あの夏の日に…
@daichii
第1話 どんな夜を過ごしたの…
スカートの裾が地面スレスレをそよいでいた。
歩道の端から端へと斜めに移動し歩行がおぼつかない。
長い髪が大きく揺れる。
荷物を持っていない両手がリズムをとるように上下をし、余計に無防備に見えた。
彼女はどんな夜を過ごしここにたどり着いたのだろうか…。
朝の4時がこんなに明るいとは知らなかった。
カーテンの隙間からこぼれる朝日で目が覚めた。
前の晩にテキトーに閉めたツケが、こんな形で回ってくる。
重たい体を起こし、閉めようとしたそのカーテンの隙間から見えたのがさっきの女の子だった。
淡いラベンダーカラーのロングスカートをひらひらさせて歩くその姿は、
左右に揺れ、遠目に見ても危なっかしい。
まだお酒が残ったまま、どこからか歩いてきたのだろうか…。
しばらく目が離せずじっと見ていると、道路沿いのパン屋さんの外玄関の戸を開けた。彼女の姿が内玄関に入っていくところまでは見えなかったが、もうすでに視界にはなかった。
無事に見届けた安心感とともに気づく。
あのいつも手伝っているパン屋さんの娘さんだったのか…。
そして再びベッドに戻った私は、彼女と重なるあの日の由香を思い出していた。
あの夏の日に… @daichii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あの夏の日に…の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます