第21話 〈掃討〉

□2324年7月20日 


あ~。World Nest/Another公式ページから掲示板を探しているのだが、全然見つからない。装備の修理に関しても公式には書いて無いし、運営は情報を出すつもりが無いのかな?掲示板はゲーム内でしか閲覧できないのかね?


諦めてインしようか。


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□魔法ギルド:アドリアーナの工房 / 仮眠室


ベッドの上で横になったまま今後の予定を考える。

今日の目標は、トアと共に金策だね。指輪も購入したし、装備条件も凡そクリアできるようになった。本格的に装備集めないとな~。素材持ち込みだと安くならないだろうか?・・・無理だな。素材自体集められる気がしない。

だって、採取しか持ってないからね!採取で装備用の素材手に入るんだろうか…?


「トア、おはよう」

ベッドの隣で横になっているトアに話しかけた。

「ウォフ」

声に反応して挨拶を返してくれたようだ。


トアを連れて仮眠室の扉を開けると、工房でアディが本を読んでいる。

珍しく調合などはしていない様だ。


「アディ、おはよう」

「ん?あぁ、おはようイザナ」

本から顔を上げ挨拶を返してくれたのだが…なんか目が笑ってるんだが?


「イザナ装飾品買ったんだってね?」

「うん。この土魔石の指輪を買ったんだ。残念ながら性能の高い装備の装備条件のVITが足りなくて、装飾品で補うことにしたんだ。」

「ふ~ん?その装備屋は誰に紹介してもらったのかな~?」

なんかこれあかん奴や。目が笑ってるように見えるけど、実はお怒り状態?


「えっと、マークって言う魔法師の人に紹介してもらったんだ」

「ふむふむ。仮にも師匠である私に聞かないで、『蒼の薔薇』所属の魔法師に聞くなんて、水臭いじゃないか。ねぇ、イ・ザ・ナ?」

アディに聞かないで、『蒼の薔薇』所属の魔法師に紹介されたことが問題なのか?


「あ~。なんかまずかった?」

「いや?ただ、君は私の弟子だ。つまり派生Job系の派閥に分類される。此処で言う派閥っていうのは、『複合・特化・派生』それぞれのJobの装備の適正が異なる為に作られた物なんだよね?だから、他の人に相談する前に、仮にも師匠である私に相談してほしかったな~、なんて思うわけ。」

なるほど?もしかして適当に装備購入してたら危なかった?


「でもアディ、私は魔力使いを昇格していく予定だよ?それなのに装備の適正って関係あるの?」

「ふぅ~。そうだね、直接的には関係ないんだけどね?魔力使い系統は先の3種の派閥に分類出来ないんだよね。通常の装備適正の情報が役に立つ例が、非常に少ないんだ。だからもし強力な装備を購入しても、Jobとの相性が合わないことがあるんだ。今回は幸い装飾品だけだったけど、もし武器系を購入してたら無駄になったかもしれないんだよね」

装備条件満たせなかったせいで装飾品に走ったのは幸運だったみたいだね。


「ん~。魔力使いって武器系だけが特殊なの?」

「そうだね。派閥に分類される特徴は『複合:複合対象の特性を担う装備』とか、『特化:固定砲台型の特性+障壁等装備特性』こんな感じでこの二つの派閥の装備は基本的に魔力使い系は向かないんだよね。固定砲台になるにはアーツだけだと限界があるし、複合は論外。私の所属する派閥だと『派生:対象能力値補正+対象スキル補正』って感じで他の派閥の装備よりは君に合うと思うんだよね」

・・・?特化と派生何が違うんだろう?


「不思議そうだね?特化派閥は装備のリソースを装備特性に大分使用している。

それに、固定砲台型のビルドが前提だから、移動に不向きな装備が多いんだよね。大型化した杖とか、移動能力補正の代わりにINT補正か魔法範囲補正が付いた靴とかで、ソロには向いてないのが多いんだよね。君が言った店に置いてある装備効果は種類が単一だったりしなかったかな?あと装飾過多じゃなかった?」


言われてみれば確かに。綺麗ではあったけど、装飾過多に感じたね。

それに、装備は単一の能力値を強化するのが多かった気がする。

でも、私のビルドも極振りなんだから、特化派閥の装備でいいんじゃないかな?


「派生派閥の装備は能力値補正や各スキル補正に絞っているからね。君の場合だと〈魔力操作〉に補正とかがいいと思うな。装飾品に限定しても素材特性で能力値やスキルに補正がかかる品がメインだ。杖は小型杖だったり、バングルの強化とか、ソロでの活動が前提になってる種類もそれなりにある。君に向いていると思うよ」


ソロ行動前提だから派生派閥の装備がいいのかな?なるほど、確かにそうかも。

興味があるのはバングルの強化だな。今装備してるバングルを強化するのかな?

バングルだけ修理代高かったのはそのためか?

でも、指輪以外の装備は品質値もレア度も表示されてないんだよね…


「もしかして、指輪も派生派閥系の所で買ったほうが良かったかな?」

「う~ん。難しいところだね。君の場合INT極振りのせいで殆どの装備でVIT系の条件を満たすことが出来ないから、特化派閥の指輪は間違いではなかったのかな?」

「無駄にならないようで安心したよ」

「そうだね。装飾品は基本的に高いのが多いもんね…装備は強力な効果の物はまず店に出ないし、装飾品の方が魔石で効果高められるから、比較的性能が高いのを集めやすくはあるんだけどね…」


あ~、なるほど。昨日の装備も見た感じレア度5以上の装備を見掛けなかったし、装飾品は魔石なんかで特殊効果が付与できるから、もしかして店売り品の中では、装飾品の方が大分強力なんじゃない?


「ところで装備のレア度って適正帯ってあるのかな?」

「大体レア度=種族位階が推奨されてるね。君の場合は…ほら、極振りのだし?同位階の中では能力値が低いだろう?だから装飾品でカバー…出来るのかなぁ?

尤も、レア度〈6〉以上の装備自体珍しいんだけどね?作れる人は少ないし、まず素材が入手できない。だからレア度〈5〉で揃えれば、問題ない…はず」


ん~やっぱ能力値足りないと、装備条件満たせないよね…どうしよ?

特化系装飾品で必要な能力値分底上げかな?

む~。お金が飛ぶな…


「まぁ、君の場合、どっちにしろ装備は金策してからかな?」

「金策…金策…あぁ!そうだ!DEX下げたせいで、高品質のものが作れなくなったんだけど、どうしたらいいかな?」

「ん~…装飾品で補う他ないんじゃないかな?」


・・・マジか・・・VIT補正の指輪買っちゃったよ!

DEXじゃなきゃ金策効率悪いじゃん‼


「あはは。その様子だと気が付いたようだね?次からは最初に私に相談しなよ?」

悪戯そうに微笑むアディをみて、軽くイラっと来た。


「装備のレア度重視して今回の指輪買ったのかな?」

「そうだね。購入できる予算の範囲で、特殊効果の補正と、装備補正のバランスを考えた結果だね」

「ん~……君の場合、戦闘用と生産用で装飾品別に揃えたほうがいいかも」

・・・はぁ?高くて戦闘用も揃えられていないのですが?


「君は私と一緒で生産もするじゃない?その割にINT極振りで突き進むって決めたせいで、生産の品質値に関わるDEXが低くて、今後も改善が見込めないじゃない?

ならいっその事、生産用の装飾品は特殊効果重視で、レア度より品質値が高いもので揃えたほうがいいんじゃないかな?」

なるほど?

「生産に基礎能力値関係あるの?」

「あるさ。君は基材をメインに作ってるだろう?基材は基礎能力値によって性能が大きく左右されるからね。逆に基材を素材に使った〈魔法薬〉なんかの加工品は装備補正込の能力値が重要視されるんだ。どっちを重視するかによるけど、金策の為なら基材の生産の方が効率いいよ?需要も無くならないし?」

(・_・D フムフム

・・・装飾品で基礎能力値を重視して補正を積むと基材生産メインで、装備補正を重視して補正を積むと加工品メインになるっと。


「装備補正か特殊補正か選ばなきゃならないって生産職って大変なんだね」

「いや、普通の生産職なら素のDEX高めだから、装飾品は装備補正メインだよ?」


つまり、極振りのせいですね?・・・極振りの利点少なすぎでは?

