第25話 緊急魔獣速報
それは突然の出来事だった。
土曜日の午後、わたしとアスカちゃんさんが優雅にアフタヌーンティー(午後〇紅茶)をエンジョイしていると、
わたしとアスカちゃんさんのスマホが、不安を煽る着信音と共に、同時に震えたのだ。
「これは――!」
「内閣府から正義の味方に送られてくる、緊急魔獣速報ね!」
「そんなものが!? 最近の正義の味方は、かなりハイテクなんですね!?」
わたしとアスカちゃんさんはすぐに通知を確認した。
すると、
「なっ! 多数の魔獣が出現したですって!?」
「えっと、場所は港湾エリアで、機動隊の特務部隊が出動して、完全封鎖をしつつ避難誘導中って――」
「O.K.ステラ、優雅なティータイムは終了よ。今すぐ出動するわ!」
「ラジャーです!」
わたしとアスカちゃんさんは、世界の平和を守る正義の味方として、可及的速やかに現場に急行した!
機動隊の隊長さんには官房長官から話が通っていたみたいで、わたしたちは完全装備の特務部隊が遠巻きに囲んでいる封鎖地区の中へと、すぐに案内される。
避難誘導はもう終わってるみたいだった。
そしてそこにはなんと、100体近い魔獣がいたんだ――!
「わわっ、アスカちゃんさん、スゴい数の魔獣いますよ!?」
「そうね。でも泣き言は言ってられないわ。だって私たちは正義の味方なんだから」
「は、はい……! って、あれって、ラー・メンマです!」
そして既にそこにはラー・メンマがいて、魔獣たちと戦っていたのだ!
わたしが「よーし、負けないようにがんばるぞ!(*'▽')」って気合を入れていると、
「ステラ、あなたはここに残ってなさい」
アスカちゃんさんが、急にそんなことを言ってきたんだ。
「え……? あの……?」
「これだけの魔獣を相手にする以上、死ぬ可能性がそれなりに出てくるわ。あなたを死地に送り込むわけにはいかないの」
「でもわたしだって正義の味方で――」
「いいえ、正義の味方の家系に生まれてきた私たちと違って、一般人のあなたにとって正義の味方は成り行きで、本当は別の夢があったはずよ」
「ぁ――」
「銀河系アイドルになって、うどんソングでうどんを全宇宙に広めると言う夢を叶えるんでしょ?」
「あ、いえ、途中から全然まったく違ってます、さらっとひどい捏造をしないでください(;´・ω・)」
いつのまにか銀河系うどんアイドル志望にされてしまうところだった。
「細かいことは今いいの。わたしは直径1.6ミリ下の細うどんよりも、1.7ミリ以上の正規規格で打たれた太いうどんを重んじるタイプだからね。もちろんどちらも好きだけど」
「いえ、全然細かくないんですけどね……? わたしの人生に関わることですからね……?」
あと、うどんの太さに例えられても返答に困ると言うか……。
「ともあれ、ステラ。あなたはここで待っていなさい」
「いいえ、わたしも戦います」
アスカちゃんさんからかけられた優しい言葉に、だけどわたしはきっぱりと言った。
「ステラ?」
「わたしも戦います。だってわたしの中の
わたしの身体からピンク色の
「今までにない、猛烈なまでの
アスカちゃんさんが驚愕の声をあげた。
自らの死を覚悟してまで、わたしを守ってくれようとしたアスカちゃんさん。
そんな優しい優しいアスカちゃんさんを死なせたくない、助けたいと思った途端、ものすごい力が沸いてきたんだから――!
わたしはその燃え上がる
「ほあああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!! 」
わたしは、わたしの中に眠る
銀河の極から、わたしの中にひとつの
わたしの身体が、ピンク色の
ジャキーン!
ジャキジャキジャキーン!
シャイニング・アイドル・ドレス!
シャイニング・アイドル・ニーソックス!
シャイニング・アイドル・ブーツ!
シャイニング・プリンセスティアラ!
そして最後に、何物をも打ち貫くシャイニング・バスターライフル!
そして現れ
「銀河の翼に
わたしは
あ、でも、ここっていつもの帝国通りじゃなくて港湾エリアだった……ま、いっか。
さらに続いて、
「ムーン・メガミック・パワー! ウドンアップ!」
起動ワード=イグニッション・スペルとともにアスカちゃんさんが、銀色の月光のようなキラキラに包まれて、アスカムーンに変身する!
「灰は灰に、塵は塵に。そして物語は物語に――。うどんとノベルのセーラー服美少女女神、アスカムーン! 月見うどんにかわってオシオキよ!」
アスカムーンも決めポーズ&決めゼリフをシュバっと決める。
そうして変身したわたしとアスカちゃんさんは顔を見あわせると、ラー・メンマに加勢して100体を越える魔獣たちと戦い始めた――!
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