日常 5
「ほんと、どうしちゃったんだろう、優斗」
夕暮れが近付いた頃、透花と葉月は某ハンバーガーショップにてビルの隙間から夕陽を見ていた。
「昨日までは違ったの?」
ついポロッと出てしまった透花の発言に、葉月は疑問符を付けて小首を傾げている。
「あっ、いや。まぁ、元々血の気が多い方ではあるんですけど……他人に対してここまで怒るのはすごく珍しくて……」
「ふぅん」
「だいたい、優斗はもうちょっと他人に対して優しく接するべきなのよ。いっつもいっつも、ゴミの発明ばっかりで……」
「透花ちゃん、ほんとに青木さんの事、大好きなんだね」
「……えっ」
その発言に、固まった顔が突然赤くなっていく。
「ここに来た時からずっと、青木さんの話ばっかりしてるよ」
「あっ、えと……」
「べつに、隠さなくていいと思うよ。ただ、知りたいなぁ。なんでそんなに青木さんの事が好きになったの?」
確かに不思議だ。イケメンでもなければ、スポーツ万能というわけでもなさそうなのに。
「そう……ですね。まぁ、いいかな、葉月ちゃんになら。……昔、助けてもらったことがあるんです。優斗は覚えてるかどうか分からないけど」
「ふんふん」
葉月はモデルのような艶やかな口を開き、前歯でポテトをサクサクと噛みながら透花の話に聞き入っている。
「小学生の修学旅行の時期、大阪から観光に来た人たちがいたんです。当時、私は男子からものすごくいじめられていました。理由は、よく分かりません」
「可愛い子ほど、いじめたくなるっていう心理現象かな?」
「どうなんでしょう。それは分かりません」
「まぁ、とにかくいじめらていたわけね。それで?」
「それで、その日もいつも通りいじめられていたわけなんです──」
『ひどい! どうしてこういう事するの!?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます