、時間は限られている。急げ。俺たちは昔のような過ちを犯さない』


「わかってる…」


「え?何かあったんですか?」


「覚えてるか?2年前、予告状を出したが怪盗が来なかったっていうニュースをさ?」


「はい…覚えてます」


「あれを僕たちは…恥だと思ってる。仕事に全うできなかったことに恥をかいた。だからこそ、同じ失態はできないんだ」


「なるほどです…」


怪盗団は同じミスはしたくない信念の持ち主でもある。


『オリーブ。今度俺たちの失態リストでも見るか?オリーブにも真似してほしくないからな』


「なら見させていただきますね!あれ?でもあの別の怪盗団に盗られることは…」


『あれは失態ではない。単なる俺たちの戦略が負けたんだ。それに…勝手ながらも俺たちはアイツらのことをライバルとして見てるからな』


「そうなんですね…!」



「トイレ到着っと…!」


『警備員はいないね?』


「うん。いない」


「じゃあ降りていいよ?」


そのまま降りる。


「降りたよ…?」


「オスのトイレってこんな感じなんですね…?」


『あっ…オリーブは…ごめんね?』


「大丈夫です…これも作戦なら仕方ないです…!」


『よし!じゃあそのまま出ればメスのトイレとオスのトイレの入り口に着くんだけど…そこからは警備がやばいから気を付けて?内部の解説をしておくと辺りに動くサーチライトが付けられている。当たれば見つかるから気をつけてね!そして黄竜の部屋の前にはショーケースがあるんだけど…そこを警官2人がグルグル回ってる感じ!そしてそこを越えれば交流の部』


「いたぞ!」


「待って見つかった…!早急に離脱する!」


「逃げる場所ある!?」


「窓がある!プラム!頼むね!」


「おう!サイフリートパニッシャー!」


パリ-ン!


