第3話 チュートリアル:〈2〉

□チュートリアル:インンスタンスエリア


『戦闘系ジョブスキルの訓練を行いましょう』

『始原の草原に転送します。よろしいですか?Yes/No』

訓練…?まぁ受けておこうかな?

Yes!

『転送を開始します』

今度は足元に魔法陣(?)が展開され、また淡い光に包まれた。



「初めまして!異邦人様!」

!?

間近に急に光の玉(?)が飛んできた。

大きさは直径1メートルくらい結構圧迫感ある…


「初めまして?」


驚きながらではあるが、とっさに挨拶を返してみる。


「はい!”私達”はあなたを歓迎します!」


光の玉が元気に返事を返してくる…

しかしなぜかその語尾は常に勢いが強い。

周りを見渡してみると唯々広い草原がどこまでも続くかのようだ。


「ここが訓練する場でいいの?」


「大体合ってます!ここではジョブスキルの訓練のみ行います!  

 ジョブスキルの訓練終了後チュートリアルは終了です!

 あ!”私達”は〈World Nest/Another〉特殊管理使徒のアドリアーナ・フラムです! 気軽に『フラム』って呼んでください!」


「よろしく。私の名前は〈伊舎那イザナ〉ところで、私達っていうのは?

 一人(?)にしか見えないけど」


「私達は、多重並列存在なのです!イメージは様々な可能性に触れた自分が、   大勢いる感じですです!」


「なるほど?」

管理AIみたいなものかな?……

なるほど、道理でファジーな受け答えをするはずだ。


管理AIは、現行のバイオコンピューターを己の脳とする人造の特殊電脳知性だ。

主な用途はその名の通り管理であり、小国の情報を完全に統制。データベースやネットワークを高速化及び最適化。一体で国が統治出来る程と言われている。

『私達』ということは、まさか複数使っているということなのかな…?


「最初に戦闘の際の描画設定をするのです!

 サンプル映像が切り変わるからどの 方法が良いか選んでください!」


光の玉…『フラム』がゆらゆらと揺れると、世界が一変した。

 草原から最初にいた広々とした広場が映された…何度見てもリアルだ。

 そこには多くの人々が歩いていたが、

 一定周期でその人の姿が切り替わっていた。


 いや!姿ではなく見え方が切り替わっている。

 

 現実に見るような姿からCGの姿に、

 まるでゲームキャラを立体的にしたかのようだ。


 CGからアニメ風に。画風は、レンダリングされたCGアニメではなく、

 TVアニメ風だ。


「設定からいつでも切り替えることが出来るから、自由に選んで下さい!」


「凄い…けど、最初のリアルが一番好きかな?」

アニメ風だと見た目と脅威が一致しなさそうで少し怖い。


「描画設定登録しました!」


「それでは!Job:魔力使いの戦闘訓練を開始するのです!」

「ステータスの〈魔力操作〉スキルに触ってください!」


〈魔力操作〉

〈アーツ〉

 〈アクティブ〉:エナジー・ボルト(消費MP:10)

 〈パッシブ〉:魔力操作能力上昇(消費MP削減:1%)

「アーツにアクティブとパッシブが表示されてるね」


「はい!アーツはジョブスキルに付随する能力です!」

「アクティブスキルは、発動の意思をもって使用することで効果を発揮します!」

「パッシブスキルは、常に効果が発揮されています!」

「また消費したMPは基本的に2分で1回復します!」

「座ったりリラックスの出来る状態だと1分に1回復します!」

(・_・D フムフム


「的を召喚するので、攻撃の訓練をするのです!」

「〈魔力操作〉の初期アーツ〈エナジー・ボルト〉を使うのです!」

「目標に向けて、手を向けたりすると狙いやすいみたいですよ!」


『フラム』が強く光り、自分が立っている場所から5mくらいの所に

地面が盛り上がり弓道で使う様な的ができた

「的を狙って攻撃してみて下さい!」


「了解!〈エナジー・ボルト〉」

アーツを発動すると、透明な小さな矢の形をした力場が的に飛んで行った。

約140km/hくらいだろうか?想像以上の速度だ。

狙った位置からほぼズレなく、的に当った。

「おぉ…溜めは感じるけど、発生が早いね」

思ってたより早いが的に当ったものの、そこまで貫通力はない感じかな…?


