第24話 わたしの正義
中国からやってきた謎の正義の味方ラー・メンマと、なかなかに難しい出会いをしたその翌日のお昼休み。
「ステラちゃん、今日も一緒にお昼食べるアル。おごるアルネ」
リャン・メンマちゃんが笑顔でお昼に誘ってくれた。
「あ、行く行く~! いつもありがとう、ごちになります!」
わたしは十割蕎麦を注文し、メンマちゃんはラーメンを注文して、今は学生食堂で向かい合って食べている。
「どうしたのステラちゃん、今日はいつもより静かアルネ? 考えごとアルか? 良かったら相談に乗るアルよ?」
メンマちゃんがいたわるように声をかけてくれた。
メンマちゃんってば、すごく優しいんだよね。
ご飯もおごってくれるし、気遣いもできるし。
うどん狂いしてない時のアスカちゃんさんと同じくらいって感じ。
「あー、うん、そーだね……」
せっかくだから、ちょっとだけメンマちゃんにも相談してみようかな?
もちろん正義の味方とかジャス活(ジャスティス活動)に関することは言えないから、上手くぼかして説明しないといけないけど。
「えっとね、メンマちゃん。もし『正義』が2つあったら、メンマちゃんはどうする? どっちもね、正しいことなんだけど、でも
「へぇ、ステラはパッと見アホに見えて意外と難しいこと考えているアルネ。ワタシの中で、評価を大きく上方修正したアル」
「あはは……( ̄▽ ̄;)」
「でもそんなの簡単アル。困ったときに信じられるのは自分だけアル。自分の信じる正義を信じるアル」
「え~~? じゃあもしだけど、自分が間違ってたらどうするの?」
「間違っててもいいアルヨ。結果はどうあれその時、自分で考えて正しいと思った選択をした――その事実こそが、2つの正義ともまた異なった、ステラのステラによるステラだけの正義アル。正義は自分が決めるアル。他人は関係ないアル」
「すごいなぁ、メンマちゃんは……とても同い年とは思えないよ……」
「我が祖国は14億人を超える世界最大の人口を誇る大国家ある。日本に国費留学するには厳しい競争を勝ち抜かないといけなかったアル。その中でみつけた真理アルヨ」
「そっか~。でもそうだよね。最後は自分を信じて戦えばいいんだよね」
「まぁその結果、行きつく先はたいていが戦争アルけど。正義と悪じゃなく、正義と正義がぶつかり合うのが現実の戦争アル」
「あはは……。でも、うん、ちょっとだけわかったかも」
なにが正義はわたしが決める──今はまだふんわりとした理解だけど、すごく納得がいったっていうか。
「無事に悩み事は解決したみたいアルネ。役に立てて良かったアル。さてと、麺が伸びないうちに食べるアル」
「だねっ!」
さすがメンマちゃん。
悩みごとが一瞬で解決しちゃったよ。
お昼にお蕎麦もおごってくれるし、メンマちゃんと友達でよかったぁ(*'▽')パアッ
心が軽やかになった食堂からの帰り道。
「あ、アスカちゃんさんだ!」
視力2.0を誇るわたしのステラ・アイが、廊下を歩くアスカちゃんさんを発見した。
ぶんぶんと手を振ると、アスカちゃんさんも気付いて近づいてくる。
ちょうどいい機会だよね。
わたしは早速メンマちゃんをアスカちゃんさんに紹介した。
「こちらはクラスメートのリャン・メンマちゃん。ご飯をおごってくれたり、悩み事を聞いたりすごく優しんだ。でこの人が
わたしも最近知ったんだけど、実はアスカちゃんさんはわりと学園の有名人なのだ。
生徒たちに慕われているだけでなく、先生方からの信頼も厚いみたい。
だから前にメンマちゃんから、色々とアスカちゃんさんのことを聞かれたのも納得だよね!
「ステラから紹介があった通りアル。ステラのクラスメートのリャン・メンマ、中国からの留学生アルネ。初めましてアスカムー、いや
ぺこり、とメンマちゃんが小さく頭を下げた。
「こちらこそ初めまして、ステラの同居人の
アスカちゃんさんも小さく頭を下げる。
「これくらい、ちっとも大したことないアルヨ。なんならワタシがステラと同居してあげてもいいアルネ。ステラはいい子アルからね」
「お気遣いどうも。だけどステラはちゃんと私が面倒を見るわ。先輩としてね」
「ふぅん、そうアルカ。ま、そういうことにしておくアル」
「引っかかる言いかたね」
「気のせいアル。日本語は難しいアルから、気に障ったのなら謝るアル」
……あれ?
気のせいかな?
なんだか2人がえらくピリピリしているような?
なんでだろう?
2人とも初対面のはずだよね?
はっ――!?
もしかして!!
わたしをめぐって争い合うライバル関係的な!?
「だめです! わたしをめぐって争うなんてそんなのだめぇ!」
わたしはいてもたってもいられなくなって、すぐに仲裁に入ったんだけど、
「ステラは一体なにを言ってるアル?」
「あなたはいつも平和ね……」
なぜか2人から生暖かい目で見られてしまった。
あれれ?(*'ω'*)
特にそういうわけではなかったり?
「でもでも、そうじゃないんだったら、なんでそんなにピリピリしてるんですか?」
わたしが質問してみると――、
「え!? ステラ、もしかしてあなた気付いていないの!?」
アスカちゃんさんが驚いた声を上げた。
「気付いてないって何にですか?(*'ω'*)」
「ハハハ、ステラは本当に大物アルネ。そういうところは見習いたいアル、割と本気で」
そしてメンマちゃんからはなぜか褒められてしまった。
なんだかよくわからないけど、褒められたからヨシ!
こうしてわたしと、アスカちゃんさんと、メンマちゃんの初顔合わせは、良くわからないままに終了した。
でもなんだったんだろうね?
よくわかんないや。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます