第46話.自由を目指す者の考察
悪魔である
「それじゃ今宵、集まってくれた自由を愛する旅人達へ。明日も先の見えない時間の旅を気ままに生きて。良い夢を。Have a good night」
ホテルの一室でメタアース内でのライブ配信を終えた、ちなふきんこと
「ライバーってのも大変だねぇ。そんなファンの為に毎日毎日、配信しなくても良いんじゃないのかい?」
ラウンド型のサングラスをかけ、コーヒーカップを持って壁に凭れている
「これが仕事だからさ。あーしにはファンを喜ばせる義務がある。それにこれは好きでやってるんだ。大変じゃないさ」
智奈が答える。
「オッサン、つまんねーこと訊くなよ」
智奈の隣に座っている
「別にいいさ、廻。共に自由の新世界を目指す仲間だ。気になったことは自由に質問してくれていい」
「仲間ねぇ」
廻は舌打ちをする。
「それより今度はあーしが質問する番だ。鬼童院さん、元探偵の腕を活かして、頼んでいた突然死事件のこと、調べてきてくれたかい?」
智奈は訊いた。
「ああ、とりあえず死んだ連中のことを探ってきたが……」
鬼童院は紙の束を智奈に渡す。
智奈は熱心に鬼童院の報告書に目を通した。
「死亡者の年齢は全世代にいてバラバラだが、分布は高齢者に偏っている。またどの件も首を絞めたり刃物で斬ったりと、死因までバラバラ。おまけに自殺にしては不自然で、他殺にしては他人の気配がない。さてはて、どういった法則で死んでいっているのか……」
鬼童院はコーヒーを啜った。
「高齢者が多い……か。年齢が何らかの鍵になっている可能性はあるね。高齢者に見られる特徴と言えば……?」
智奈が二人に訊いた。
「死につながるものなら……、身体の衰えによる病気とか?」
廻が答える。
「いや、死んだ者の中には前日どころか死亡日の早朝まで元気だった者もいるぜ。それに裂傷やロープでの窒息ってのは病じゃ説明がつかないだろう」
鬼童院がそう反論すると、廻は即座にチッとあからさまに音を立て、舌打ちした。
「他に考えられることは?」
智奈が改めて訊く。
「高齢者と言えば、時代について行けず新しい物や技術に馴染めない人が多いぜ。その線はどうだい?」
鬼童院が答えた。
「確かにライバーであるあーしのファンもほぼ若い人だ。いま話題で最新のもの……、メタアースか」
智奈は吹き戻しを咥え、ピュイと吹いた。
「メタアースがどう関係するんだよ?」
廻が怪訝そうに眉間に皺を寄せ、言った。
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