第2話

 一旦家に戻り、俺は荷物を運ぶ。


 ベッドなどは既に家にあるため、運ぶ必要が無かった。

 運んだのは主にラノベや漫画、ゲームなどの趣味の物だ。


 一時間も経たずに全て運び終え、俺は頬に垂れる汗を拭く。


「うん。いい感じだな。」


 俺の部屋となる場所に、自室に置いてあった物を置くと途端に生活感が出てくるな。


 休憩がてら、リビングに行き、お茶を飲もうとすると、瑠夏がエプロン姿で立っていた。


「えっ?」

「お疲れ。光真君!」


 エプロン姿の瑠夏に見惚れて気づくのに時間がかかったが、その近くのテーブルに美味しそうな料理が並べられていた。


「これ……瑠夏が?」

「うん。そうだよ。」

「もしかして俺に?」

「当たり前じゃない。」

「あ、ありがとう。」


 本当に、当然かの言う瑠夏に少し照れながも礼を言う。すると瑠夏は笑顔で「どういたしまして」と返してくれる。


「それじゃあ……いただきます。」


 瑠夏が作ってくれた料理を口に入れてみる。


「–––––うまっ!?めっちゃくちゃうまいよ!これ!!」


 冗談抜きで美味い。


 ひょっとすると母さんの作る飯より美味いんじゃないか!?


 俺の手と口は止まらず、次々食べていき、あっという間に全て食べ終わってしまった。


「ごちそうさま。」

「食べるの早かったね。」

「そりゃあこんなに美味いんだから箸が止まらなかったよ。」

「………ありがとう!」


 –––––それにしても、こんな出来た子が本当に俺の許嫁なのかと思えてくる。

 可愛いし、胸でかいし、料理うまいし。


 ほんと、俺には勿体ないよな。


 でも、こんな俺を好きだなんて言ってくれてるんだ。俺も少しは瑠夏に寄り添わないとな。


「–––––瑠夏。」

「ん?なぁに?」

「俺と、どこか遊びに行かないか?」

「えっ?」


 俺の突然の発言に、瑠夏も驚いた表情をする。


「お前は俺の許嫁なのに、俺はお前との思い出が無い。だからまた一から思い出を作りに行きたいんだ。」


 少し照れるが、俺はそう言うと瑠夏は笑顔になり、


「うん。そうだね。いいよ行こ!思い出を作りに行こっか!!」


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