第31話.カフェ内の攻防⑥
「さすがシュウ、ナイス! さあ、みんな今のうち逃げるわよ!」
何が起こったのかよくわからずメイド達は困惑しているが、とにかく店内へ出る為、皆、出入り口へと駆け足で向かった。
そんな中、男に金属バットで脇腹を殴られた
贄村はそんな彼女の元へ近づき
「大丈夫か? よく耐えたな」
莉沙の瞳を見つめながら贄村は声を掛けた。
「えっ、あっ……、大丈夫……」
莉沙はそう答えると、そっと目を伏せた。
その時である。
それは普通ならば誰もが気づかないであろう僅かな出来事。
莉沙の後ろで倒れている男から発せられた微かな物音。
それを贄村の耳が捉えた。
音の方へと目を向ける。
倒れている男は何かを握っていた。
「莉沙、逃げるぞ」
贄村はそう言うと、莉沙を素早く抱え上げた。
急いで出入り口へと向かう。
「……お前ら、差別を許す奴らを…‥俺は許さねぇ、死ね」
男は僅かに動く指で、倒れながら手に握っている物のピンを抜いた。
◇ ◇ ◇
贄村は店外へ出るとなるべく店から離れ、地に莉沙を下ろし、彼女の上に覆い被さる。
その次の瞬間、大きな爆発音が聞こえた。
カフェのガラスが周囲に激しく散乱する。
地に伏せている贄村と莉沙の上にも、僅かながら割れたガラスが降り注いだ。
集まっている野次馬やメディアの悲鳴や叫び声が辺り一帯に響く。
「シュウ! 莉沙先輩! 大丈夫!?」
真樹が贄村と莉沙、二人の元へ駆け寄ってきた。
贄村がゆっくり体を起こすと、後ろのカフェ「冒険者ギルド」は激しく炎上していた。
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