第5話
授業が全て終わり、俺達3人は流星と合流する為、廊下に集まる。
「あっ、みんなもう来てたのかよ。」
流星が教室から出てきた。俺達の近くによるとノリノリの様子で前を歩き出す。
「早く行こうぜ!」
「……はしゃぎすぎだろ。」
流星の奴、女子と遊びに行けるってのが嬉しくてたまらないんだろうな。
俺は苦笑し、後に続くと2人も後を追う。
正門を出て、流星は最寄り駅へ直行しようとするが、俺はそれを一旦止める。
「んだよ。光真。」
「飯はどうする?向こうで食べるか、ここら辺で食べるか聞いておきたい。」
「あー確かに。向こうで食べるとお金かかるしねー。まぁどっちでもいいけど。」
「そう。だから聞いておきたい。ちなみに俺は金が無いからここら辺で食いたいです……。」
俺は財布の中にある金を確認する。
……千円札一枚とちょっとした小銭。
あー。情けねぇ!
遊園地は年パスでなんとかなるけど、飯の事は何も考えて無かった……。
うなだれている俺を見たみんなは、何故か優しそうな目で見てくる。
「ここら辺で済ませよっか。」
瑠夏がそう言うと2人はそれに賛成する。
やめて……。そんな目で俺を見ないで!
「……よし、そこにあるファミレスにしようぜ!」
流星が近くにあったファミレスに指をさす。俺達はそれに同意し、扉を開けて中に入る。
ここのファミレスは以前九条と行ったネオンの中にあるファミレスと同じだった。
席は俺、流星。九条、瑠夏が隣同士になって座る。俺は座ると速攻で辛チキンを頼む。その光景を見た九条は苦笑する。きっと以前の事を思い出しているのだろう。
「お前ほんと、辛チキ好きだよな。」
流星は呆れたように言ってくる。ふん。言ってろ。このファミレスでは辛チキンが至高なのだよ。
「さて、私達も頼みますか。」
九条がメニューを取り、瑠夏に見えるように開く。
俺達もメニューを開き、主食となる物を選ぶ。
「どれにするか……。」
流星が呟き、メニューを凝視する。
さて、俺も何か決めないとな。なるべく安いやつを選ばないといけないのが辛い所だな。
「これが一番安いな。」
俺が選ぶとどうやらみんなも選び終わったようで、顔を上げていた。
「みんなどれにした?」
「俺は一番安いランチセット。」
「私もそれにした。」
「俺はデラックスハンバーグセット。」
「私はたらこパスタ。」
俺、瑠夏、流星、九条の順で言った。
「店員さん呼ぶね。」
瑠夏がスイッチを押し、店員を呼び出す。
数十秒程の時間を開け、店員がやってきた。
「俺が言う。えー、ランチセット2つと、デラックスハンバーグセット、たらこパスタをお願いします。」
俺がそう言うと、店員は紙に書き込み、確認の為、注文を繰り返し言う。
俺達は店員が言った事に間違いが無い事を確認すると、店員はキッチンへ向かって行く。
「にしても光真。ほんと急だよな。しかも誘っておいて金無いってどうよ?」
「………金の事に関しちゃぐうの音も出ねぇ。誘ったのは瑠夏ともっと仲良くなろうと思って、………まぁ歓迎会みたいなもんだな。」
「歓迎会ねー。」
「んだよ。流星。」
「なんでもねぇよ。」
流星の奴、含みのある言い方だったな。
それからしばらくした後、注文した料理が届き、さっそく食べる事にした。
「にしても、瑠夏ってほんとに人気者だよねー。男達に告白されてるんじゃないの?」
九条がにやけながら瑠夏に聞いていた。
自然と俺と流星は耳を傾けてしまう。だって気になるから仕方ないよね?
「ううん。告白されてないよ。」
それを聞いた九条は「ほぅ」と呟き、再び質問する。
「質問変えるけど、瑠夏って好きな人っている?」
まずい。それは非常にまずい。瑠夏はきっと俺の名前を言わないだろうが、気まずい雰囲気が流れそうな気がする……。
「……いるよ。」
「えっ?」
つい俺は声に出してしまった。まさか、言ってしまうのか?
「へー……。それは誰なの?」
「………秘密。」
「「えぇーー!?」」
九条と流星は声を揃えて驚く。……よかった。言われなかった。
「教えてよー。瑠夏ちゃんーー。あっ……、もしかして、俺?」
「いや、違う。ごめんね。」
決めポーズで待機していた流星だが、見事玉砕する。……なんかすまん。
「ほ、ほら!それより食べようよ!」
瑠夏が話題を変え、料理を食べるようにみんなを誘導する。
俺にとってそれは最善な為、瑠夏の提案に乗っかる事にする。
流星と九条も不満そうな顔をしながらも食べ始めた。
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