†開かれる扉† 5

「ヴァルザック……!」


「『どうして、ここにいるの?』って顔だな。どうした? いつものようにかかってこないのか? まさか、人間国宝の特一級霊師様ともあろう奴が、たった1人になると何もできないとは言わせないぞ」


「くっ……」


「まぁ、それもそうか。お前ら人間は、未開5次元保護条約によって外の世界で力を発散する事は強く禁止されている。これだけの人間が周りにいる状態でお前の力を発揮するのは、自殺行為に等しいからな」


「な、何が言いたいの」


「結論から言う。俺は、俺の任務のために来た。もちろん、部下のラザイアとエルリックも一緒だ。どうしても失敗できない任務だからな」


「ラザイアとエルリックまで……⁉︎ この未開惑星を壊す気なの⁉︎」


「そうさせないために、お前がここにいるのだろう? もっとも、力が使えないんじゃただのメスガキだがな。エルリック」


「はぁーい」



 逃げ惑う人々の中から、パーマがかった髪の毛の少年がスマホを片手に画面を見つつ、葉月の後方から1歩前へ歩み寄る。



「ラザイア」


「ここに居ますわ」



 隣のテラス席にて非常に落ち着いた面持ちで、ノートパソコンの画面を閉じつつカフェの季節限定コーヒーを啜っている。



 なんていうか……



「馴染んでるね……」


「ふン。これは世を忍ぶ仮の姿だ。エルリック、ラザイア、任務を遂行しろ」


「ちょっと待って下さい、ヴァルザック様。フォロワーさんにリプしないと」


「何⁉︎ 貴様、何を……!」

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