第4話 幕間
山田さんが山田さん生物の群れの中に姿を消したのと前後して、日本政府は、ぼくが住む街とその周辺地域の住民に、総員避難命令を出した。
そして、避難地域の周りに大きな壁を建設して、山田さん生物を封じ込める対策をとった。
山田さん生物が、その壁を壊したり飛び越えたりするのではないかという危険性があったが、不思議なことに、山田さん生物たちはその壁を越えようとはしなかった。
学者たちには、その理由がわからなかったが、ぼくにはわかっていた。
山田さんが、山田さん生物たちを説得していたんだ。壁から外に出ないようにと。
本当に山田さんは、優しい子だよ。
素晴らしいなあ。
そんな山田さんに、もう一度会いたい。
そして、告白するんだ。好き、だと。
……それから、数年が過ぎた。
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