第6話
- 第6章 -
定期考査、五月の中旬に一学期中間テストが行われるが、当たり前のように授業をサボる俺に、いい点など取れるはずがない。古典は赤点、数学も赤点。英語に至っては点がない。本を読むせいか、辛うじて世界史と地学基礎はなんとか赤点を免れたが、平均を越えた教科は一切なかった。俺は職員室に呼び出された。
「お前これじゃ進級できんぞ!」
先生の苛立つ声は、俺の耳にキーンと響いた。まさか進級そうそう、留年の危機を迎えるなんて。
「どこでサボってるか知らんがいつもいつも授業を抜け出しおって!このまま次のテストで同じことしたら単位はやらんからな!いいな!」
先生に厳しく叱責された後、職員室を出た。
「はぁ……」
「どうしたんですか?啓介先輩」
舞は不安そうに俺の方を見た。なんだかこのことを舞に言うのは非常に情けなく思えた。
「お力になれるかわかりませんが、何か悩みがあれば私なんでも聞きます」
「実は……」
俺は舞に全てを話した。その時の情けなさと言ったらなかった。俺の馬鹿さ加減を知った舞は少し口を開いて呆然としていたが、その後すぐに優しい目つきで俺の方を見つめた。
「大丈夫です!次に向けて頑張りましょう」
「でも俺勉強本当にできないぞ。どうせこのまま落第するんだ」
「諦めたらそこで終わりです。まだ何もやってないじゃないですか。頑張りましょう!」
「うん」
でも、舞からこう言われても、何をやるべきなのか、どうすれば勉強ができるようになるのか、全く検討がつかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます