第29話
バル腐の鑑定結果は、役に立たなそうな説明が表示されたが、極稀にポーションなどの素材となることもあるという部分が妙に気になる。
確立の問題なのか、加工の問題なのか。
そんなことを考えながらちまちまべル草を採取している。
やはりベル草の群生地には稀にバル腐が生えているのが確認できる。
気のせいでなければ、ベル草の群生地以外では見かけないような?
ベル草の亜種なのだろうか?
それにしても森にはベル草があちこちあるな~。
遠くではいまだに魔物の悲鳴が聞こえる。
段々悲鳴の数が増えてきたような・・・?
近くでトアが狩りを行っているのだろうか?
出来れば私の方に敵を寄せないでくれると助かるのだが。
ちまちま
・・・ちまちま
あぁ~。飽きる。それに腰が・・・
現在採取開始から1時間ほどだろうか?
今まで取れたのはベル草が凡そ700本前後だろうか?
目標の3時間で3000本は達成できないかもしれないが、結構採取出来たな。
立ち上がって軽く体を動かすが、う~ん。森に溢れるほど感じた生き物の気配が随分薄れてきたような気がする。トアのせいでここまで気配が薄れたのだろうか?
未だに時々魔物の悲鳴が聞こえるが、徐々にここら辺から遠ざかっているように感じる。多分トアの狩りの影響かな?別な原因だったら逃げたいんだが、大丈夫かな?
ふぅ~。休憩終了。
ん~。あれだね。
今更だけど、折角群生地が森のあちらこちらに見つかるのだから、群生地のベル草だけ取ったほうが効率いいのではないだろうか?
・・・もしかして今までの苦労の大半が非効率だったのでは?まさかね。
うん。まぁいいさ。今後は群生地のベル草の採取に集中しよう。
◇
・・・10分後
ん~。さっきまでとは雲泥の差と言えるほどの速度でベル草が集まっていくね。
群生地一つあたり20~50本前後あるから、場所の移動をほぼせずに採取できる。
なにより、腰への負担が大幅に減ったのが素晴らしい!!
草原だと群生地なんてなかったはずなんだけど、見落としていたのかな?
それとも森という地形の特徴なのだろうか?もしくはこの森にベル草の群生地ができやすい環境が整っていたりするのだろうか?
どちらにせよ、採取が楽になるから群生地はあると嬉しいね。
採取していても全く魔物に遭遇しないのだが、トアが虐殺していったおかげかね。
・・・その割にレベルが上がらぬ。森はレベル上げには向いていないのだろうか?
眷属任せのレベリングはダンジョンのほうが効率あいいのか。・・・主のいる意味
うん。悲しくなることは考えずに、金策の下準備の為にも採取を頑張らなくては!
・・・トアが採取出来ればこの作業も丸投げできるんだけどなぁ~。なぁんて、ね
こんなこと考えてるって知られたら、トアに愛想をつかされてしまいそうだよね。
◇
・・・更に50分後
あれ?何時の間にか魔物の悲鳴が聞こえなくなってる・・・?
ここら辺の魔物が完全に虐殺完了してしまったのだろうか?
虐殺を頑張り過ぎではないだろうか?
・・・主である私が役に立たないから、最近ストレスが溜まっているんだろうか
まさかね。
ん~、少しだけ休憩しようか。ふぅ~、ちかれた~。
群生地をメインにした採取成果は、大体800~900といったところか?
採取効率的が、1時間700本から100~200本増えたね!
腰への負担が減少したおかげでまだまだ継続できそうだね!
・・・精神的な〈飽き〉さえ耐えられるなら、だけど。
どうしよう。本気で飽きてきたんだけど・・・
採取作業はここまでにするべき、かな?
とりあえずここまでで今日は終了でいいや。
仮眠室で一度ログアウトしよう。
リアルで一度リフレッシュしないと、調合やっても失敗しそうだな。
・・・戦闘は眷属任せで、私は何もしていないこと考えれば実質ヒモなのでは?
何故、今この瞬間にこんな考えが浮かんだのだろうか?
疲れすぎて思考がおかしくなってきた気がする。
・・・いつも通りだって?いや、そんなまさか。
〈王権〉からトアを呼び出してみるが、以前と違い時間がかかっている。
どこら辺までいってしまったんですかね?
トアが戻ってくるまでに帰還の用意をしなくては。
尤も、ベル草とかを袋に詰めてしまえばお終いなのだけれどね。
・・・ん~?気のせい、じゃない、かな?
