第7話

 会計を済ませ、とうとう俺達は電車に乗り込む。


 この日も席が空いていた為、流星、俺、瑠夏、九条の順に座って行く。

 この順に流星は不満していたが、そんなのは知らん。


「なぁ、席変わってくれよー。光真ー。」

「めんどくさいから断る。」

「俺達友達だろ〜!?」


 そんなくだらない事で友達を利用するな。

 そう思い、口に出そうとしたが、なんかもうめんどくさくなって言わなかった。


「––––––そういえば、瑠夏が転校してきたからもう一週間経つけどどうだ?」

「うーん。楽しいよ?でも、前行ってた学校とは違って色んな人達が話しかけてくる事にびっくりしてるけどね。」

「人気者だよねー。瑠夏は。」

「瑠夏程はいらないけど、俺も人気者になりたいなー。」


 俺がそう呟くと、流星がにやけながら「無理無理」と言う。


「なんでだよ。」

「だってお前、あんま個性あんま無いじゃん。ずば抜けてイケメンってわけでもないし、ただあるとすれば走るのが少し速いだけだしな。」

「ぐっ––––。やめてくれ。結構心に刺さってるから。」


 主人公を目指しているくせに、個性が無いってのは痛手だってわかってる。だから、流星の言葉が痛すぎる!


「へー。コウコウって人気者になりたいんだ?」


「まぁ、今よりは人気になりたいかな。流星の言った通り、あんま個性無いから空気になりかけてるし。」


「そうかな?コウコウってそんな空気みたいかな?瑠夏はどう思う?」


「いつも隣にいるし、最初に来た時は色々教えてもらったし、私からすれば別に空気じゃないかな。」


 まぁ、瑠夏と俺の関係は空気で済まされる問題じゃないしな。


 その話が終わるちょうどその頃、目的の駅に着き、俺達は降りる。


「こっから少し歩くのか。」


 この駅から遊園地まで徒歩10分といったところだ。


 俺達は再び雑談を交わしながら遊園地へと向かった。

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