夏休み14日目
まだ本調子ではないのか、昨日海に向かおうとしたけど、体力の限界だった。
…今頃結愛はなにしているのだろうか。ずっと『あの場所』で待っている?
結愛を待たせないためにもはやく記憶を取り戻さなければ。そう思いながら僕は海へと向かった。
「ついた…」
海には誰もいなかった。ここに結愛は…いないか。
静かだ。今まで変に緊張していた気持ちが切れた感じだった。
天気いいし、落ち着くな…
気づくと僕は眠りについていた。
―
「来年の花火大会、あそこからみない?」
「終わってすぐ来年の話?別にいいけど、毎年ここだったじゃん。」
「この前一人で言ってみたらすごい見晴らしが良かったの!きっと、綺麗だよ。」
―
…今僕は、眠っていた?腕時計を見てみると1時間ほど眠っていたらしい。夢を見ていたのか?海にいて、花火をどこからみるかって…相手は結愛?
結愛の言うあの場所は、さっきの夢で言っていた場所だ。ここから見える、見晴らしの良い場所…
ん?立ち上がろうと手をつくと、そこにはあの日貸した本が置かれていた。
『私たちってどういう関係なの?』
小説の中のセリフ。男女の考え方の違い。それが原因で…
…結愛と僕のこの関係の考え方も違ったとしたら?いや、違ったとしたらじゃない、違うんだ。だからあの日の海でああなった。僕は、幽霊と人間だって思ってた。それ以上でも以下でもない。
でも結愛は僕との関係を、幼なじみだって、僕が記憶を失っている間、ずっとそう思ってたんだ。
やっと思い出せたよ。結愛が、事故で死んでしまってショックで忘れていた。幼なじみという結愛を。結愛がヒントとして置いてったこの本のおかげだ。あの場所だってわかった。
去年の約束守るから、花火大会の日、あの場所で会おう。
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