呼び出してから1分もしていないのに、なんか遠くから大量の足音が聞こえてきた気がするんだが?よし、逃げるか!
・・・でも、トアが原因だったら逃げないほうがいいのか?
・・・私は現在アーツしか使えないんだよね~。大群相手にどう立ち回ろうか。
この森の魔物なら魔法でワンパンで倒せるから、最悪自爆覚悟で魔法を撃つか?
ん~・・・やっぱり気のせいじゃない。集団と思われる音は近づいて来てるよね~。草原まで引っ張って討伐するべきか?
他に人がいたら巻き込みそうだから却下だな。
適当にリーダー種の類を間引けば勝手に解散するかな?
・・・してくれないだろうな~。
もし、トアが原因なら自爆を覚悟して魔法を使おう。
前回も暴発はしていたけれど、一応敵は倒せていたし問題はない・・・といいなぁ
ん~???あれ???
足音が減ってきてる?
微かに聞こえてくる悲鳴は、トアが攻撃しているからかな?
攻撃している割には速度が落ちていないような気がするのだけれど?
先頭がそろそろ見えてくるはず。
「ひゃ~~~!!!誰か助けて~~~~!!!」
見えてきたけど、先頭を走っているあれは、どう見てもトアじゃないよね?
普通に人間みたいだし、原因がトアじゃないなら見捨てよう。・・・面倒だし
先頭を走っている人の種族は目立つ特徴が無いから人間の筈。
後ろを追いかけているのはゴブリンの群れのようだ。
うむ。あの先頭の人に見つからない様に、近くにある木の陰に隠れようか。
・・・にしても、あの集団がトアに関係ないとしたら、トアは一体何処まで行ってしまったんだろうか?戻ってくるのに時間かかりすぎじゃない?
「誰か~~~~~!!!!」
・・・うるさいな。アレだと余計に敵を引き付けてしまうのではないだろうか?
あの人は何故ゴブリンの群れに追いかけられているのだろうか?
見た目は初心者用魔力使いの装備一式だよね。多分異邦人で間違いない。
ゴブリンに追いかけられている騒がしい人は、私のいる方向とは違うほうへ駆け抜けていく。そのまま足音も遠ざかっている。そろそろ木陰から出ても大丈夫かな?
・・・ベル草の群生地を初めとして、先程の集団が駆けぬけて行った場所は非常に荒れてしまっている。その上点々とゴブリンが倒れているのだが・・・?
背中に小さな足跡が幾つもついている。
もしかして微かに聞こえていた悲鳴って、こけた後に後続の仲間に踏むつけられていたからだろうか?弱弱しくピクピクと痙攣してい・・・あ、死んだ。
・・・えぇ~、反応しにくいのだが?
まさかの仲間に踏みつけられての死亡って・・・
それにしても、なかなかトアが戻って来ないなぁ~
トアを呼び出してから5分程だろうか?
長距離を全力で疾走してきたと思わしきトアが獣道の先に見えてきた。
・・・このままだと私にぶつかりそうだよね?減速しないの?
今のトアの速度だと、掠っただけでも死にそうなんだが?慌ててトアの進行方向から少し体を避ける。トアはそのまま減速せずに一気に私の方へ駆け抜け来て、私の前で急停止し、そのまま頭を撫でれとばかりに差し出してきた。
・・・怖かったんだが?死ぬかと思って、すっごく怖かったんだが!?褒めろと?
トアは狩りに行く前と比べて随分すっきりとした雰囲気だ。
まぁ、ストレス発散になったならいいんだけどね?
でも、最後の急停止は許さん。滅茶苦茶怖かったんだが?
まぁいいや。マップを確認っと。
おぉ~・・・ジグザグに通って来た道が表示されてる。
以外と森の中程より少し手前まで入ってきてたんだね。
・・・群生地しか意識してなかったから気が付かなかった。
街まで直行しようとすると意外と近いかも?
「あ~。とりあえず、おかえり」
「ウォフ」
「街まで一直線の予定だから、魔物を引っかけないよう気をつけようね?」
・・・トアが少し不満そうだ。そんなに戦いたいのか?
一体何時からそんなに戦闘狂になってしまったというのか・・・私が原因か?
「じゃ、もどろうか」
森の中は来た時よりも生き物の気配が薄い。実際魔物に全く遭遇しない。
やはりトアが原因か?それと先程の逃げていた人が原因だろうか?