「はい!〈エナジー・ボルト〉は発生が早く、非常に使いやすいアーツです!」


「次は魔物を召喚するので、魔物に攻撃してみましょう!」

「今回召喚する魔物は行動不可・防御力低下状態なので、

 落ち着いて攻撃してくださいね!」

「魔物って何が召喚されるの?」

「第1エリアに出現する『ゴブリン/10』が召喚されます!

本来は対応スキルがないと対象のレベルなんかがわかりませんが、

チュートリアルの最中は特別に表示されます!」

『フラム』がまた輝くと、今回は10m先の地面に魔法陣が浮かび、

魔法陣が回転し始めたと思ったら、そこに『ゴブリン』がいた。

身長は130cm程小さいが野性的な肉体武器は持っていないが、飢えた目

対象の頭の上には『ゴブリン/10〈1〉』と表示されていた

迫力が凄い…リアル設定にしてあるけど意外と平気だな…


〈エナジー・アロー〉を動かない『ゴブリン』に狙いを定めて放った!

赤と黒のポリゴンが発生し『ゴブリン』を倒した…

あれ・・・?レベル差9もあるんだよね?さっきの迫力どこ行った…?


《只今の戦闘勝利で経験値を取得しました》

《レベルアップ:〈見習い魔力使い/5・見習い薬士/5〉》

《ステータスポイントを4獲得しました》

!?

一回攻撃しただけで討伐できた…

「もしかして、防御低下のおかげかな?」


「いいえ!『ゴブリン』は最弱に数えられる魔物の一つです!」

「防御低下がなくても、多分一撃でしたね!」


「ゴブリン弱すぎじゃない?」


「ゴブリンは基本的に大量の物量で攻めかかる魔物ですから、

 個体能力は低めなのです!

 しかし成長してくるとすっごく強くなります!」


「なるほど」


「レベルアップしてステータスポイントが獲得できたと思います!

〈見習い〉職はレベルアップごとに〈+1P〉レベル10で〈+2P〉もらえます!

た・だ・し!トータル10P以上は入手できませんから注意してくださいね!

見習いを卒業すると、ジョブレベル10ごとに〈1P〉もらえます!

またステータスの〈〉内のジョブ補正もレベル10ごとに強化されますよ!

ステータスっポイントは自由に割り振ることができます!

振り忘れに注意ですよ!」


「忘れるところでした!モンスターにはドロップアイテムが発生することがあります!ドロップアイテムは基本的に討伐したモンスターの場所に置かれています!ちゃんと拾わないと10分程で消えてなくなっちゃいますよ!注意してくださいね!残念ながら今回はドロップはなかったみたいですね!」



「もう一回召喚しますね!次は相手も攻撃してくるので注意してください!」

「準備はよろしいですか?」


「おっけー!」

魔法陣が展開され光が溢れる。今度は20m先に召喚されるようだ。

ゴブリンが出現。こちらを見て走り寄ってきた!

〈エナジー・アロー〉を準備・発射!

一撃でした。やっぱりゴブリン弱い…w

《只今の戦闘勝利で経験値を取得しました》

《レベルアップ:〈見習い魔力使い/10・見習い薬士/10〉》

《ステータスポイントを6獲得しました》


「さすがですね!動く相手にもきちんと当たりましたね!」


「ゴブリンまっすぐ走って来ただけだからね。

 でも意外と恐怖もあったけど冷静に動けたかも?」


「戦闘の際はこれからも冷静を心がけてくださいね!

 そうでないと思わぬ事故につながったりしちゃいますよ!」


「次が最後の戦闘です!

「と、その前に!ステータスポイントを振り分けましょう!」


「了解!」


ステータス!

