第11話
- 第11章 -
そして迎えたテスト返却日。
「まず麟太郎、相変わらず優秀だな」
先生から返却された麟太郎のテストには、九十点の文字が赤字でデカデカと書いてあった。あいつはやはり優秀だ。もはやクラスの誰も驚いたりしない。しかし、次の先生の一言で、クラスにかつてないほどのざわめきが起こった。
「えー、今回、学年一位が入れ替わった」
「えーっ!!」という声がクラスのあちこちで聞こえた。先生は続けた。
「しかも、しかもだ。そいつは、ビリけつから這い上がり一位になった。心当たりがあるやつもいるだろう。東雲啓介、お前だ」
えっ?俺か?なんとなく手応えはあった、嘘だろ、信じられない。
先生から回答用紙を受け取ると、古典、数学A、生物基礎、地学基礎は満点。その他もほぼ満点と言ってよかった。夢じゃないだろうか。
「みんなも、こいつを見習って頑張れよ」
クラスからは「まさかあいつが」とか、「あのサボりても一位取れるのかよ」と声が起こった。いつも一位の麟太郎は、とても悔しそうな表情を浮かべていた。
やった!俺は心の底から大きな喜びを感じた。思わずガッツポーズをした。これで、舞に想いを伝えることができる。テストを片手に、そのまま図書館に駆け出した。
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