第26話.カフェ内の攻防①
エルフ姿の制服にも馴染んできたようだ。
今日も訪れた男性客とカードゲームをプレイして接客していた。
「じゃ、わたしは、光属性の攻撃力24000のカード」
莉沙は手札のカードを切る。
「ヒェ〜強! リサちゃん、ここでそれ持ってるかよ!」
莉沙は相手のライフポイント5万点を削り勝利した。
周りのテーブルでも、共に働く他の女の子達が笑い声を上げてはしゃぎながら、それぞれが様々なゲームで客と興じていた。
来店する客の癒しになるのも仕事の一環である。
「よし、もうひと勝負しようぜ!」
莉沙の目の前の客が鼻息荒く言う。
「……ねぇ、わたしと遊んで楽しい?」
莉沙は唐突に聞いた。
「ん、楽しいよ? なんで?」
客は首をかしげる。
「だってほら、わたしって無口な方だし、他の女の子みたいにキャピキャピはしゃげないし」
「あっ、俺、おしゃべりな子嫌いだから。だからリサちゃんぐらいで良いよ」
客はカードを整え、楽しそうにゲームの準備をしている。
「そう。それならいいけど」
自分と遊んで楽しんでいる人がいることについては、素直に嬉しかった。
(真樹ちゃんなんて、こういう接客も上手くやるんだろうな……)
そう思った莉沙は真樹のテーブルの方へと目を向ける。
真樹は同時に三人の客を相手にしていた。
「ロン! メンホン、イッツー、中、ドラ3。親倍ですわね。24000ゴールド」
そう言って真樹は麻雀の手牌を倒した。
「ヒェ〜強!」
「ここで西の単騎待ち!」
「しかもドラ暗刻かよ!」
真樹の相手客達が驚く。
「すみません、マキさん。もう支払うゴールドがありません……」
客の一人が言った。
「なにぃ、ゴールドがない!? なら仕方ないですわね。街を出てスライムなりゴブリンなり狩って集めてきてもらうしかないですわね!」
真樹は客に対して居丈高に言っていた。
(何やってんだか……)
真樹のテーブルだけ他のテーブルとは違う雰囲気に、莉沙は呆れてため息を吐いた。
「どうした、リサちゃん? さあ手札引いて?」
莉沙の客が促す。
「あっ、ごめん。じゃあ、やろっか」
莉沙が自分の客と新たにゲームを開始しようとした時だった。
けたたましい音を立てて入り口が開く。
「我々は差別を無くす為にデモをしている者だ! ここはただちに闇属性コーヒーなどという差別を助長するような物の販売を止め、店を閉めろ!」
店内に入るなり、スピーカーを使い大声で主張を始めたのは、金属バットやハンマーを手にした男達四人組だった。
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