夏休み13日目

「お母さん、ちょっと学校行ってくる。」


「行ってらっしゃい、無理しないんだよ。」


母は僕が記憶を思い出すために学校に行くことをわかっているのだろう。


「大丈夫、いってきます。」


1つ目の思い出作りのあの公園に行った時に記憶の一部が思い出せた。ということはこのまま結愛と行った場所をなぞればいいということか。しかし学校と海に行けば、回り終わってしまう。たった2箇所に行くだけで、思い出すことができるのか…?


兎にも角にも学校に行ってみなきゃ進まない。

僕は足早に学校へと向かった。



早めの時間にきたおかげか、学校にはあまり多くの生徒がいなかった。さすがにこんな早くから勉強する生徒はいないだろう。早めに来て正解だった。


…この空き教室で、あの本の話をしていた。


『私たちはどういう関係なの?』


このセリフ。まさに今の僕たちのようだ。

僕はただ、幽霊と人間だって思ってた。でもそうじゃないんだ、幽霊と人間ではなく、他の関係。


――私たちってさ、きっといつまでたってもこのままだよね、何年経っても、どこにいっても、この関係は変わらないんだ。


これは昔の記憶?何年経っても、どこにいっても変わらない関係って?


「永遠」


「結愛…?」


「頑張ってくれてるんだね。もし、思い出すことができたらあの場所で会おう、待ってるから。」


そう言い残し結愛は消えてしまった。


あの場所…?


「海、行ってみよう。それから考えても遅くないはず…」


なぜだかわからないけど、僕には海が特別な場所に感じた。きっとそこに答えがあるはず。

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