金策が遠のく・・・


「ふふふ。今の君なら、いやならダンジョンでそれなりに稼げるんじゃないかな?スケルトンの上位種掃討系の討伐依頼があるはずだよ?」

・・・あったっけ?以前依頼一覧を見た際には掲示されてなかった気がする。

それに君達って言っても、トアがメインですよね?


「不思議そうだね?あれだよ。君が依然ダンジョンに行った際に、他の通路も上位種が多くなってきてるのを確認したから、掃討しようとしてるようだよ?」

あぁ!ロキュスだっけ?彼らと行ったね!でも継続戦闘耐えられるかなぁ?


「PT募集系の依頼なの?」

「ん~。上位種の討伐数で報酬が出るだけで、PT必須系の依頼じゃないね」

「今の私達なら行けるって言うけど、火力足りなくない?」

「大丈夫じゃないかな?特にそのトアは成長が非常に早い。最初のうちは様子見しながら戦えば、比較的早く連戦できるようになると思うよ?」


む~・・・行けるか?でも、位階特性でトアからの攻撃半減だよね?しばらく筋力特化で育てて、火力上げるか?


「ねぇ、アディ?眷属の能力値って極振りして大丈夫かな?」

「ん~。アーツしか使わないなら大丈夫じゃないかな?武技とか魔法とかになると、以前にも言った通り能力値が偏り過ぎると暴発の恐れがあるからね」


なるほど…今までトアが武技とか魔法を使ってるところ見たことが無いのだが、

極振りして大丈夫だろうか?万全を期して、STR/AGIに振るか。

攻撃が格上にも安定して通用するようになってきたら、VIT/DEXも上げよう。

・・・INT/MID/LUC中途半端に上げちゃったよ。どうしよ?

とりあえず能力値は全て2の倍数まで上げることを意識しようか。補正入るし?


「うん!行けるかも?」

「決まったようだね?ギルドでダンジョンの地図も販売してるからね。忘れずに買っていくことをお勧めするよ?後、依頼は受けてから討伐しないと、討伐数にカウントされないからね?」

「了解!頑張って稼いできます!」

「うんうん。無理しない程度に稼いでおいで?お金をたっぷり稼いで来たら、私の行きつけの装備屋に連れて行ってあげるからね。そこは召喚獣や従魔用の装飾品や装備もあるからね。高いけど!」いい笑顔で言い切られた。


アディの行きつけの装備屋?

どれほど高いんでしょうね。

はぁ・・・稼がなくては!


「じゃ、行ってきます!」

「うん。スケルトンの骨はもし余裕があれば拾ってきてくれると嬉しいかな。少額だけど買い取らせてもらうよ」


珍しくアディからお使いを頼まれた。

・・・骨って何に使うんだろう?ポーション関係?



そんなわけで、現在冒険者ギルドで依頼を物色中・・・

トアは私の隣で大人しくしてる。

住人からは特に視線を感じないけど、異邦人からの視線が痛い。


あった!討伐依頼:スケルトン上位種掃討!

内容は…


位階:討伐報酬/体

〈2〉:1,000D

〈3〉:5,000D

〈4〉:10,000D

〈5〉:20,000D

〈6〉:40,000D

〈7〉:1,000,000D

〈8〉:100,000,000D

※推奨:〈4〉以上/2次職以上・〈7〉以上/3次職以上

※義務:〈7〉以上確認の際、冒険者ギルドに報告


ん?位階〈7〉から急に金額跳ね上がってない?

やっぱそれだけヤバいのかな?

今の私の種族位階が〈6〉だよね?割と行ける…かも?

……広範囲魔法を使うと、周囲の味方が蒸発するアディですら、

種族位階〈7〉でしたね。〈8〉はそれ以上ってことだよね?

それなんて無理ゲー?


上位種掃討だけあって、位階〈1〉は討伐しても報酬ないのね?

位階〈4〉以上の推奨が2次職上になってるけど、トアだけで行けるかな?

私のアーツは、火力だけ見れば行けるかも?(攻撃が掠れば、死ねるけどね!)

装飾品…役に立つのかな?立ってくれるよね?


総評:私、雑魚過ぎでは?


