第18話.流浪の調査①
一方、
と言うものの、その両親に関して一切の手がかりがなく、悪魔側の先導者であり探偵でもある
(
一人、メソメソしながら歩く。
当然、紗羽の父親であろう毒水博士や殺人遺伝子についてもネットで検索したが、一切情報が出てこなかった。
(ほんとうに公表されないように闇から闇へと葬られたのか、それともシュウの言う通り存在しない作り話なのか……)
真樹があれこれ頭の中で考えながら、半ば散歩のように街中を
そちらに目をやると、ツインテールの女が一人、ピンクの衣装で歌いながら懸命にダンスをしている。
足を止めて見る観客はまばらだ。
人が入れ替わっているものの、だいたい5、6人ぐらいだろうか。
歌い終わると、彼女は「ありがとうございました!」と頭を下げた。
「ももせー!」と一人で叫ぶファンを除いて、皆、拍手もなく去っていった。
(あれ、あの子は……、たしか
真樹は彼女の様子をしばらくうかがう。
公演が終わって残った熱心なファンが握手をして去り、彼女が一人で後片付けを始めたタイミングで、真樹は近づいていった。
「あっ、アンタ……!」
真樹に気づいた百瀬が声を上げる。
「おひさしぶりね」
真樹が笑顔で声をかける。
「……どっち?」
苦々しそうな顔で百瀬が訊いてきた。
「へ?」
真樹はキョトンとする。
「本物の夢城真樹か、それともキャプテンだった
百瀬は怒気が籠った声で言う。
「ああ、なるほど。安心して。本物の夢城真樹のほうよ」
真樹は信用してもらえるよう努めて笑顔で言う。
「ほんとう?」
「ほんとう」
「じゃ、証明して見せてよ」
百瀬にそう言われて、真樹は返事に窮した。
しばらく考え込むと「おっぴょっぴょっのおぷぷー!」と大声で唱えながら、両足を交互にぴょこぴょこ跳ね、耳を引っ張り、目を見開いて、最後に舌を出した。
「ああ、真樹ね。さすがにキャプテンはそんな下品なことしないもの」
どうやら百瀬に信じてもらえたようだ。
「くーっ、こんな方法でないと自分を証明できないのが情けないわね」
体を張った証明は功を奏したものの、真樹はひとり
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