†開かれる扉† 2
よし、何一つわからない。
わかることといえば、話の展開が突然すぎるということぐらいであろう。手紙に書いてあった通り、嘘のような話だ。実際に起こる確率は、地球誕生以来の天文学的数値だと思うし。
途中で集中力が切れ、どうしてもスマホに目がいってしまう。
──期末テストが来週から始まる。私はその心配だけしていればいいの。
……とはいえ、確かにテストは未来に繋がる大事なイベントの一つ。しかし、終身雇用の神話が崩れた今の時代、良い大学を出たからといって未来が安泰とは思えない。
つまり、未来は何が起こるのか分からない。やりたいことがやれる人生がこれから先も保証されているわけじゃないんだ。会社という組織に属さず、稼ぐ力が必要になってくる世の中。どの職に就くのが正解なのか色々と考えなくっちゃ。
優斗と一緒に仕事をすると考えると、プログラマーになるのが一番いい気がしなくともない。
とはいえ、技術的特異点……つまりシンギュラリティが起きれば、人工知能が人間よりも賢くなるわけだからプログラマーの価値は落ちてしまうかもしれない。
悩む。これからの未来が不安で仕方がない。人工知能が人の心を理解できないと仮定した場合、葉月のように介護の仕事を選べば、もしかしたら職に困らずに済むのかもしれない。
ただ問題は、何が安全なのかではなく、不自由な未来の先だったとしても、何がやりたいのか。どんな仕事をすれば社会貢献できるのか。結局はそこに行き着くんじゃないのかな。
って考えると……そっかぁ。優斗は、もうすでにそのことに気づいてたんだね。だからトライアンドエラーでゴミになろうと自分の作品を作り続けて、人の未来を作り続けてたんだ。やっぱり、すごいよ優斗。……かなわないなぁ。
SNSを開くと、注目を集めている記事があった。
『りんくう花火大会にて、空飛ぶバイクか? 人間らしき姿も』
「え?」
まさか、こんなに早くニュースになろうとは。
SNS上での反応を見る限りは、特に正体がばれるということはなかったようだ。なので、とりあえず深く考えず休むことにした。一ヵ月したら、もう誰も覚えてない。そのはず。ばれたところで個人が特定されるわけじゃないし。
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