NAME:伊舎那イザナ

RACE :ヒューマン/1〈1〉

AGE:15/15〈0〉


Job:見習い魔使い/10〈1〉》New

Sab:見習い薬士/10〈1〉》New


HP:45 〈0〉

MP:177〈17〉

SP : 85 〈5〉


STR:(筋力) 5 〈〉

VIT:(頑強) 5 〈〉

AGI :(敏捷)   5 〈〉

DEX:(器用 ) 13〈1〉(+2)

INT:(知力) 28〈3〉(+6)

MID:(精神) 13〈1〉(+2)

LUC:(幸運) 5 〈〉

残ステータスポイント〈0〉

スキル

Job

〈魔力操作〉〈調合〉〈錬金〉

Status

〈器用強化〉〈知力強化〉〈精神強化〉

Common

〈採取〉〈植物知識〉

こんな感じかな?

『ステータスを決定しますYes/No』

Yes!

『〈見習い魔力使い/10・見習い薬士/10〉が規定の条件に達しました』

『見習いを卒業しますか?Yes/No』

「ん?見習い職卒業しちゃっていいんですか?」


「OKです!見習い職卒業しないと、種族レベルが上がらないですからね!」

「見習い職卒業から、あなただけの成長が始まります!」


『見習いを卒業しますか?Yes/No』

Yes!

『魔力使い/1・薬士/1になりました』

「卒業しました~」



「はい!次が最後のチュートリアル戦です!」

「HP/MP/SP全回復しておきますね!」

「どちらかが死亡したら時点で終了です!

 このエリアではデスペナルティが発生しません!

 とても強い相手ですが頑張ってくださいね!」

「相手は位階上昇したゴブリンです!」

「上位種の脅威しっかりと感じてください!」


魔法陣が30m程先に展開され光が溢れる。

先の二回とは比べ物にならない光の大きさだ。

黒混じりの光りが最後に強く収束し、

現れたのはゴブリンを大型化した存在『ホブゴブリン』


身長が160cm程、突き出た牙、額に小さな角、

鍛え抜かれた大小さまざまな傷を持つ肉体、

剣は錆びているが、殺意のオーラが見えてくるかのような威圧感だ。


対象の頭の上には『ホブゴブリン/1 Job:剣使い 位階〈2〉』

『ゴブリン』の説明と変わった所は〈レベル・Job・位階〉


ホブゴブリンはこちらを確認し、周囲に素早く目を向けると、

ニヤリ と歪んだ笑みを浮かべた。

ゆっくり確実に距離を詰め、こちらの動きをうかがっている。


彼我の距離は100m狙いを定めて〈エナジー・ボルト〉を放つ

・・・HP削れてる?当たった瞬間赤いポリゴン状の光が発生したけど、

見た目に変化見られないんだけど…?

「これHP削れてるの?見た目変わってないけど…?」


「一部の知識系スキル及び鑑定系スキルを持ってないと、

 敵のHPバーは表示されないのです!」

「ちなみにちゃんとダメージは入ってるので安心して下さいね!」

「ただし!位階が上の相手にはダメージが半減されますからね!」

先に言えよ!

「見た目の変化は、部位破壊、一定以上のダメージ等で変化します!」

「一定以下のダメージだとダメージエフェクトが出るだけですね!」

「〈エナジー・アロー〉はクールタイムが存在しないので、

 討伐できるまで、どんどん撃って下さい!」


〈エナジー・ボルト〉!3連続で発射!敵は既に50mまで近づいてきている。


「なるほど?さっきまで撃った回数が4回消費MP10だから40消費していると…

 ジョブ補正込でMP177消費40で残りMP:137

 …詰んでない?なんかあんま効いてなさそうだし…?」


『ホブゴブリン』は獰猛な笑みを浮かべ駆け寄ってきた!

〈エナジー・ボルト〉逃げながら撃っているものの、近づかれるほうが早い。

…ほんとどうしよ?既に10回は当ててるが、

本当に効いているのか不安になってきた…


剣を振りかぶって殺意を乗せた斬撃が背後から、襲ってくる!

