第21話.女王への準備②
「……ここ?」
「そう、そのお店っす」
みゆりが中に足を踏み入れると、店内には数多くの刀剣や槍、金槌、またはライフル等、確かにモンスターと戦う時に武器になりそうな物が並んでいた。
「……なんか怖い」
みゆりがボソリと言う。
「まあ、リアルの世界ではまずお目にかからないし、使わない物っすからね」
ケロッキーが答えた。
「いらっしゃいませ! お困りのことがあれば遠慮なく聞いてください!」
赤い髪をした男性のアバターの店員がテキストでみゆりに挨拶をしてきた。
「こんなの使ったことがないからどれがいいのかわからないよ」
みゆりはケロッキーに言う。
「別にファッションと同じ感覚で自分の気に入った物を選べばいいっすよ。どれを選んでもモンスターは倒せるっすから」
「ふぅん、そうなんだ」
ケロッキーの言葉を聞いて、みゆりはとりあえず気に入った物を選ぼうと店内を見て回った。
様々な武器の中、店の一角に長いロープのような物が陳列されたコーナーがある。
「これは?」
「それは鞭っすね」
「へぇ、鞭って変わってて面白いかも」
みゆりは興味を持った。
「あれなんてどうっすか? 右端にあるゴールドの鞭。『クイーンズウィップ』って名前だし、女王になるみゆりに相応しくないっすか?」
ケロッキーが薦めたのは、艶のある黄金色の鞭。
みゆりもその鞭に魅かれた。
「たしかに。金ピカでなんかカッコいいから、これにする」
クイーンズウィップを選択し、購入することにした。
「ヤバ、わたし、ケロコイン持ってなかった」
鞭の値段は5000ケロコイン。
「あっ、そーっすね。忘れてた。じゃ、みゆりに送金するっす。もちろん返さなくていいっすよ」
「買ってくれるんだ? ありがと」
商品の支払いはケロッキーが送金したケロコインで済ませ、みゆりは黄金色の鞭、クイーンズウィップを手に入れることができた。
店外へ出た自分のアバターをふと見ると、その手には鞭がすでに装備されていた。
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