俺の高校時代はほのかなギャルゲーの香り

@sle

第1話 1人の人間の小さな1歩

俺はゲームが好きだ。


特にギャルゲー……たまに"恋愛シュミレーション''と間違われる事もあるが、もう一度言おう、俺は''ギャルゲー''が好きなのだ。


正直な話付き合う事を前提にしているゲームになんの魅力を感じるのかが分からない。それこそ現実でやるべきであろう?


初めて会ってから付き合うまでの過程を楽しむ、その道のりを共に歩んで行くのが良いのだ。

最初は話が合わなかったり、上手くいかなかったりあまりそのキャラを好きになれなかったりするかもしれない。

それでも色々なイベントを回収して段々とお互いに惹かれあっていく……そして付き合う。

そこまでの道のり(ストーリー)を楽しみたいのだ、その過程こそが現実では味わえないものなのだから……。



「何故現実では味わえないかだって?」

現実では主人公になんかなれないのだ。



一瞬誰か特定の人の主人公になれたとしてその一瞬はずっとにはならないのだ。



時間は戻らないと言った方が正しいのかもしれない。



セーブ&ロードの概念がこの世に無い限り主人公になんかにはなれない。



更には人生でギャルゲーの様な出来事(イベント)が起こることなんて、本当に少ない。

何故かって?……周りの目があるからだ。


そんな数少ない出来事……しかもそのイベントは過ぎたら戻らない。

分岐は勿論見ることはできない。

正解のルートすら分からない。


現実をギャルゲーとして、評価するなら

星0……クソゲーだ。



だが、ゲームのギャルゲーなら、色々なヒロインと夢の様な時間が過ごせる。


更に、この世には星の数ほどのギャルゲーがある…だから探せばきっと、もっと自分好みのヒロインがあるはずだ……


俺からすれば、第2の人生と言っても過言ではない。そうだろう……?



そうやって俺は自分に言い聞かせ続ける。

本当は分かっている。


今まさに、目の前に起きているきっかけをイベントに変える事が出来れば…そうすれば俺はこのクソギャルゲーの主人公になれるのかもしれない。


一瞬でも、戻れなくても、後悔したとしても、

俺はその過程を今目の前にいる彼女と歩きたいともう、




思ってしまっている。



だから、少しだけ主人公になれるように努力をしてみようと思う。

そして俺は1歩を踏み出す。



1人の人間の小さな1歩だが、ギャルゲー陰キャの俺の中では死ぬほど大きな1歩だ。


ただ、俺はその1歩をあと数十回は繰り返さないといけないようだ……

「はい、クソゲー」

小さく呟く。

この物語はまだ、1歩目だ。

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