夏休み2日目
ピピピピ…ピピピピ…
目覚まし時計の音で目が覚める。
昨日の約束…夢じゃないよな。僕は幽霊に会ったことなんて人生で1度もなかった。
なのに、幽霊の存在をすぐに受け入れ、そのうえ約束までしてしまうなんて。
昨日の自分はどこかおかしかった。あまり気乗りはしないが一応学校には向かっておく。だって約束を破って恨まれたりしたらたまったもんじゃない。
人間相手ならまだしも幽霊だし。
それにしても思い出作り、か。
正直なところなにをすればいいのかわからない。
今まで僕は友達と言える人なんていなかった。
まあ、言い出したのは大西さんだ。なにをするかぐらい考えているだろう。
1時ぴったり、僕は校門にいた。
「あっほんとにきてくれた!」
声が聞こえるが周りを見渡しても誰もいない。空耳か?
「違うよ〜上だよ〜!」
ぱっと見上げると大西さんが浮いていた。
「あの…いくら幽霊だからって普通に登場してくれる?」
「ごめんごめん、浮かれちゃってて…ね!それでなにする!?」
あぁ、すごく楽しそうな顔。こんなに楽しそうな顔、僕はしばらくしてないだろう。これじゃあ僕が幽霊だ。
「楽しそうなところ悪いんだけど、僕は君が期待しているような思い出は特にないんだ。だから正直なにをすればいいかなんてわからない。」
「そっか〜じゃあ永遠君の思い出も作れて一石二鳥だね!」
…友達いないのとかもっと突っ込まれると思ったのに。幽霊ってこんなに明るいものなのか?
「まあ、だから何をしたいかとかあるなら言ってくれ。僕には特に考えがないから。」
「うーん、あっ学校帰りに寄り道して公園で買い食いとかしてみたいな!」
「今夏休み中なんだけど…あ、明後日なら講習があるから、その帰りなら…」
「講習って?夏休みまで学校行って勉強してるの?すごいな〜」
「そりゃあ、受験あるから。じゃあ明後日の4時にここで待っててよ。そしたら寄り道ぐらい付き合う
。」
そうだ。高校3年生の夏休み。そんなに遊んでる暇はないのに。今だって講習のことを黙っていればこんな約束することなかった。
なぜ、大西さんの思い出作りをこんなに手伝う気になっているのか昨日から考えているけど自分でもわからなかった。
「ありがとう!それじゃあ、明後日の4時。待ってるから」
そう言い残し大西さんはどこかへと消えてしまった。
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