第3話
「お帰り!光真君!!」
家に帰って来た俺の前に、先に帰っていた瑠夏にお出迎えされる。
「おう。ただいま。」
瑠夏の姿を見るとついさっきの流星の言葉を思い出してしまう。
『瑠夏ちゃん。あの2人のどっちかに脈ありなんじゃね?』
今の様子を見るにそんな事は無いと思う。いや、思いたい。
「どうしたの?さっきからじろじろ見て……。」
瑠夏は顔を赤くしながら、体を左右に揺らし始める。俺、そんな見てたのか。
「わ、悪い。なんでもねぇ。」
俺は靴を脱ぎ、自分の部屋に向かう。
部屋に入ると、バッグを置き、着替え始める。
そうだ。昨日、瑠夏から聞いたし、見たじゃないか。
俺に振り向いてもらうために必死だったし、本音を話してくれた。
だから、確信を持って言える。流星の言っている事は間違いだ。
……でも、そうすると、あの2人はなんだ?取り巻きが男子だけってのも気になる。
「–––––あぁ。そういう事か。」
流星の言っている事は間違ってるけど、少し違った。
瑠夏が脈ありなんじゃなくて、あの2人のどちらか、もしくはあの2人が瑠夏に脈ありなんだ。
考えればわかったはずだ。瑠夏に近づいてくる男は大抵の場合下心があったはずだ。
清水瑠夏に近づきたい。清水瑠夏を自分の彼女にしたいとか。そんな事を思っている男は少なからずいたはずだ。
あの2人も例外じゃないはず。両方では無くとも、あの2人は親友と呼べる関係だし、片方が手伝う為にいる可能性がある。
「……うーん。」
俺は唸り声を上げながら考える。
–––––俺の予想だと、阿蔵が瑠夏の事を気にしてるんじゃないか?
放課後の3人を後ろから見ていると、並びが綾小路、阿蔵、瑠夏で並んでたし、綾小路が阿蔵をフォローしてたようにも見えた。
阿蔵はイケメンだし、性格もいいけど、鈍感な所がある。相手の事も、たまに自分の本当の気持ちすらも気づけてない時があるように見える。
「––––ははっ。まさかな。」
阿蔵は自分が瑠夏を好きだと気づいてないかも知れない。
阿蔵は気づかないまま、瑠夏にぐいぐい近づてると綾小路が阿蔵が瑠夏の事が好きだと気づいた。それで、綾小路は阿蔵と瑠夏を近づける為にみんなに頼んで、今日の放課後のような状況を作ったってことか?
「……考えすぎか。」
俺はため息を吐き、ベッドに寝転がる。
……仮に、俺が考えた事が本当の事だったら、俺はどうすればいいのだろう……。
「はぁー。」
さっきより深いため息を吐き、仮眠をとる事にした。
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