「こいつはお土産だぜ!」


「ゲホッ!?なんだこの煙は!」


「じゃあねー!オリーブ、行くよ!」


「はい!」


怪盗団は空を舞う。


『…!二手に分かれて!』


「は?」


『オリーブともう1人は逃げて!そして1人で黄竜を盗むんだ!』


『すでにハッキングしてトラップ解除済みだ!急げ!』


「…プラム」


「あぁ!わかってる!オリーブ!ついてこいよ!」


「はい!」


「待て!」

「止まれ!」


「そう簡単に止まるかよ!」


プラムは路上に粘土爆弾と睡眠爆弾を同じ位置に投げる。


「ゲホッゴホッ、なんだか眠く…」バタッ


「なんだこれは!?」


「粘土爆弾、ガム爆弾とも言えるな!」


「…私って足手まといじゃないですか?」


「そんなわけ…無いだろ…!怪盗団に入った時からお前は仲間だ!仲間は…守るものだろ!」


「…はい!」


「さぁ!逃げるぞ!オレンジに任せるんだ!」



オレンジは…


「やっぱガラッガラだね…」


警備員もほとんどいない。…そんなところで彼がやってくる。


「…今がチャンスだな♪」


「…!あれは!?」


見知らぬ者が怪盗服を纏い、黄竜のある部屋へと駆け込む。


「…!させるか…!」


オレンジは水鉄砲を構え、その者に打つ。


「おわっ!?」


「じゃあね!」


「止まれ!警察だ!」


2人、待っていた。だがノリになっているオレンジと同業者の者は…


「ちょっと邪魔だよ!」

「邪魔だ!」


オレンジは蹴りを一発入れて、警備員を気絶させる。


「…ごめん。こうするしかなかったんだ」


「この隙に…♪」


「…待って!そのまま盗らないほうがいい!」


「は?」


同業者に邪魔されると厄介でもある。さらにらこのまま盗ろうとするとバリアが張られるはず。


「センサーが付いているから…盗らないほうがいいよ?」


「じゃあ…どうするんだ?」


「まあ待っててよ…君、あの怪盗団、リベリオンウィングの?」


「そうだ!となると…」


「うん!僕はリバースワールド怪盗団のリーダー!オレンジ!同業者として、よろしくね?」


帽子を取り、自分の全てを晒して自己紹介する。オレンジにとって自分の全てを晒すことはあまりない事でもある。


「あぁ。俺はルロウだ!見たところ…フレンズか?」


「うん!…おっと、ごめんね?連絡来ちゃった」


『オレンジ。ハッキングが完了したが…すまない。サイレンだけは鳴らないようにしたがバリアを張ることは防げなかった』


「あー…充分だよ!ありがと!」


「…どうした」


「センサーについてだけど…おっとそうだ。コスモスー」


『ん?どうした?』


「防犯カメラどうにかできない?」


『安心しろ。とっくになんとかしてある』


「さすがはコスモスー!」


「防犯カメラ、大丈夫なのか?」


「うん!それにセンサーについてだけど、サイレンは鳴らないようにはしてあるけどバリアは張られちゃうみたい…」


「…壊せないか?」


「…試す価値はあるよ?」


「…オレンジ…だったか?協力しないか?」


「協力?」


「力はあるか?」


「ある程度なら」


「なら壊してくれ。俺はバリアが張るのを防ごう。その間にオレンジ、お前はガラスを壊してとってくれ」


「…おっけ!じゃあ…ウルルルル…」


オレンジの特殊能力として四神のフレンズたちからもらった力として野生解放・暴がある。暴走した時の力を操れるようになる。


「…よし。じゃあ、行くぞ!」


「アァウ!」


2人で同時に向かう。


「…!頼むぞ!」


「ガァァァウッ!」パリ-ン!


見事に壊し、黄竜をショーケースから取り出す。


「…ふぅ、慣れないものだよ!…さて、どうする?」


「…盗まないのか。いいやつだ」


「ふふっ、それはどうも?でも…半分にするわけにもいかないし…どうする?」


「どうするか…」


「…そうだ、いい方法がある」


「お?」


「勝負だよ…」


「何でだ?」


「ジャンケン」


オレンジ、割とジャンケンが好きなのだ。


「嘘だろお前…この場に及んでか?」


「いーや!僕は真面目だよー?」


「ならいいが…」


「一本勝負!負けたら潔く諦める!いいね!」


「あぁ!」


「「最初はグー、ジャンケンポイ!」」


2人が出したのは…!


「僕はパーだね!」


「俺はチョキ…」


「…負けたー!」


「…いいのか?本当に」


「もちろん!潔く諦めるって言ったじゃん!」


「なら…もらっていくぞ!」


「あっ!一つ、お願いしてもいいかな?」


「お願い?」


「うん!…僕たちリバースワールドは君たちリベリオンウィングのことを勝手にライバルだと思っている…そして、ここでお互いに顔を合わせられた。だから、君たちも僕たちのことをライバルだと思ってほしいな?」


「…そうだな。それも悪くない!」


「じゃあ、これからはライバルとして、よろしく!」


「あぁ!…そうだ」


「んー?」


「連絡先、交換し合わないか?」


「おっ!面白そうだね!いいよ?」


「アジト、カフェだがたまには来てもいいぞ?裏は見せられないが…」


「なんならうちにも来ていいよ!普通の一軒家だけど…来てくれた時にはおもてなしはしてあげるから!」


「…よし!スマホは、持ってるな?」


「当然!」


お互いにスマホを振り合い…


「…よし。できたぞ!」


「ありがとね!僕はもう用事は終わったし、帰らせてもらうよ!」


「あぁ!またな!」


というと彼は夜空に舞う。


「…ふぅ。聞こえる?」


『あぁ。戻ってこれるか?」


「うん…でもね?ごめん、作戦失敗」


『…そうか。反省会は後だ。戻ってこいー?』


「わかってる!」


すぐに戻る。次の作戦を立てるために…

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