第6話

 雑談を交わしながら料理を食べた。


 瑠夏の好きな人の事について再度聞かれたが、俺と瑠夏はなんとか会話を逸らした。そうしてみんなは料理を食べ終わる。


「どうする?すぐに出る?」


 九条がそう聞いてくるが、俺としてはもう少し休憩を挟みたかった。


「い、いや、もう少し休憩させてくれ……。」


 デラックスハンバーグセットを食べた流星は椅子にもたれかけながら、苦しそうに言う。

 まぁ、デラックスって言ってるしな。ボリュームも結構ある。これから遊ぶのになんでこんなの食べたんだよ。流星の奴は。


 流星の姿を見た九条はため息を吐き、「仕方ないね。」と言って、首を左右に動かす。


「……ねぇ、コウコウ。」

「どうした?」

「コウコウは好きな人っているの?」

「お、俺も気になるな。」


 苦しそうに流星が体を起こし、話を聞こうとする。倒れとけよ。


「急になんだよ。」

「えー?だって瑠夏が教えてくれないから、代わりにコウコウの好きな人をきこうかなって。」

「俺を代わり扱いするな………。好きな人はいない。」


 正しく言うなら好きな人は作らない。これは瑠夏に約束した事だ。俺の記憶を取り戻すまでは作らないと決めたのだ。


「ほ……、本当か?」

「ほんとだ。だから話は終わりだ。」

「ちぇ、つまらないの。」


 九条は唇を尖らせて呟く。


「なら、お前の好きな人は誰なんだよ?」

「えっ?」

「だから、九条。お前の好きな人は誰なんだよ。いるのはお前から聞いてるから知ってる。」

「あ、私も気になる。」

「俺も気になる……。」

「え、えーと……。」


 突然話題を自分に向けられ困惑しているのだろうか、九条は少し困惑した様子を見せる。


「ひ、秘密?」

「ってお前もそうかよ。」


 苦笑しながらそう言うと、なぜか流星がもぞもぞし始める。


「どうした?」

「この流れだと、お、俺の好きな人も聞いてくるんだろ?」

「いや、お前に関しちゃ興味無い。」

「なんで!?」

「だって、可愛いければ誰でもいいだろ?」

「ぐっ……!」


 言い返せよ。


 俺はため息を吐き、コップに入っていた水を一気に飲み干す。


「流星。そろそろ行くぞ。」

「お、おう。」


 この後、九条がレジに行く事が決まり、俺達は金を渡して会計を済ませてもらった。

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