第5話 後天的霊感

私は霊感がある。生まれ持って幽霊が見えている訳でじゃない。後天的に幽霊が見えるようになった珍しいパターンだ。よく雷や事故に撃たれてから芸術方面に才能が開花する人がいるけど、そんなノリで私は霊感を持ってしまっている。


私はどうも小さい頃から運が無くて、車に跳ねられたり、古屋を探検している時に床が抜けて一階に私だけ叩き付けられたりとその時は最悪だけど、後になれば笑い話になるような人生を歩んでいる。特に乗り物に運が無いようで、生まれて30年で10回以上は車に撥ねられている。そのうちの何回かは頭を強打して意識が吹っ飛ぶ経験をしている。


そういったものを繰り返しているうちになんだろうなぁ…多分、人って本当は生まれ落ちて来る前は天才の状態だと思うの。共感覚ってあるじゃん。音に色とか味を感じるとかさ、ああいうのが剥き出しになってると思うの。でも生まれて来る時に、そんなんだと生き辛いから抑え込んで生まれてくると思うのね。私は多分その辺が頭バッコーンと何度もやつける事で開いちゃったんだと思う。病気や後遺症とも言えるだろうね。オカルト的に言うなら、何度も死にかけているので魂が半分あっちに逝っちまってるから見えてしまうのだろうね。


んでね、この体質を羨ましがる人がいるんだけど結構困るのね。何でかっていうと別にコントロール出来るわけでないのよ。なんかハッキリに見える時もあるし、クラゲ並みに透けて見えるような時もあるのよ。取り敢えず体調で見え方が変わっている様な気がする。んで、基本的に心霊の話とか好きだけど幽霊怖ーいって思っている人間がそうなっちまったので弊害でしかない。


でもね生まれながら霊感がある人から言われたのは、幽霊による被害は受けない体質らしい。なんだか小さい頃に山奥の見つけた洞窟の奥にあった壺をぶっ壊した時、山の邪気を吸う神様が私の体に憑いたらしい。だから何だよって話なんだよね。私に憑いているという神様の存在はバリバリに見えている時でさえ見た事がないし、心霊スポットに遊びに行っても憑りつかれるってのがないだけで、ラップ音やポルターガイストは起きるしね。


また何かでっかい刺激を頭に受ける事で、幽霊が見えなくなって欲しいなと思うけど痛い経験はもうしたくないし、段々と余計な感覚が開いて行ってしまったり、馬鹿になるんだろうなと思うからさ、上手く付き合っていくしかないんだろうね。霊感ってさ、こうなる前はちょっと憧れたりもしてたけどなんだか不便ですね。

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