服に掠った!〈エナジー・ボルト〉も撃ち切り、MPの回復を待ちながら全力で逃げているが、相手のほうが速い。背中の掠ったあたりが熱を持つ。熱い!痛い!結構リアル!足の小指を角にぶつけたくらいかな?なんて思ってたら激痛とともに視界が暗転。


「お疲れ様でした!ど~でしたか‼位階上昇した相手との戦闘は⁉」


「痛いし怖いけど、最・高に興奮した!ゴブリンだったころと比べて、早いし、硬いし、知性を感じさせる動きが所々にあったし、最後の方〈エナジー・ボルト〉を連射してMP切れたら一気に詰めてきたように〈位階〉が上昇するだけで全く別物だった!ってか痛み強いから調整したいんだけど…」


「痛覚設定は現状40%です設定できる中では、最も低い状態です!これ以上低くすると現実の肉体で問題が発生する可能性があるのです!防御力が高くなると相対的にダメージも痛みが少なくなりますよ!」


「VIT上げようかな…?」


「位階上昇とはステータスの上昇以上に知性が発達するのです!

戦闘のさなかにも学習・適応してくるので一筋縄ではいきません!

位階が自分より上の相手と戦うのはステータスで優っていても、

〈位階特性〉自らより下の〈位階〉の対象からの全ダメージ半減

そんな凶悪な効果があるので無謀といえます!」


「位階上昇甘く見てたつもりはなかったけど、難易度上がりすぎじゃない?」


「位階上昇は全ての種族に存在します!それに強いのは当たり前です!

仮にも一度は種族を極めたといって過言では無い存在ですよ?

弱い敵が多い場所でも極稀に位階上昇している相手がいる可能性があります!

例外はりますが、一目でわかる特徴があると思うので気を付けて下さいね!」


「これにてチュートリアルクエストを終了します!」

《チュートリアルクエスト完了報酬:マジックポーチ+初心者セット詰め合わせ》

「マジックポーチの容量は20種類!1種類100個まで入ります!」

「初心者セット詰め合わせの内容は、

 初心者ポーション3種・身代わりの護符、10000ディン

 以上3種類です!」


「おぉ~結構豪華な報酬だね~」

「ん!身代わりの護符って何?」


「身代わりの護符は、有効期限が現実世界72時間の間です。

 効果は最大3回までデスペナルティを無効化してくれるアイテムです!

 ぜひ有効活用してくださいね!

 最後に餞別として、戦闘系Jobに適した装備を差し上げますね!」

《初心者魔力使いの装備一式を獲得しました》

「(人''▽`)ありがとう☆」


「装備は実際に装着する方法か、ステータス画面からも変更できますよ!

 ちなみにステータスでは見た目装備も装備できますからね!」


「では、名残惜しいですが時間ですね!

 ここから先あなたの前には遥かな世界が待ち受けています!

 あなた冒険に幸多からんことを!」

チュートリアルエリアの地面からぽつりぽつりと小さな光が浮かび上がっていく。

「『フラム』また会うことはできますか?」

別れの時を感じ、物寂しさからつい口をついて出た言葉がそれだった。


「あなたが望むのなら、また出会える可能性はあります!」

フラムは最後にふわりと微笑んだ気がした。・・・顔無いけど

返事が返ってきた瞬間、ウィンドウが表示され

『チュートリアルエリアよりWorld Nest/Anotherへ転送します』


では、《World Nest/Another》深部へ至るあなただけの冒険を始めましょう!


次の瞬間世界は音と色を失い暗転した。






NAME:伊舎那イザナ

RACE :ヒューマン/1〈1〉

AGE:15/15〈1〉


Job:魔使い/1〈1〉》New

Sab:薬士/1〈1〉》New


HP:45 〈0〉

MP:160〈17〉

SP : 85 〈5〉


STR:(筋力) 5 〈〉

VIT:(頑強) 5 〈〉

AGI :(敏捷)   5 〈〉

DEX:(器用 ) 13〈1〉(+2)

INT:(知力) 28〈3〉(+6)

MID:(精神) 13〈1〉(+2)

LUC:(幸運) 5 〈〉

残ステータスポイント〈0〉

スキル

Job

〈魔力操作〉〈調合〉〈錬金〉

Status

〈器用強化〉〈知力強化〉〈精神強化〉

Common

〈採取〉〈植物知識〉

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