第6話
朝食を食べ終え、今は皿を洗っている最中だった。
瑠夏も洗うと言ってくれたのだが、善意ばっかりに甘えるわけにもいかないと思い、1人で洗っている。
瑠夏は自分の部屋に戻り、リビングは俺1人だ。そのせいか凄く静かに感じる。
「今日は何するかな……。」
昨日も本当は予定無しだったのだが、同居イベントが始まり、俺からデートイベントを入れて1日がすぐに過ぎた。
「ゲーム、するか。」
洗い物を終え、俺は自分の部屋に戻る。
山本家とは違い、この家には自室にもテレビがある。だからわざわざリビングに行ってゲームをする必要が無いのは少し助かる。
さっそく、テレビとゲーム機の電源を入れ、ゲームを始める。と思っていたのだが、
「–––––ん?」
コンコンとノックの音が聞こえ、俺は扉を開ける。
「どうした?」
「何してるのかなーって思って、来ちゃった。」
「何してるのかって……まぁ、今からゲームでもしようかなと。」
「ゲームか。なら私もやっていい?」
「別にいいけど。」
「ほんと!ありがとう!」
そうして、俺の隣に瑠夏が座り、コントローラーを取る。
「それで何やるの?」
「メインクラフトだ。メイクラぐらい知ってるだろ?」
「うん。ブロックでいろいろするゲームだよね。」
「まぁ、簡単に言うとそーだな。」
「これって二人で出来るの?」
「あぁ。やった事は無いけど。」
俺は二人でできるように操作し、ゲームをプレイする。
世界が生成され、俺と瑠夏のアバターが世界に召喚される。
「一応、新しい世界で始めるぞ。」
「二人の世界って事?」
「そーだな。途中から始めるゲームなんてつまらないだろ。」
途中から始まってなんの説明もないままやるなんて俺は嫌だ。だから瑠夏とやる時は二人専用の世界でゼロから始めるんだ。
「–––––まずは木を集めて家を作るか。」
そうして俺は瑠夏に操作を教えながら木を集め続けた。
「よし、これぐらいあれば家も作れるだろ。」
「ねぇ、光真君。」
「ん?なんだ?」
「家を作るならこの家と同じ家にしたいな。」
「現実の家か?いやいや、それは木じゃ作れないだろうし、大きすぎる。ゲームではゲームの家を作ろうぜ?」
「ゲームで私達の新しいマイホームを作るの?」
「その言い方はちょっと恥ずかしいけど、まぁそうだ。」
「ならわかった。」
よかった。現実の家を作ろうとすると素材集めにとてつもないほど時間かかるし、それまでの間、俺達はどこで暮らすんだって事になるし。聞いてくれてよかった。
「ささ。俺が指示するから作っていくぞ。」
「おー!」
それから俺は瑠夏に指示しながらも家を作っていく。家を作るセンスは結構良いと自分でそう思っている。
それから約30分が経ち、家が完成した。
「おぉ、まぁまぁの出来だな。」
「ここが私達の家……っ!」
「そんな大袈裟な……。もう夜だし、ベッド作って寝ないとモンスターに襲われるぞ。」
「あっ、わかった。」
俺と瑠夏は家に入り、先程集めていた素材を作り、ベッドを作る。
「よし、寝るぞ。」
「うん。おやすみ。」
「おう。」
***
それから俺達は昼食と夕食を挟みながらもゲームを続け、いつの間にか時間は夜の11時を過ぎていた。
「初めてメイクラを二人でやったからついやり過ぎてしまった。」
いつもは一人で黙々とやっていたゲームなのだが、二人でコミュニケーションを取りながらやると更に楽しくなるなんて……。
「今日はこれでやめるけど、またやってくれるか?瑠夏。」
「うん。もちろん!やるよ!」
「そか。ありがとう。」
俺は立ち上がり、自分の部屋の扉を開ける。
「明日は学校だし、早く寝ないとな。」
–––––そう。明日から学校。
この時の俺は明日、転校生がやって来る事をすっかり忘れていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます