第31話

 現在、冒険者ギルドの受付にて、先程の貴族の馬車の後ろに突っ込んだ件についての説教を受けていた。


「はぁ~。今回の件はギルドの説明責任の問題という形に落ち着きましたが、一歩間違えば、相当酷い目に合うところだったのですから気をつけて下さいね?」


 そう。今回の件は初心者講習の中でサラッと説明されるはずの内容らしい。受けていない異邦人は今のところ全体ではそう多くないらしい。

 それに、初心者講習を受けていない人は受けたことがある人とPTを組むことが多い為今回のような問題は珍しいそうだ。


・・・『初心者講習』今更ながらだけど、受けようかな?


「ちなみに、今から初心者講習を受けることはできますでしょうか?」

「ギルドカードを提示していただけますか?」

言われるままにカードを差し出すと、いつも通り水晶に翳して返してきた。


「確認できました。が、イザナ様の現在のレベルですと、『初心者講習』の受講資格が御座いません。基本的に種族レベル/10以下か、または討伐依頼達成数が一定以下でないと受講資格が失われます。あくまでも、『講習』ですので」

・・・あ~。随分前に受けられなくなっていたんだな。


「ちなみに、冒険者ギルドの資料室には、『初心者講習』の教本が御座いますので、そちらに目を通していただければ問題は無いかと思われます」

ふむ?冒険者ギルドの資料室、ね。そういえば利用したことなかったな。


「今回の件で追加のおとがめはありませんが、資料室で常識に関することの学習を行うことを私達冒険者ギルドとしては強くお勧めいたします」

「わかりました。それで資料室の利用にあたって他に知っておいた方がいい情報などはありますでしょうか?」

「そうですね~。常識に関すること以外ですと………冒険者の方々に好まれる情報としては、魔物の生息域に関する資料などでしょうか?他には薬草の群生地における採取に関しての取り決めでしょうか?以上の2点が、最低限知っておくことが推奨される情報でしょうか」

なるほど、なるほど?

・・・群生地で、ベル草を取りつくしちゃったよ!これ不味いのでは?

いや、まだだ。もしかしたら考えている内容と違うかもしれない。

資料室に今から行って内容次第では・・・土下座かな?

ギルド受付前という公衆の面前で公開土下座かな?・・・胃が痛くなってきた。


「あ、それと。言い忘れましたが、資料室の利用の際には冒険者ギルドに対しての寄付を戴いております。利用料金自体は無料ですが、なるべく余裕のある方は寄付していただけるようお願いしています。戴きました寄付の使い道は、新しい情報の買取を始めとして、後進の育成の為の準備金となっております。ご理解とご協力の程よろしくお願いいたします」

・・・マジか!


「利用料金、じゃなくて・・・え~。寄付は幾らぐらいが相場なのでしょうか?」

「冒険者ランク×1000Dが相場だと思っていただければ。尤も、絶対に支払う必要があるわけではありません。あくまでも、によるものですから。もちろん!寄付の上限は設けておりませんので、お好きな額寄付していただければ。ちなみに、私個人としても寄付はお受けしていますので、何時でもお声がけ下さい」

・・・なるほど、ね。

副音声として、なるべく多くの額を寄付しろと言っているように聞こえるぞ~?

ん~・・・私個人への寄付も!って言ってる辺り、この人見た目は真面目そうに見えるけれど、割と愉快な人では?それとも欲深いだけなのだろうか?


「あー。寄付金の1000D(チッ)は何処でお支払いすればいいのでしょうか?」

「寄付金は資料室入り口に水晶がありますので、寄付金の額を想像しながらカードを翳していただければ、自動で口座から引き落とされます。私個人に対しては対面でカードを渡していただければ、何時でもお受けいたします」

私が1000Dの寄付金って言ったあたりで舌打ちしたよね? ね!?

しかし受付嬢個人に寄付する人はいるのだろうか?

・・・受付嬢個人に寄付するのも常識とか言われたらどうしよう?

             

             まさかね



◇◇◇


 資料室で常識に関する基礎情報を調べてみたが、凡そ現実と同じみたいだ。

ちなみに入場の際の寄付は1000Dにしました。資料室前で従魔を預けられるようだったのでトアを預けてみた。従魔は資料室に入れられないようだしね?

 利用料1000D・・・資料室の寄付と同じ額という罠(?)受け取りに行くまで問題を起こさなければ8割がた返金されるそうだ。実質200D?


此方の常識を現実に置き換えると、大体こんな感じだろうか。


馬車=自動車  ※車道に出ちゃダメ!荷物を狙っていると思われるよ!

(基本的に貴族や商人関係!用事がないならば無暗に近づかないのが吉!)

人 =歩行者  ※身分証を作ってから街の外に行こうね!

(身分証が無い場合は、基本的に犯罪者扱い!)

衛兵=警察官  ※声をかけられたら誠実に対応しようね!

(抵抗すると犯罪者!異邦人でも確実にバツが下るよ!)

従魔=愛玩動物?※他人に迷惑をかけないようにしましょう!

(威嚇行為等を周囲の人にしないようにしつけましょう!)

冒険者=武装をした何でも屋 ※ランクを上げないと社会的地位が低い!

(武装をした不審者扱いされるからランクを上げようね!)


ナルホド?

つまり私は西門で貴族から何か盗もうとした、あるいは攻撃を仕掛けようとしたと認識されたわけだ。あれだけ威嚇されたのも仕方ない・・・かも?


 トアに関してはしつけを・・・できるかなぁ? 出来るはず!・・・多分。

衛兵さんに軽く忠告されただけで済んだのは異邦人だったからのようだ。

あるいは初犯だったからだろうか?どちらにせよ、トアには衛兵の人達及び一般住民には威嚇行為の禁止と、衛兵さんの指示に従うように言い含めれば大丈夫だよね?大丈夫だよね!?・・・なんか不安になってきた。




続いて薬草の群生地に関しての常識に関して軽く目を通してみるが、今回の行動は問題にならない様だ。群生地は凡そゲーム内時間24時間程でリポップするらしい。

マナーとして上位の薬草の場合は3割程残しておくことが常識らしい。


・・・生えてから時間が経過した薬草の方が効能が高くなることが確認されている。上位の薬草の群生地の場合は採取の際に3割程残しておくことで効能の高まるまでの時間が短縮されるそうだ。

 そんな理由で冒険者全体の利益を損ねないためのマナーであって、取り過ぎても犯罪に分類されるわけではない様だ。


まぁ、上位の薬草なんて、ここら辺の街の周辺では見つからないそうだが。


・・・ちなみに、ベル草は薬草の中でも繁殖力が高く、雑草として数えられることもあるとかなんとか。

 実際ベル草で調合をするのは初心者が多い上、調合したところで基材以上の役割を持たせることが難しく、調合の手間の割にもうからないという認識らしい。

 ベル草の買取価格が高いのは〈採取〉系等のスキル保持者でない限り品値槌が〈6〉以下になってしまうことが理由だそうだ。持っててよかった〈採取〉スキル!


 ここまで薬草の採取に関連する情報を読んだ結果、〈植物知識〉と〈採取〉のレベルが上昇したと視界の端で通知が表示された。

 ん~?〈植物知識〉はまだしも、何故〈採取〉が上昇したのかは不明。

過去ログを見る限り群生地での採取では上昇していなかった気がするんだが?

 む~。これはアディに聞いてみないと私ではわからんね。




魔物の生息域の情報は流し読みしただけだ。

何故なら!凡そ知っている情報ばかりだったことに加え、関連した討伐依頼の適正PT人数や構成等〈PT〉に関連する事ばかりだったから!


全くもって!私には!関わりのないことだね!PTってやつはさ!!


・・・まぁ、そんなわけで魔物の生息域の情報部分だけ流し読みで目を通しただけなんだ。意外と知らない情報も載っていたが、私の普段の行動範囲から大分ズレがあるので、残念ながらあまり役に立たなそう。

 南門の先にある森にいるゴブリンの進化先の情報が一部載っていたことが最大の収穫だろうか?・・・位階が同じであれば、雑魚には変わりないらしいけどね?


