第65話 パンチドランカーと脳

パンチドランカーって聞いた事ある?イエローモンキーのアルバムにもありますね。それではなくて症状の方。慢性的に頭に衝撃を受けていると、脳神経が変性起こしちゃって最悪廃人になっちゃう病ですね。ボクシングを中心としたコンタクトスポーツに多いとされています。格闘技もそうですけど、アメフトだとかアイスホッケーなんかもドカンとぶつかって行くから起こります。衝撃は軽トラに撥ねられる力に相当するそうですから、脳ミソに大きなダメージを負う事があります。後は可哀想な話、虐待やDVで頭をバッコンバッコンやられているとなっちゃいます。


このパンチドランカー、どうして頭をバッコンバッコンするとなるのか、衝撃を受けた時に脳ミソでどんな症状が起きているのか?ってのは実はそこまで明らかになっていないのです。いつも死後に解剖してスカスカの委縮した脳ミソから調べる事が出来ません。もし、生きた人間を使って機械などの技術が向上すればもっと解明出来るんですけどね…。


でも、何となく良くないってのは分かるよね?人間は頭をバッコンバッコン常日頃から受ける前提の体で生まれてきていませんからね。だから、ボクシングが市民権を得ているスポーツっていうのは本当に奇跡なんだと思う。ボディとか狙う場所はあるけど、基本は頭を狙ってぶっ倒す格闘技だからね。頭にドッカンと衝撃を受けて、脳ミソが頭蓋骨の中で色んな方向にドチドチぶつかってるのよ。大脳表面と大脳辺縁系および脳幹部を結ぶ神経の軸が広い範囲で切断などの損傷がぶち込まれる度に起きているから、もしそれが長期的になったら…想像は付くよね?だから短期決戦で終われるなら平和。殴り合いの長期ラウンドはお互いにリスクがあるんですな。


脳ミソがやられるから①頭痛②鬱、攻撃性、怒り、短期間の記憶障害③認知障害

④本格的な認知症、パーキンソン病(体の震え、歩行障害)なんてのが段階的に出て来るんだよ。②がピンと来ない人も居るかも知れないけど、前頭葉は感情を司っているからそこがバッコンバッコンやられて痛むと、そうなっちゃうんですな。


だから格闘技、特にボクシングは大変だと思う。スポーツとしてカッコいいけど、どうしてもパンチドランカーの問題はつきもので、衝撃を吸収してくれる優秀なヘッドギアも生まれて来ているらしい。でも、そうするとノックアウトが難しくなり、長期戦に流れていき結果的に頭撃たれ過ぎという問題が生まれたりもする。でもいつか、この全てが解決する事を願っている。

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