第26話 小異と大同
「ラー・メンマ、加勢するわ!」
アスカムーンが呼びかけたんだけど、
「ワタシは群れる気はないアルヨ」
既に戦闘中のラー・メンマはつれない返事を返してくる。
「今は主義主張で対立している場合じゃないわ。これだけの数の魔獣なのよ? ばらばらに戦っていては各個撃破されてしまうわよ。小異を捨てて大同につきなさい」
「それは弱者の論理アルネ。ワタシは一人でも大丈夫、ワタシはワタシの信じる正義を貫くだけアルから」
「って言ってますけど、どうするんですかアスカムーン?」
ラー・メンマのあまりの物言いに、わたしがプリプリしながアスカムーンに尋ねると、
「……仕方ないわ、ひとまずは私たちだけで戦いましょう」
アスカムーンは半分諦め顔でそう言った。
「ですね」
「私が前に出るから、いつものようにシャイニング・プリンセス・ステラは援護を頼むわよ。乱射モードで」
「はいっ!」
「まぁこれだけ魔獣がいるんだし、適当に撃っても多分当たるから」
「了解であります!」
わたしとアスカムーンは、ラー・メンマの説得を一時保留にして、コンビを組んで魔獣を倒しにかかることにした。
「シャイニング・バスターライフル、乱射モード! てりゃー!!(/・ω・)/」
シュバババババババババババババババッ!!!!
わたしはシャイニング・バスターライフルの威力をやや下げると、手あたりしだいにフルオートで撃ちまくる。
なにせ今日は魔獣の数が多いからね。
アスカムーンがなるべく1対1で戦えるように、弾幕を張って足止めするんだ!
――って、おっとと、左の弾幕が薄いや。
なにやってんのわたし、修正、修正と。
弾幕が魔獣たち全体に行き渡るよう広範囲に、わたしは撃って撃って撃ちまくった。
「ナイス、ステラ! じゃあ私もフルパワーで行くわよ! まずはそこっ! ムーン・ウドン・ウィップ・エスカレーション!」
シャイニング・バスターライフルによる弾幕で魔獣が足止めを食っている間に、アスカムーンがムチのようにしならせた必殺のうどんで次々と魔獣を倒し、封印していく。
鬼気迫る姿だった。
「すごっ! 今日のアスカムーンは、一段と気合が入っている感じです!」
まるで、とあるお昼休みにライバルに挑発されたことを若干根に持ってるみたいな感じ?
あくまで例えだけどね。
そうして激闘に次ぐ激闘で、半分の50体くらいの魔獣を倒した時、
「あれ? 魔獣たちの動きが変だよ?」
残り半分の魔獣たちが、急に一つの場所に集まり始めたことに、わたしは気がついた。
「これは――! まさか――! いけない――っ!」
その動きを見て、アスカムーンは何かを察したみたいだった。
「知っているんですか、アスカムーン!?」
「魔獣が合体して魔獣キングになろうとしているんだわ!」
「魔獣キング――、って何ですか?(*'ω'*)」
急に出てきた新しいテクニカル・ターム(専門用語)に、わたしは頭に?マークを浮かべた。
「魔獣キングは100年に一度、魔獣が集いて現れると言う、魔獣たちの王と言われる存在なんだけど――」
「それがこれってことですか!?」
「私も見るのは初めて文献で知ってるだけなんだけど、恐らくそうに違いないわ」
「はやく合体を止めないとです!」
「いえ、もう間に合わないわ――くっ、まずいわね……」
いつも冷静なアスカムーンが取り乱していた。
これはそれほどの出来事なのだ――!
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