 ウルフ系の進化先も少しばかり紹介されていたので、トアの進化先候補としてじっくり読んでみたのだが、ウルフ系のスキル構成から考えて、トアの〈幼体〉からの進化先は、そのまま〈ウルフ:成体〉になる感じだろうか?

 進化した結果特殊な種族スキルが生えるのか、特殊なスキルを持った結果進化先が派生するのかは謎らしい。


 出来れば、今よりも大型にならない進化先があれば嬉しいなぁ・・・

まぁ、毛がふさふさで、滑らかな手触りになるのであれば、大型化も考えないでもないけどね?



NAME:伊舎那イザナ

RACE :ヒューマン《超越種》/26〈6〉

AGE:15 /15〈0〉

※能力制限中:5割減

※土の加護:VIT+35


Job:魔力使い/46〈1〉

Sab:薬士/48〈1〉

残JP〈58〉


HP:45 〈0〉 [+175]合計値:220

MP:760〈68〉 [+220]合計値:1,048

SP :80 〈20〉


STR /5   〈〉

VIT /5  〈〉[+35]

AGI /5   〈〉

DEX /12 〈4〉

INT /181 〈12〉+44

MID /12 〈4〉 

LUC /5 〈〉

残ステータスポイント〈18〉

スキル

Job

魔力系

〈魔力操作/39〉〈術/34〉〈魔力術/30〉

〈属性適正/27〉

〈火属性魔法/12〉〈水属性魔法/7〉〈風属性魔法/17〉〈土属性魔法/7〉

〈光属性魔法/7〉〈闇属性魔法/3〉〈無属性魔法/3〉

生産系

〈調合/15〉〈錬金/11〉

Status

〈器用強化/2〉〈知力強化/2〉〈精神強化〉

Common

〈採取/15〉〈植物知識/3〉〈鑑定/16〉〈識別/3〉

Unique

『扉』:〈放浪書店〉

『種族』:〈眷属創造〉〈王権〉


称号

〈術〉の入門者/2〈1〉:MPに〈術〉x10の追加補正

〈魔力〉の入門者/1〈1〉:MPに魔力系スキルx10の追加補正

〈火属性〉の入門者/1〈1〉:火属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈水属性〉の入門者/1〈1〉:水属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈風属性〉の入門者/1〈1〉:風属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈土属性〉の入門者/1〈1〉:土属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈光属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈闇属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈無属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈魔法使い/見習い〉/1〈1〉:魔法スキル使用時、消費MP:〈1〉減

〈アドリアーナの弟子〉/1〈1〉:MPに+10補正

※消費MP:〈1〉以下にはならない


〈超越者〉/1〈1〉:〈種族能力・種族スキル〉解放 

 《成長の成約》:必要経験値固定。進化前種族値の必要経験値と等しくなる。

 《始祖の血脈》:眷属最大数増加。眷属〈成長・進化〉解放。

 《無欲の大罪》:自らに全能力値減少補正〈大〉/眷属の能力値上昇補正〈大〉

 《王権の起源》:眷属素材解放。眷属創造解放〈最大数=種族値に依存〉

 《無辺の願望》:眷属の数により、本人+眷属に補正。


眷属

ウルフ〈幼体〉/51〈0〉

HP :510〈255〉

MP:297〈144〉

SP :510〈255〉


STR /60 〈30〉 

VIT /54 〈27〉 

AGI /60 〈30〉 

DEX /54 〈27〉 

INT /33 〈16〉

MID /33 〈16〉 

LUC /33 〈16〉

残ステータスポイント〈36〉

スキル

肉体特性

〈牙〉〈爪〉

戦闘系

〈警戒〉〈索敵〉〈奇襲〉

称号

〈孤狼奮闘〉:SPに追加補正+回復補正〈敵数x0.01%〉 ※戦闘終了まで効果持続

〈孤狼の誇り〉:単体での出撃時、獲得経験値上昇

〈格上殺し〉:位階が格上の対象との戦闘時、追加補正〈位階差xステータス÷2〉

〈縦横無尽〉:対象を認識中、〈スキル・称号〉効果継続時間延長※最大SP÷10/分

〈幼狼の誇り〉:成長時、進化先に補正
















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