うん安全重視で〈4〉までをメインに狩ろうか。


他によさそうな依頼は~っと。

・・・常設依頼でダンジョン関係しそうなのは無いね。

討伐依頼はゾンビとかはあるけど、悪臭がしそうだからちょっと…

スケルトンの討伐依頼は無いんだね。雑魚だからかな?


ん?スケルトンのドロップ品の骨の納品依頼がある。

アディも骨を欲しがってたけど、何に使うんだろう?

100本で10Dって…アディに渡したほうがましだね。

まぁいいや。めぼしい依頼は他に無いようだね。

この依頼受注したら、早速ダンジョンに行きますか。



NAME:伊舎那イザナ

RACE :ヒューマン《超越種》/16〈6〉

AGE:15 /15〈0〉

※能力制限中:5割減

※土の加護:VIT+35


Job:魔力使い/36〈1〉

Sab:薬士/38〈1〉

残JP〈38〉


HP:45 〈0〉[+175]合計値:220

MP:560〈51〉[+220]合計値:831

SP :80 〈15〉


STR /5   〈〉

VIT /5  〈〉[+35]

AGI /5   〈〉

DEX /12 〈3〉

INT /131 〈9〉

MID /12 〈3〉 

LUC /5 〈〉

残ステータスポイント〈0〉

スキル

Job

魔力系

〈魔力操作/26〉〈術/26〉〈魔力術/24〉

〈属性適正/24〉

〈火属性魔法/9〉〈水属性魔法/4〉〈風属性魔法/14〉〈土属性魔法/4〉

〈光属性魔法/4〉〈闇属性魔法〉 〈無属性魔法〉

生産系

〈調合/15〉〈錬金/11〉

Status

〈器用強化/2〉〈知力強化/2〉〈精神強化〉

Common

〈採取/14〉〈植物知識/2〉〈鑑定/16〉〈識別〉

Unique

『扉』:〈放浪書店〉

『種族』:〈眷属創造〉〈王権〉


称号

〈術〉の入門者/2〈1〉:MPに〈術〉x10の追加補正

〈魔力〉の入門者/1〈1〉:MPに魔力系スキルx10の追加補正

〈火属性〉の入門者/1〈1〉:火属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈水属性〉の入門者/1〈1〉:水属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈風属性〉の入門者/1〈1〉:風属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈土属性〉の入門者/1〈1〉:土属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈光属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈闇属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈無属性〉の入門者/1〈1〉:光属性使用時、消費MP:〈1〉減 

〈魔法使い/見習い〉/1〈1〉:魔法スキル使用時、消費MP:〈1〉減

〈アドリアーナの弟子〉/1〈1〉:MPに+10補正

※消費MP:〈1〉以下にはならない


〈超越者〉/1〈1〉:〈種族能力・種族スキル〉解放 

 《成長の成約》:必要経験値固定。進化前種族値の必要経験値と等しくなる。

 《始祖の血脈》:眷属最大数増加。眷属〈成長・進化〉解放。

 《無欲の大罪》:自らに全能力値減少補正〈大〉/眷属の能力値上昇補正〈大〉

 《王権の起源》:眷属素材解放。眷属創造解放〈最大数=種族値に依存〉

 《無辺の願望》:眷属の数により、本人+眷属に補正。


眷属

ウルフ〈幼体〉/31〈0〉

HP:348〈174〉

MP:261〈126〉

SP:348 〈174〉


STR /42 〈21〉 

VIT /36 〈18〉 

AGI /42 〈21〉 

DEX /36 〈18〉 

INT /29 〈14〉

MID /29 〈14〉 

LUC /29 〈14〉

残ステータスポイント〈0〉

スキル

肉体特性

〈牙〉〈爪〉

戦闘系

〈警戒〉〈索敵〉〈奇襲〉

称号

〈孤狼奮闘〉:SPに追加補正+回復補正〈敵数x0.01%〉 ※戦闘終了まで効果持続

〈孤狼の誇り〉:単体での出撃時、獲得経験値上昇

〈格上殺し〉:位階が格上の対象との戦闘時、追加補正〈位階差xステータス÷2〉

〈縦横無尽〉:対象を認識中、〈スキル・称号〉効果継続時間延長※最大SP÷10/分

〈幼狼の誇り〉:成長時、進化先に補正

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