第5話

 フリーフォールから帰ってきた九条と流星は少しぐっだりしながら俺達の隣にあるベンチに座る。


「んで、写真撮れたか?」

「ん、おおう。ほら、見てみろよ。良い顔してるぞ。」

「うそっ!まじで!?早く見せろ!!」


 流星が早く見せろって言ってるんだ。仕方ない。見せてやろう。最高傑作を。……ぷぷ。


「どれどれ––––––。っておい。」

「ん、どんなの………。ぷっ、あははははっっ!!」


 俺が撮った最高傑作を見せると、流星は少し驚愕し、九条は流星の間抜けな顔を見てつぼにはまったらしい。


「俺のナイスな写真はーー!?」


 写真を見て恥ずかしくなったのか、流星は顔を赤くして、俺の胸ぐらを掴み、ゆらゆらと揺らしてくる。


「し、仕方ねぇーだろ?お前のナイスな顔がなかったんだからさ。」

「どっかにちょっとぐらいあったろーー!?」

「わ、わかった!ナイスな写真今度こそ撮ってやるからもう一回行ってこい!」

「や、やめとくわ。」


 流石に二回連続は嫌なのね。


 流星は諦めたのか、俺の胸ぐらを離す。


「そ、それで、次はどこに行くんだ?」


 コホンと咳をして少し落ち着いた後、みんなに提案してみる。


 瑠夏と九条は「うーん」と考えている様子だったが、流星だけは別に考えている様子は無く、


「時間はまだいっぱいあるし、適当に行けばいいんじゃね?」


 と、みんなに言う。


「……ま、確かにそうだな。」 


 そうして、俺達は流星の言う通り、適当に歩き、やりたいアトラクションをした。



 ***


「あぁ……。結構疲れたな。」


 時間はもう18時を回っていた。季節が夏のおかげで、まだ辺りは明るかった。


「今日はそろそろ帰るか。」


「同意ー。」「おっけー。」など、九条と流星が言うなか、瑠夏も頷いてくれた。


「瑠夏。楽しかったか?」

「うん。楽しかった。……みんなありがとう!」

「おうよ!また行こうよ!!」

「そーだね。……そうだ瑠夏!連絡先交換しようよ!!」

「あっ、それじゃあ俺も!!」

「うん。いいよ。交換しよっか。」


 そう言って3人はスマホを取り出し、近くに寄り始める。


「光真。お前は?」

「俺はもう持ってるから。待ってるよ。」

「そっか。」


 そして数十秒後、連絡先の交換を終え3人はスマホをしまう。


「交換した事だし、帰るかー。」

「だな。」


 流星の言葉に同意し、俺達は遊園地の出口へ向かった。



 遊園地を出て、帰りの電車に乗って、途中で九条と別れてから、最寄りの駅に降りて3人で歩く。


「瑠夏ちゃんはこの近くに住んでるの?」

「うん。そうだよ。」

「へー。」


 それを聞いた流星は何故か嬉しそうに顔を綻ばせる。一体、何がそんなに嬉しいんだろう。家が近い。それだけだろ?


 そんな事を思いながら、いつも通るコンビニを通り、流星の家に着いた。


「んじゃ、俺の家ここだから。瑠夏ちゃん、また月曜日に。」

「うん。またね。」

「じゃあーな。流星。」

「……瑠夏ちゃんに変な事するんじゃねーぞ?」

「しねーよ。」


 そう言って手を振りながら、瑠夏と一緒に家に向かう。


 いつの間にか、日は落ちていた。暗い道を二人で歩くのは初めてだな。


「光真君。」

「なんだよ?」

「今日はありがとね。」


 瑠夏はふふっと微笑みながら、礼を言った。

 たく、不意打ちでそれはやめてくれよな。ぐっと来るから。


「どうしたの?」

「な、なんでもねーよ。それよりほら、家に着いたぞ。」

「うん。入ろっか。私達の家に。」

「お、おう。」


 そうして俺達は家に入る。


 そういえば、瑠夏と会ってもう一週間か。なんだか、速いような、遅いような……。


 そして明日からは二度目の休日だ。俺はどう過ごすのだろう。

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