採取や街に戻る際等、戦闘を避けるにはいいけれど、このまま森の魔物の数が減るとかって事は無いよね?
流石に狩場を潰したとなると、異邦人からも、住人からも苦情を言われそう。
リポップがあるはずだから、時間が解決してくれるよね?
・・・大丈夫だよね?まさか、運営の罠として、リポップしないとかは無いよね?
一応ギルドに報告するべき・・・だろうか?
・・・アディに相談してから決めよう。
まぁ、移動が早くなるのだから、今は魔物が少ないことを喜ぶべきだよね。
トアはしきりに周囲の気配を探っているようだが、今の所魔物はいないようで、少しばかり退屈そうな雰囲気を醸し出している。
・・・2時間の狩りでは、ストレスの発散には不十分だったのだろうか?
◇
NAME:
RACE :ヒューマン《超越種》/24〈6〉
AGE:15 /15〈0〉
※能力制限中:5割減
※土の加護:VIT+35
Job:魔力使い/44〈1〉
Sab:薬士/46〈1〉
残JP〈54〉
HP:45 〈0〉 [+175]合計値:220
MP:760〈68〉 [+220]合計値:1,048
SP :80 〈20〉
STR /5 〈〉
VIT /5 〈〉[+35]
AGI /5 〈〉
DEX /12 〈4〉
INT /181 〈12〉+44
MID /12 〈4〉
LUC /5 〈〉
残ステータスポイント〈6〉
スキル
Job
魔力系
〈魔力操作/34〉〈術/34〉〈魔力術/30〉
〈属性適正/27〉
〈火属性魔法/12〉〈水属性魔法/7〉〈風属性魔法/17〉〈土属性魔法/7〉
〈光属性魔法/7〉〈闇属性魔法/3〉〈無属性魔法/3〉
生産系
〈調合/15〉〈錬金/11〉
Status
〈器用強化/2〉〈知力強化/2〉〈精神強化〉
Common
〈採取/14〉〈植物知識/2〉〈鑑定/16〉〈識別/3〉
Unique
『扉』:〈放浪書店〉
『種族』:〈眷属創造〉〈王権〉
称号
〈術〉の入門者/2〈1〉:MPに〈術〉x10の追加補正
〈魔力〉の入門者/1〈1〉:MPに魔力系スキルx10の追加補正
〈火属性〉の入門者/1〈1〉:火属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈水属性〉の入門者/1〈1〉:水属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈風属性〉の入門者/1〈1〉:風属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈土属性〉の入門者/1〈1〉:土属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈光属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈闇属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈無属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減
〈魔法使い/見習い〉/1〈1〉:魔法スキル使用時、消費MP:〈1〉減
〈アドリアーナの弟子〉/1〈1〉:MPに+10補正
※消費MP:〈1〉以下にはならない
〈超越者〉/1〈1〉:〈種族能力・種族スキル〉解放
《成長の成約》:必要経験値固定。進化前種族値の必要経験値と等しくなる。
《始祖の血脈》:眷属最大数増加。眷属〈成長・進化〉解放。
《無欲の大罪》:自らに全能力値減少補正〈大〉/眷属の能力値上昇補正〈大〉
《王権の起源》:眷属素材解放。眷属創造解放〈最大数=種族値に依存〉
《無辺の願望》:眷属の数により、本人+眷属に補正。
眷属
ウルフ〈幼体〉/47〈0〉
HP :510〈255〉
MP:297〈144〉
SP :510〈255〉
STR /60 〈30〉
VIT /54 〈27〉
AGI /60 〈30〉
DEX /54 〈27〉
INT /33 〈16〉
MID /33 〈16〉
LUC /33 〈16〉
残ステータスポイント〈12〉
スキル
肉体特性
〈牙〉〈爪〉
戦闘系
〈警戒〉〈索敵〉〈奇襲〉
称号
〈孤狼奮闘〉:SPに追加補正+回復補正〈敵数x0.01%〉 ※戦闘終了まで効果持続
〈孤狼の誇り〉:単体での出撃時、獲得経験値上昇
〈格上殺し〉:位階が格上の対象との戦闘時、追加補正〈位階差xステータス÷2〉
〈縦横無尽〉:対象を認識中、〈スキル・称号〉効果継続時間延長※最大SP÷10/分
〈幼狼の誇り〉:成長時、進化先に補正
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