第4話

 金曜日になり、誰よりも早く学校に来て寝ていたが、俺はある事を忘れていた。


「どーん!!」

「ぶへっ!?」


 背中に突然痛みと衝撃がはしり、俺は慌てて体を起こす。振り返ると九条が笑いながら俺の様子を伺っていた。


「おはよ!」

「……おはよう。」


 俺はため息を吐く。それを見た九条は不思議そうに俺を見る。


「どうした?」

「いつもなら、文句言うのに、今日は言わないの?」

「文句を言うのに疲れたんだよ。この一週間にいろいろ起きすぎなんだよ……。」

「そーなんだ。」

「–––––あっ、そうだ。」


 九条に聞きたかった事を思い出す。俺は九条の目を見て聞いてみる。


「放課後、俺と瑠夏と流星と遊園地に行こうと思ってるんだけど、九条も来ないか?」

「えっ?私もいいの?」

「あぁ。瑠夏と仲良くなったらどうだ?」


 昨日の夜。俺は流星に連絡して許可をもらった後、瑠夏にこの事を話した。

 瑠夏も行っていいと言ってくれたのだが、男2人と女子1人は昨日の放課後とあまり変わらず、瑠夏も寂しくなると思い、女子の中で割と仲の良い九条も呼んでついでに2人も仲良くなってもらえたらいいなと思い、今こうして誘っているのだが……。


「……うん。いいよ!今日は特に予定無いしね!……って言うよりいつの間に清水さんと仲良くなったの?」

「授業中。あぁ、後、ありがとうな。」


 俺が礼を言うとちょうどその時、瑠夏が教室に入ってきた。


「おはよ。清水さん。」

「おはよう。九条さん。」


 あまり会話する事が無かった事から、2人は少しよそよそしかった。


「瑠夏、九条も来るって。」

「そうなんだ。よろしくね。九条さん。」

「うん。よろしく。……瑠夏!」


 九条が瑠夏に距離を詰めてそう言うと、瑠夏は少し驚いた後、微笑み、


「あ、朱音……。」


 瑠夏は照れながら九条の名前を呼ぶ。……流星の時はこんなに照れる事なかったのにどうしたんだろうな。


「……今日は4時間で終わりだし、終わったらすぐに行くぞ。」


 俺はそう言うと2人は頷く。



 学校には仲良しで出来たグループと言うものがある。簡単に説明するといつも一緒にいる仲の良いメンバーと言った所だ。瑠夏はみんなに囲まれる事が多いが、対して仲が良いわけじゃない。それもあって瑠夏は今までグループには属していなかった。


 それだといつか孤立する。だから瑠夏にもグループに入ってもらいたい。

 今日、みんなを遊園地に誘った本当の理由は瑠夏にも流星と九条と仲良くなってもらい、この4人でグループを作れたらと思って誘ってみた。


 後は実行するだけ。


 俺は成功出来ると信じて、今日の学校生活を過ごした。

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