†開かれる扉† 4
アウトレットモールには、もうすでに優斗が到着していた。今日はいつもよりまともな格好。というかいつもが異常すぎるのだ。こんなところにもパジャマで来ていたらドン引き案件だろう。
「なんや! ちびっこも来てたんか」
「えー? ちびっこ? どこにいるんだろう?」
「お前や、お前。せっかく透花と2人やと思っとったのにな」
「安心しなよ。今日だけだから。いつも来ていいって言うなら来てあげてもいいけど」
と言うよりかは来たいのだろう。とりあえずカフェに向かい、3人で座れる席を探す。
「にしても、あっついなぁ。2人とも座っとき。買ってくるわ」
「わはー。すまんのぅ。ウチ、抹茶ラテでええねん」
「なんやお前が言うと、ごっつむかつくわ。馬鹿にしとるんか? ……抹茶ラテな。透花はいつものでええんか?」
返答する余裕もなく、透花は力なく縦に頭を振った。
何もしていなくとも服が汗で体についてくる。蝉の合唱。入道雲。子供が走り回る声。地面から上ってくる熱気。どれもが夏では当たり前の光景だった。ただ1つを除いては。
「危ない!!」
透花がカフェのテラス席に座った瞬間だった。葉月が、突然透花を突き飛ばした。
「あいたっ! 何? どうしたの葉月!?」
よく見ると、小物を置いていたテーブルが、なくなっていた。いや、違う。正確に言えば、粉砕されていたのだ。
激しいもの音が鳴り響き、子供たちの声や周囲の人々の日常会話は悲鳴と変わるのも時間の問題だった。一瞬だったような気もする。
突然現れた謎の少年。全身黒にまみれた服で、異様なほどの威圧で周囲を牽制している。
「チッ! 恐ろしく勘のいい奴がいやがると思ったら、お前、緑川葉月じゃねーか」
優斗とは別の男の声がした。その声はとても低く、荒々しい。たった一言声を聞いただけでわかる。とても危険な場所で育った人のようだ。
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